こっけが向き合う、生きることと歌うこと

Review

文: DIGLE編集部  編:Kou Ishimaru 

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はこっけをご紹介します。

人生に寄り添う歌を

待たずとも必ず来る明日に、止まることのない毎日に流されながら、私たちは何を思って生きているのだろう。
いつか必ず迎える終わりまでに、残せるものがあるのだろうか。そもそも、残したいものはなんなのだろうか。
普遍的なはずで、けれど案外見落としている大切な問いと、こっけは柔らかく向き合う。

あたたかなアコースティックギターの音と、心地よい気さくさを感じる歌声で誠実に歌を紡ぐシンガーソングライター、こっけ。最新作『死ぬまでかかっても』は、生きていくことそのもの、そして歌というものとまっすぐに対峙するような一曲だ。
死ぬまでかかっても辿り着けない場所や、生きているからこそ途絶えてしまった選択肢があるという事実は、ときに残酷に私たちへと降り掛かる。だからこそ人は誰かと話したり、何か形にして残したり、たとえば、歌を作ったりするのかもしれない。
まるで日記のように綴られるこっけの詩はとても個人的で、内省的で、ゆえに聞く人の心の奥までじわりと染み渡る。どこか懐かしさを覚えるメロディラインもまたそれを後押しし、それぞれの等身大に寄り添ってくれる楽曲になっている。

こっけは、シンガーソングライターであると同時に、ライブハウス・shimokitazawa THREEの店長としての顔も持つ。生の音楽と、それを生み出す人と関わり合い続けている彼だからこそ残せる歌でもある『死ぬまでかかっても』。音源はもちろん、ぜひライブハウスに足を運び、リアルに届けられるその歌を聞いてほしい。

こっけ

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