チャートヒットなしで稼ぐ時代へ。Spotifyレポートが示す、DIYアーティストの新しい現実

Music Tech

文: DIGLE編集部  編:Kou Ishimaru 

Spotifyが創業20周年記念レポート「Loud & Clear」を発表。100万ドル超を稼ぐアーティストの80%以上はチャートランクイン経験がなく、DIYアーティストが収益層の3分の1以上を占める。着実にファンを増やすことが、収益への最短ルートであることをデータが示している。

Spotifyが創業20周年を記念して発表した年次レポート「Loud & Clear」に、音楽を始めようとしているアーティストにとって注目すべきデータが並んでいる。

まず押さえておきたいのは、Spotifyで収益を上げているのはスター級のアーティストだけではないという事実だ。2025年に同プラットフォームで100万ドル以上のロイヤリティを獲得したアーティスト1,540組のうち、80%以上はグローバルのデイリートップ50チャートに一度もランクインしたことがない。チャートヒットがなくても、時間をかけてファンベースを築くことで、持続的な収益につながっていることを示している。

DIYアーティスト、つまりレーベルを通さず独立系ディストリビューターで自主リリースするアーティストの存在感も増している。2025年に1万ドル以上の収益を上げたアーティストの3分の1以上がDIYアーティスト、あるいはDIYでキャリアをスタートさせたアーティストだった。Spotifyのミュージックビジネス部門責任者Sam Duboff(サム・ダボフ)は「DIYこそが入り口だ」と語り、レーベルに所属する前に実績とファンベースを築ける環境が整っていると強調する。

ビギナー層にとってより身近な数字もある。収益ランキングで10万番目に位置するアーティストが得たロイヤリティは、2015年の約350ドルから2025年には7,300ドル以上へと、10年で20倍以上に増加した。トップ層よりも下位層のほうが成長率が高いというデータは、音楽を始める時期として今が有利であることを示唆している。

早期の発見がキャリアを後押しするケースも報告されている。Spotifyが新進インディーズアーティストにスポットライトを当てる「Fresh Finds」プログラムへの掲載を経て、その後6桁の収益を築いたアーティストはすでに1,600人を超えている。プレイリストへの掲載から1年後には、平均してロイヤリティとリスナー数が2倍以上になるというデータもある。

「リスナーの1%から、ストリーミング再生の1%を獲得できれば、年間100万ドルを稼ぐのに十分だ」とダボフ氏は言う。大きな数字に聞こえるかもしれないが、その土台となるのは派手なバズではなく、着実にファンを増やし続けることだ。まず一曲をリリースすることが、その第一歩となる。

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