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文: 保坂隆純 写:Hatano mai 編:riko ito
2019年より活動開始したベッドルームポップ・プロジェクト、Vacant Waveが両A面シングル『Yesterday / I’ve Been Waiting For You』を9月7日にリリースした。
Vacant Waveはサイケポップ・バンド、paddy isleのベーシストとしても知られる新垣歩によるソロ名義。昨年から今年にかけてはアルバムを3作、そしてEPやシングルなどをコンスタントに発表するといった多作な作家であり、ネオアコ〜シューゲイザー、オルタナ、サイケ、USインディ……などなど、ローファイなバンド・サウンドを軸に、打ち込みならではの編集感覚と幅広いバックグラウンドを感じさせる音楽性でじわじわと音楽好きの間で注目を集めている。
果たして、Vacant Waveとは一体何者なのか、その創作意欲の源とは? 気鋭の音楽家、Vacant Wave初の単独インタビューをお届けする。
ー音楽に興味をもったのはいつ頃からなのでしょうか。
両親が共に音楽好きなので、小さい頃から音楽は身近な存在でした。父親がライターで、音楽専門っていうわけではないんですけど、幅広い分野で書いていたので、家にはプロモーション用のサンプル盤が大量にあって。その一方で母親はThe Policeなどイギリスのバンドが好きで、そういったCDもよくかかってた。どちらも主に80年代の作品が多かったですね。
ーそこから自発的に聴くようになったアーティスト、作品などはありますか?
The Collectorsやムーンライダーズなどですね。海外のバンドだったらThe Clashといったパンク系にハマりました。中学生くらいのときにYouTubeでNirvanaと出会いまして。それからは家にないCDや音楽を自ら求めるようになりました。
ーリアルタイムの音楽にはあまり触れてなかったのでしょうか。
そうですね。どちらかというと過去の名盤、名作とされているものを追いかけていました。
ー楽器を始めたのはいつ頃ですか?
それも同じく中学生のときですね。親が誕生日にアコギを買ってくれて、ひとりで家で練習してましたね。それこそNirvanaやOasisのスコアブックとかも買って、今考えたらひとりでやるような音楽じゃないだろって思うんですけど(笑)。
ーそこからバンドを組んだり?
高校生になってからエレキを買ってもらったんですけど、地元は田舎だったのでバンドを組むような友達が周りにいなかったんです。ただ、ひとりだけ音楽に詳しいやつがいたので、彼にくるりやスピッツといった現役で活動している国内のバンドや、Radioheadを教えてもらいました。彼もギターを持っていたんですけど、ギター2人じゃ何もできないので、バンドをやるのは大学からですね。
ー大学ではどのようなバンドを?
最初は洋楽のコピーをするバンド・サークルに入りました。そこのしきたりで1年のときはポップ・パンクをやらされるんです(笑)。それ以降はOasisやblurといったイギリスのバンドの曲をやることが多かったですね。そんな感じで過ごしていたら、大学3年のときに同じサークルの人から誘われて新しいバンドに入ることになったんですけど、その後にバンドの中心人物が抜けちゃって。なし崩し的に残されたメンバーで2年くらい活動していました。
ーなるほど。
最初はThe Strokesみたいなサウンドを4人でやってたんですけど、3人になったことでそれが崩れ、徐々にネオアコみたいな方向性になりました。でも、歌詞は全部日本語だったので、今振り返ってみると何がやりたかったんだろうっていう感じで(笑)。当時はEggstoneにハマっていたので、そういったサウンドを志向しつつ、この頃から自分で曲を作るようになりました。
ーそういったサウンドって、Vacant Waveとしての音楽性にも通ずるものですよね。
そうですね。元々The Smithsなどが好きだったこともあって、ひとりでやるようになってからも近いテイストの音はよく使っています。
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