現行の海外ポップスと共振する曲の完成度。3ピースバンド・Re:name飛躍の2ndミニアルバムが到着

Review
ポニーキャニオンとDIGLE MAGAZINEが新世代アーティストを発掘・サポートするプロジェクト『early Reflection』より、今おすすめのアーティストをピックアップ!第37回目はRe:nameをご紹介。

すでに3作のアルバムをリリースしているバンドだが、2023年の3rdアルバム『Mindwash』におけるサウンドメイクの進化と洗練にハッとさせられたリスナーもいるんじゃないだろうか。大阪北摂発の3ピースバンド、Re:nameがさらにその存在感を示すであろう新作『Give Me All Of Your Life』をリリースした。海外のポップスが持つメロディやサウンドメイクと共振する曲のムードは彼らの少し先輩であるSHE’SFIVE NEW OLDなどにも共通する印象があるが、メインソングライターである高木一成(Vo.&Ba.)は現在20代半ば。彼が影響を受けたというThe 1975にしろ5 Seconds of Summer(ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー)にしろ、意識的にRe:nameの音楽へ取り入れたというより、当時10代の柔軟な感受性がこれらを吸収。原体験的なセンスを構成したんじゃないだろうか。彼が書く日本語と英語がシームレスに響き合うリリックや、メロディを重視した日本語のあて方は、ごく自然だからだ。

生活のあらゆる場面に寄り添う多彩なアプローチを展開

前出の『Mindwash』収録の「prettyfine :)」がFM802の2023年3月度ヘビーローテーションを獲得し、関西のリスナーに広く浸透した後、<MINAMI WHEEL>や<RADIO CRAZY>への出演で、ライブパフォーマンスの評価も上がったタイミングで、この『Give Me All Of Your Life』収録曲も先行配信されてきた。2023年11月から毎月、「AM」「24/7」「sea u again」と連続リリースしてきた3曲を含む全6曲は“あなたのすべてが欲しい”という強気なタイトルを裏打ちするように、生活のあらゆる場面に寄り添う多彩なアプローチを見せている。

1曲目の「Light」は本作で唯一、ヤマケン(Dr)の作詞曲。闇も潜り抜けてきたと思しき二人の絆がプリミティヴなビートとよく似合うおおらかなオープニングだ。続く「24/7」は24時間、一週間、つまり四六時中という意味に取れるが、どうやら遠距離恋愛中の焦りというより、会えない時間が自分の本当の思いに気づかせるニュアンス。愛らしく洗練されたピアノポップのアレンジが前向きな気持ちを加速させる。続く「sea u again」は曲が進んでいくにつれて、別れの状況かと思っていたテーマが変化していく歌詞の構成にハッとさせられる。ローを支えるシンセベースや、空間を彩る上モノのシンセと高木の柔らかな声質が融合したアトモスフェリックな仕上がりだ。

一転、タイトなビートが生身の衝動を体感させるショートチューン「People」は終わってしまった関係にも受け取れるし、叶わなかった望みとも取れるが、そのせいで逃避してしまう人間の感情を歌にしている。だが、あくまでもサラッとした聴感を保ち、他の優しく柔らかな曲の中に存在することでむしろその感情が際立つような曲順もいい。生身のビートで言うと、続く「AM」も近い聴感なのだが、歌詞にアルバムタイトルのフレーズが登場し、ある種アルバムのとっかかりかつ軸になっている強さがある。ビートはスクエアで疾走感があるが、Soma(Gt)のストロークによるギターサウンドは驚くほどロングトーンで、過ぎていく時間と変わらずに続く気持ちを想起させる。もちろん、それは歌詞と同時に聴いているから感じることでもある。未知の他人だった二人が未来を想像し始める時の、どちらかと言えば不安の方に寄り添う内容がとても誠実で、同時に甘やかな愛おしさも同居しているのがRe:nameの個性だと思う。また、サビで綴られる言葉数の多い歌詞に色をつける流れるようなメロディの独特さにも耳がとらわれる。

そしてラストは全編英語詞の「Stupid Things(I’ve Done)」。爪弾かれるアコースティックギターとうっすら漂う靄のようなシンセがナチュラルな神聖さを醸すこの曲は内面に葛藤を抱えた男の歌だ。日本語では描きにくい短い小説のような描写とストレートな言葉はただ感覚的に聴いても染み入るものがあるし、意味がわかればこのバンドの成長の度合いもより理解できるだろう。日本の20代半ばのインディーズバンドというカテゴリーをいい意味で軽々飛び越えていきそうな、痛快なミニアルバムの到着である。

INFORMATION

2nd Mini Album『Give Me All Of Your Life』

2024年2月14日(水)リリース
〈Lukie Waves〉

LIVE INFORMATION

<SEA U THERE in Osaka>
2024年3月16日(土)大阪・心斎橋Music Club JANUS
共演:Dannie May、FIVE NEW OLD

<SEA U THERE in Tokyo>
2024年4月5日(金)東京・渋谷Spotify O-Crest
※ワンマンライブ

early Reflection

early Reflectionは、ポニーキャニオンが提供するPR型配信サービス。全世界に楽曲を配信するとともに、ストリーミングサービスのプレイリストへのサブミットや、ラジオ局への音源送付、WEBメディアへのニュースリリースなどのプロモーションもサポート。また、希望するアーティストには著作権の登録や管理も行います。
マンスリーピックアップに選出されたアーティストには、DIGLE MAGAZINEでのインタビューなど独自のプロモーションも実施しています。

▼Official site
https://earlyreflection.com

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Re:name(リネイム)

大阪北摂発の3ピースバンド。2016年結成。メンバーは、高木一成(Vo.&Ba.)、ヤマケン(Dr.)、Soma(Gt.)。海外のポップスに強い影響を受けた、キャッチーなサウンドが魅力。英語と日本語を巧みに織り交ぜた歌詞や唯一無二の世界観で、インディーシーンに新しい風を吹かせる。<FM802 Rockin'Radio! -OSAKA JO YAON-><KANSAI LOVERS 2023><MINAMI WHEEL 2023>など関西を中心に数多くのイベントに出演し、注目を集めている。2024年3月16日(土)大阪・心斎橋Music Club JANUSにて、2024年4月5日(金)東京・渋谷Spotify O-Crestにてリリースとイベントを開催予定。
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