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文: 黒田 隆太朗 写:山本絢子
聴く者を鼓舞するようなハンズクラップとパワフルなサックス、そして決意表明を綴ったリリック。このエネルギーこそ2020年の彼女のモードだ。変化の1年だったという2019年を終え、iriが2020年一発目の作品『24-25』をリリースする。冒頭のハンズクラップやゴスペル調のコーラスが新鮮な、力強くも美しい1曲である。<ぼやけてく明日を また塗り替えしてく>と歌う『24-25』にはiriの矜持が刻まれているのだろう。「正直でいられる曲をやる」という、その真意を語ってもらった。
ー『24-25』はiriさんの作品の中でもパワフルでエネルギッシュな印象を受けました。ご自身にとってはどんなシングルになりましたか?
2019年は変化の1年だったんですよね。デビューしてからは目まぐるしい日々を過ごして、気づいたらもう25歳になってる感じだったんですけど…25歳になってみると、24歳の時には考えなかったようなことも深く考えることが多くなって。自分がどういうアーティストでいたいかとか、いろいろと悩んだ1年でした。そうやって歳を取っていく不安もありつつ、25歳は自分の中で変化のあった年だったので、そこで感じていた葛藤を含めてこれからどうしていきたいかをこの曲を通して歌おうと思いました。
ーそれで<ぼやけてく明日を また塗り替えしてく>と歌う前向きなエネルギーがある曲になったと。
はい。
ー悩んでいたというのはどんなことですか?
「カッコいいサウンドや新しいサウンドを届けてくれるiriさん」って見られがちで、これまではそういう期待に応えなければいけないと、ちょっと囚われていた部分があったのかなと思います。
ーなるほど。
でも、「自分が本当は何が好きなのか」、「本当はどんな風に音楽をやっていたいのか」っていうことに目が向くようになってきて。2020年は自分のベースになった音楽や、本当に自分がやりたいことを突き詰めて表現できたらいいなと思っています。誰かの期待に応えるのではなく、好きな音楽を楽しんでやりたいですね。
ー具体的にどういうサウンドをイメージしていますか?
元々ブラックミュージックが好きなのですが、ジャズやファンク、ボサノバはやってみたいですね。あと、シンプルなギターの弾き語りもまたやりたいと思っています。
ーそうした音楽性の幅広さもiriさんの個性だと思いますが、そこでもブレーキがかかっていたところがあったんですか?
どうしていいか分からなくて、悩んでいたような気がします。私は色々なジャンルの音楽が好きだし、欲張りで色々やりたくなっちゃうんですけど、自分が結局何が好きなのかなど、様々なサウンドに手を出すことで凄く悩む時もあって。鳴らしてみて意外と合わないかもって思うこともあるし、自分の引き出しが足りないと思ったらどうやってインプットすべきかを考えたり、そこで迷ってしまったのかな。たとえば激しいラップもめちゃくちゃカッコよくて憧れるけど、私はラッパーじゃないし、それが出来ない歯がゆさを感じたこともありました。
ー今はどういう答えを見つけていますか?
「この人はこの人って」思うようになりました。今は自分が表現しやすい、正直でいられるものをやろうという気持ちになっていて、「24-25」は自然と仕上がっていった感じでした。自分で聴いても前向きだなと思います。今までなかったような楽曲になったかなと思っています。
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