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文: 保坂隆純 写:遥南 碧 編:久野麻衣
2018年に結成した新鋭、Ezoshika Gourmet Clubが1stミニ・アルバム『モミジノススメ』を10月21日にリリースした。
90’s〜00’sのささくれ立ったオルタナティブ・ロックからダンサブルかつエレクトロニックなナンバー、どこかいなたさを感じさせるロックンロールまで、幅広いサウンドを展開しながらも、キャッチーな歌メロでまとめ上げるセンスは、非凡な才能をヒシヒシと感させる。初期衝動、というよりかはすでに洗練されたポップ職人のような趣さえも感じるほどだ。
今回はMASH A&Rのオーディション『MASH HUNT LIVE Vol.1』でベスト・アーティストに、avex、A-Sketch、J-WAVE、FM802の4社合同の新人発掘オーディション「GIANT LEAP」ではグランプリに輝き、一躍注目を集めた4人組、Ezoshika Gourmet Clubのバックグラウンド、結成の経緯、そして今後の歩みについて訊いた。
ーみなさんのルーツを教えて下さい。それぞれ最初に熱中した音楽や、楽器を手にしたきっかけなど。
額田 一佑(Gt.):
僕はNICO Touches the Wallsに憧れてギターを始めました。元々楽器自体には興味があって、小さい頃からピアノを習っていて。両親が音楽好きということもあり、母がよく聴いていたミスチル(Mr.Children)やスピッツといったJ-POP、父が好きだったQueenやStray Catsなどの70年代あたりの洋楽などにも触れて育ちました。シンプルな編成や、ギターもアンプ直、みたいなスタイルに惹かれることが多いのは、そういった音楽からの影響かもしれません。守屋優樹(Dr.):
僕の場合は小学校5〜6年の時の担任がドラムをやっていて、授業中にその話をしていたのでそこでドラムっていうものを意識するようになりました。それからは音楽を聴いてもドラムを意識して聴くようになったり、あとトイレの個室でエアドラムをするようになったり(笑)。中高では東京事変や凛として時雨など、日本のバンドをよく聴いていたのですが、進路を考えるタイミングでスタジオ・ミュージシャンになりたいなと考えるようになり、音楽大学へ進みました。バンドに入るのはEzoshika Gourmet Clubが初めてです。松下 和樹(Ba.):
僕はゲームが好きだったので、音楽にハマったきっかけもゲーム音楽でした。『XEVIOUS』という古いゲームがあるんですけど、細野晴臣さんがその音楽をアレンジした『VIDEO GAME MUSIC』、『SUPER XEVIOUS』という作品をリリースされていて。そこからYMOも聴くようになり、気づいたらどんな音楽を聴いていてもベースに意識がいくようになりました。実際にベースを手にしたのは高校生の時ですね。―『XEVIOUS』にはどのようにして辿り着いたのでしょうか。そもそもハード自体に触れる機会がないように思いますが。
松下 和樹(Ba.):
はい。ファミコンやアーケイドの実機などは触ったことがなくて、プレイ画面は映像とかでしか観たことないです。『XEVIOUS』にはゲーム音楽を掘っていくうちに辿り着きました。あとは『ドンキーコング』シリーズの音楽も最高ですね。David Wiseという方が手掛けているんですけど。―では、ベース・プレイヤーとして影響を受けたのは?
松下 和樹(Ba.):
NUMBER GIRLの中尾憲太郎さんの存在は大きかったです。その影響でピック弾きにハマったり。―NUMBER GIRLは池澤さんも別のインタビューでルーツのひとつに挙げていました。このバンドにとっては大きい存在ですよね。
池澤 英(Vo.&Gt.&Key.) :
そうですね。僕は高校生の時にNUMBER GIRLと出会いました。今でも覚えているんですけど、試験帰りの電車で、「日本の伝説のバンドまとめ」みたいな記事を読んでいて。そこで紹介されていて、特に印象に残ったのがNUMBER GIRLでした。そこからネットで音源や映像などもチェックして、すごい衝撃を受けました。偶然にも最初に買ったギターがテレキャスだったので、「おれもこういう音楽をやってみたい!」と思うようになり。―なるほどです。それ以前の音楽体験はどのような形だったのでしょうか?
