文: スギタヨウヘイ 写:遥南 碧
ーまずは、音楽の原体験について教えていただけますか?
『冷静と情熱のあいだ』という映画の予告編に使われていたエンヤの「Book of Days」という曲が音楽の原体験になっています。小学校2年生の時にたまたまテレビで流れていて、両親にCDを買ってもらいました。多重録音で声がたくさん重なっていて、異国情緒あふれる壮大な世界観に衝撃を受けましたね。
ーエンヤ好きの小学2年生ですか。なかなか個性的ですね。
私は引っ越しが多い環境で育ったので、1人でいる時間が好きだったんです。生まれが茨城で、小学校から中学校までは大阪、東京、福岡で過ごしました。高校3年間は長崎にいたので、1つの場所で長く暮らしたり、同じ人とずっと一緒にいる経験があまりなくて。自然と自分自身で楽しみを見つける癖がつきました。
たとえば、家に家族がいない時に爆音で音楽をかけたり、踊ったり。エンヤを聴くとどこか遠くの世界に連れていってもらえる気がしたので、楽しかったんですよね。
ー何度も転校を経験するのは寂しい思いをすることも多かったのでは?
クラスメイトとの別れは毎回寂しかったですが、知らない土地で新しい友達ができることにワクワクもしていたので、意外となんとかなりましたね。
ただ、私は協調性がないので、いわゆる女子の派閥のような複雑な人間関係からは距離を置いていました。人からどう思われるかを気にしない性格なのが良かったのかなと思います。学生生活は普通に楽しかったですよ。
ーエンヤ以外ではどのような音楽を聴いていましたか?
小学生の頃は80年代の曲にハマっていました。両親が『FINE』というオムニバスCDを買ってくれて、a-haの「Take On Me」をよく聴いていました。
また、私には姉がいるのですが、当時ダンス部に入っていた姉がダンス用の洋楽をたくさん聴いていたので、洋楽に興味を持つようになりました。中でもEnigmaの「Return To Innocence」は壮大な雰囲気がエンヤに通じるものがあったので好きでした。
ニューエイジ・ミュージックなどのエレクトロニックな音楽だけではなく、J-POPやJ-ROCKも聴いていました。YUI、ミドリ、神聖かまってちゃん、サカナクションとか。激しいロックな曲が好きでしたね。
ー幅広く音楽を聴かれていたんですね。思い出深いアーティストはいますか?
長崎で過ごした高校生の頃に聴いていたレイ・ハラカミさん、LEO今井さんは思い出深いですね。
高校ではデザインを専攻していて、PCで作品制作をしていました。暇な時はネットでひたすら音楽を掘っていて、Wikipediaのサカナクションのページにレイ・ハラカミさんのことが書かれていて、音源を聴いてみたんですが、衝撃を受けました。独特で繊細な音なのに、奥行きのある世界を感じられることがすごいと思って。当時は「わすれもの」「あさげ」「ゆうげ」をよく聴いていました。
また、高校生の頃は1人暮らしをしながら学校に通っていたのですが、LEO今井さんの「Lemon Moon」や「Tokyo Lights」を聴くと、下宿先の周りの道や通学路の途中にあったバス停の景色を思い出しますね。
高校卒業後に進学した音楽の専門学校では、ノイズミュージックに出会いました。今私をプロデュースしていただいている方が当時の先生で、AutechreやOvalなどのアーティストを生徒に紹介していたのですが、それまで流行りの曲を聴いていた生徒にとって未知のジャンルだったので、先生はカリスマ的存在でしたね。私もmoshimossさんやN-qiaさん、I Am Robot And Proudなどのエレクトロニカ系のアーティストをよく聴いていました。
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