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文: 黒田隆太朗
関西発、メンバー全員が世界大会への出場経験を持つビートボクサークルー・SARUKANI。Grand Beatbox BattleやAsia Beatbox Championshipで上位入賞を果たすなど、輝かしい結果を残してきたSO-SO、KAJI、Kohey、RUSYらが集い2020年に結成。挨拶代わりの処女作「SARUKANI WARS」を発表すると、12月には2曲目の楽曲「ULTRA POWER」をリリース。聴き手を圧倒する4人の超絶技巧とスリリングな掛け合いが、すぐさまリスナー達を魅了していった。コロナ禍によりライブ活動は制限されているものの、今後国内外で大きな成果を上げていくであろう、そんな未来を予感した者も少なくないはずだ。
そんなSARUKANIが、今年初の楽曲「WE SAIKYO」をリリースした。即興性の高い制作の中で生まれたという、ダブステップからの影響を感じさせる新曲である。大胆不敵なタイトルは、彼らの矜持と野心の裏返しだろう。大阪にいるSO-SOにZOOMを繋ぎ、結成の経緯から新曲の制作背景、さらには今後の活動ビジョンまでを伺った。
ーどういう経緯でSARUKANIを結成したんですか?
ビートボックスのアジア大会が毎年台湾で行われていて、4人とも2019年の日本代表メンバーだったんですよね。その時のホテルの部屋がたまたま一緒だったのをきっかけに意気投合して。コロナ禍以降、ライブや大会に出れなくなったこともあり、4人で曲でも作ろうかって言って始まりました。
ー個人でも実績のある4人ですが、何か一緒にやりたい気持ちがあったんですか?
そうですね。今までずっとひとりでやってきたので、チームで活動してみたい気持ちもありました。いざ始めてみたら音楽の趣味も似ていて、みんなクラブミュージックが好きやし、4人で集まることでソロとは全然違う活動ができるのが楽しいですね。
ーSO-SOさんから見たSARUKANIのメンバーは、それぞれどんな個性を持っていますか。
みんなドラムの音が全然違います。僕はクラブミュージック特有の重たい打ち込みの音を目指してやっているんですけど、Koheyは高速ビートが得意で、世界を見てもあそこまで速く刻みができる奴はそういないんじゃないかってくらい特化していて。リリースが短く、カチカチしたアタック音を出します。
ースピード狂なんですね。
光速の男って呼んでます(笑)。KAJIは普段からハードコアを好んで聴いていて、それが音にも出ています。オーバードライブをかけたような音で、なおかつ一番人間味があるというか、生っぽい音を出していると思います。で、RUSYは一番真面目な音って言うか、どんなジャンルにも対応できるオールマイティな音ですね。
ー4人それぞれのカラーがあるということですが、組もうと思った時にはそうした能力的なところも加味していましたか?
いや、最初はそこまで考えてはいなくて。結果的に全然違うタイプの4人が集まった感じです。多分他のビートボクサーに比べて、僕らは出せる音の種類が多いので、今のところは曲を作る時も音には困らないです(笑)。
ーちなみにSO-SOさんは、どんな音楽がルーツにあって、今ビートボクサーの道を進んでいるんですか。
僕のルーツはミュージカルです。劇団で10年ほど子役をやっていまして、その時に出演したミュージカルが僕の音楽人生の始まりです。
ーそこで経験したことが、今でも活かされている?
そうですね。ミュージカルって、歌と芝居とダンスの融合芸術みたいな感じだと思うんですけど、そこで身につけた表現する力は自分のビートボックスにも活きています。広い意味でのエンターテイメントというか、パフォーマンスという意味で通ずるところがあるのかなと。
ーなるほど。
それが僕の第一のターニングポイントで、YouTubeでビートボックスの存在を知ったことが、第二のターニングポイントですね。ビートボックスはヒップホップやクラブカルチャーから生まれたものなので、そうした音楽を表現する人が圧倒的に多く、僕も自然とクラブミュージックに興味が湧いていって。そこで出会ったのがREZZというカナダの女性DJで、彼女の曲を聴いた時に俺が求めていた音楽これや!って思ったんです。
ーどこにそんなに打たれたんですか?
新しすぎたんですよね。僕は今でも自分が聴いたことのない音に出会うと興奮してしまうんですけど、そういう感覚に初めて陥ったのがREZZの曲でした。ジャンルはミッドテンポやインダストリアルベースというものになるんですけど、それまでの聴いてこなかった音楽だったこともあり凄く運命を感じて。それが僕にとっての第三のターニングポイントになりました。
ーその頃から今の音楽性に向かっていったんですね。
同時期にループステーションを始めて、REZZから受けた影響を自分なりに変換して、新しい音楽を作りたいと思い大会にも出るようになりました。その先に世界4位、アジアチャンピオンを獲るところまで来た感じですね。
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