池澤 英(Vo.&Gt.&Key.) :
小学校でエレクトーンを習っていたんですけど、きっかけは双子の妹がピアノを習い始めたことに対抗する形で始めました。音楽にがっつりハマったのは、T.M.Revolutionさんが当時好きだった『ガンダム』の主題歌を歌っていて、そのCDを借りにTSUTAYAに行くようになってからですね。J-POPからバンドまで、色々な音楽を聴くようになりました。ONE OK ROCKやQueen、ツェッペリン(Led Zeppelin)などのハード・ロック、90年代〜2000年代頃のオルタナティブ・ロックなどなど。人生初のギターになったテレキャスは、漫画の『BECK』に感化されて買いました(笑)。―池澤さんは地元・栃木でバンド活動もやっていたんですよね。
池澤 英(Vo.&Gt.&Key.) :
そもそも、僕は小学校の時にバンドでライブをやっているんです。先生の中にベースとギターをやっている方がいて、そこに僕がドラムとして入る。しかもエレクトーンのドラムの音色を使って、指でドラムを打つっていう(笑)。ボーカルは希望者が代わる代わる歌って。そこでバンドの楽しさを覚えてしまって。―そこで最初に繋がったのが松下さんなんですよね。
松下 和樹(Ba.):
はい。メンバー募集のサイトで見つけて。自分も当時新しくバンドをやりたいなと思っていたのと、好きなバンドとしてフジファブリックとNUMBER GIRLの名前が挙げられていたのですぐに連絡して。池澤 英(Vo.&Gt.&Key.) :
一回目のスタジオは、僕が胃腸炎でドタキャンしてしまうんですけど(笑)。額田 一佑(Gt.):
書き込みも尖りまくってたんですよね(笑)。松下 和樹(Ba.):
「自分の音楽には自信があります!」というようなことが書いてあり。デモ音源のリンクも張ってあって。それを聴いたらクオリティがすごく高くて驚きました。池澤 英(Vo.&Gt.&Key.) :
それから前身のドラムを含めた3人でしばらく活動していたんです。(額田)一佑とは大学のサークルに入るタイミングが一緒だったので大学入ってすぐ、5月には一緒に演奏もしてました。額田 一佑(Gt.):
フジファブリックをカバーしましたね。でも、その時アンプの設定を勝手にイジられたことで僕は(池澤)英さんに悪い印象を持っていました(笑)。池澤 英(Vo.&Gt.&Key.) :
それから1年くらいかけて口説き落としました(笑)。額田 一佑(Gt.):
実は僕もオリジナル楽曲でちゃんと活動するようなバンドに入ったのはEzoshika Gourmet Clubが初めてなんですよね。英さんから最初に「新しくバンドやるんだけど、ギターで入らない?」ってLINEがきた時、デモ音源も同時に送ってもらえて。それ聴いた時「え、プロやん?」って思って、すごくビックリしたんです。ただ、だからこそ最初は自分が着いていける気がしなくて、遠慮させてもらって。―なるほど。
額田 一佑(Gt.):
その後、地元に帰省した時に、高校の軽音部で一番仲の良かった友達が『十代白書』(「十代発掘」をテーマにしたオーディション企画)の予選に出ていて。彼の頑張っている姿に感化されて、英さんに「今からでも遅くないでしょうか」ってLINEして、参加させてもらうことになりました。池澤 英(Vo.&Gt.&Key.) :
一佑からのLINEがくるまで、色々なギタリストと試しにスタジオに入ってみたりしていたんですけど、どうもしっくりこなくて。やっぱり出音に説得力があるというか。最初にフジファブリックをカバーした時、一佑のギターを聴いてすごくワクワクしたんですよね。それがずっと忘れられなくて。―では、守屋さんの加入については?
池澤 英(Vo.&Gt.&Key.) :
一佑が入って、1年くらい活動していく中で、みんなの中でプロを志向する気持ちが強くなってきて。そこで足並みが揃わなかったのでドラマーが抜けてしまい、後任を探すことになりました。その時、僕の妹が音大に通っていたので、彼女のSNSのフォロー/フォロワーの音大生をたくさんディグって(笑)。そこで、彼が「フジファブリックみたいなバンドがやりたい」って呟いているのを見つけたんですよね。守屋優樹(Dr.):
当時、本気でバンドやりかったわけではないんですけど、たまたまフジファブリックを聴いていて。その気持を呟いただけなんですけど、それに反応してくれて連絡がきて。池澤 英(Vo.&Gt.&Key.) :
メールアドレスが載ってたので(笑)。守屋優樹(Dr.):
最初に言ったとおり、僕はスタジオ・ミュージシャンを志向していたんですけど、バンドへの誘いのメールが条件や詳細面などにも触れていて、すごく真摯な姿勢が伝わる内容だったので、とりあえず一回会ってみようと。―最初にスタジオに入った時、いかがでしたか?
池澤 英(Vo.&Gt.&Key.) :
いやー、衝撃でしたね。額田 一佑(Gt.):
すごい背中を守られている感じというか。松下 和樹(Ba.):
顔を見合わせたよね。池澤 英(Vo.&Gt.&Key.) :
こちらが何も気にしなくても最高の演奏になるというか。地元にいた時、一度プロのミュージシャンの方と演奏させてもらったことがあるんですけど、その時に似たワクワク感を感じました。―逆に守屋さんは?
守屋優樹(Dr.):
スタジオに入る前に、合わせる曲の音源をもらったんですけど、譜面を渡されないことに音大生とのギャップも感じつつ(笑)。きっちり音源っぽくやるべきか、自分らしさを出すべきか悩んだりもしたんですけど、いざ合わせたらすごくフィーリングが合ったんですよね。自然体でいられたというか。―ちなみに、以前はキーボーディストもいらっしゃったんですよね。
池澤 英(Vo.&Gt.&Key.) :
僕の作る楽曲にはキーボードが絶対に必要なので、短期間ですけどキーボーディストも在籍していました。ただ、一緒に活動しているうちに僕が弾きたくなちゃったんですよね。彼がいなかったら、僕はキーボードを弾いてなかったかもしれない。今のボーカルもギターもキーボードもやるっていうスタイルも生まれなかったかもしれません。RELATED PLAYLIST
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