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文: 黒田隆太朗 写:木村篤史 編:久野麻衣
2020年は池田智子にとって新しいスタートを切る1年となった。2019年の9月にShiggy Jr.の活動を終えた彼女は、しばらく燃え尽きた状態で何もする気が起きなかったという。そうした自分自身と向き合う時間を過ごした後、夏頃から自主レーベルを立ち上げ1st single「walkin’」をリリース。1年ほどの休息期間を経て、音楽家として再び門出の時を迎えている。
音楽を続けていくかも考えたという彼女は、今何を原動力に歌っているのか。作詞を始め、新しい歌唱法や音楽性へとトライしたとたことで感じた可能性とは何か。「『walkin’』と一緒に聴いて欲しい曲」と題したプレイリストと共に、池田智子の心情に迫ってみた。
ー「『walkin’』と一緒に聴いてほしい曲」というテーマでプレイリストを作っていただきました。このテーマで曲をセレクトしようと思った時、一番最初に浮かんだ曲はなんですか?
最初に入れたのはFishmansの「Walkin’」ですね。
ーリリースされた曲と同じタイトルですね。
「walkin’」を作っていたときは、平歌というかサビ以外の部分がまず形になっていて、サビの冒頭を最後まで悩んで<Walkin’>ってフレーズに決めました。今回のテーマでプレイリストを作るにあたって、そう言えばFishmansにも同じタイトルの曲があったなと思って。Fishmansは大学時代に上京して、いろんな音楽を吸収している時期に一番聴いていた音楽でした。思い入れが強いし、これから活動するにあたってあやかるじゃないけど、誓いのような大事な気持ちを込めたいなと思ってこの曲を入れました。
ー学生時代、Fishmansのどこに惹かれたんでしょうか。
最初に聴いたのは高校生の頃で、初めて聴いた時にはどういう風に聴けば良いんだろう?っていう戸惑いの方が大きかったんですけど、大学で軽音部に入っていろんな音楽を聴く内に、分かった!って思った瞬間があって。それからずっと大好きです。佐藤さん(佐藤伸治)の歌詞は柔らかくて誰にでも伝わる言葉で、誰にもできない切り取りをしていて、シンプルだけど奥が深いというか、そういう普遍性に凄く惹かれます。
ーということは、ご自身の楽曲でも言葉には重きを置いた?
そうですね。人生で初めての作詞だったので、やっぱり至らないところはあるとは思うんですが、今できる精一杯の、大切な歌詞になりました。
ー赤裸々というか、ダウナーな感情も表現されているなと思います。
バンドの時にはギターの原田くん(原田茂幸)が作ったものを受け取って、どうしたらライブでお客さんが盛り上がってくれるかに軸を置いて考えていたんですけど、これからは自分の内面とか、これまでは見せてこなかった面もしっかり外に出してあげないとバランスが取れないと思ったんですよね。勇気がいることではあるけど、まずは自分のためにそういうスタンスで曲を出してみたいという想いがあって、正直に色々書こうと思って書きました。
ーShiggy Jr.解散後、ご自身のレーベルを作られたそうですね。
解散してから一年くらい、全く活動していない時期もあったんですけど。2020年は世の中的にも凄く色々なことがあったし、個人的にもずっと続けていたことが一旦終わったというのはやっぱり大きな変化で、これから音楽をするのか、しないのかっていうことも含めて色んなことを考えたんですよね。
ーなるほど。
そこでずっと揺れていたんですけど、(コロナ禍の)自粛期間になって、みんながイレギュラーな生活を強いられるようになり、SNSも殺伐としていくのを見た時に、自分自身誰かが作った作品やコンテンツにエネルギーをもらっていることを実感して。私も小さくてもできることをやろう考えた時、自分には音楽しかないな、歌を歌いたいなという気持ちが自然と湧いてきて。そこから曲作りに本腰を入れて行きました。
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