タイの新星Alec Orachi×D.A.N. 櫻木対談ーーRemixの制作過程、日本とタイのインディーシーンについて語る

Interview

文: DIGLE編集部 

タイから登場した新星Alec Orachiの日本上陸を記念して、11月9日に配信リリースとなった「Itsukushima Remixed by Daigo Sakuragi」のリミックスを担当した櫻木大悟(D.A.N.)とAlec Orachiのオンライン対談が実現。

一度聴くと病みつきになる中毒性の高い絡みつくようなグルーヴを武器に、タイから登場した弱冠23歳の新星Alec Orachi(アレック・オラチ)が、櫻木大悟(D.A.N.)がリミックスを担当した自身の名曲「Itsukushima」を携えて遂に日本上陸を果した。

11月23日(水)には1st Full Album『FREE 2 GO』のリリース、さらに同月27日(日)には東京でのライブ公演を控えているAlec Orachi。本記事では「Itsukushima Remixed by Daigo Sakuragi」の配信開始を記念して、ボーカル/ギターであり、全ての楽曲を制作するAlec Orachi(本名Jacky Sakdipat)とリミックを行った櫻木大悟によるオンライン対談が実現した。

タイで体験したハッピーなバイブスをRemixへ

ーまず始めに櫻木さんはAlec Orachiのオリジナルバージョンの「Itsukushima」を聴いた際の印象はいかがでしたか?

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櫻木大悟:

まず声が凄く個性的で曲の展開が面白いと思いました。あとMVがダウナーなムードなんだけど、どこか陽気さもあって不思議な印象でしたね。

ーそういう部分でD.A.N.にも通じる部分を感じました。

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櫻木大悟:

僕らもそうなのですが、インディロックのスタイルの中でヒップホップ、R&Bなどをオルタネイティブな感覚で吸収して上手くアウトプットしているんだろうなって思いました。
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Alec Orachi:

元の「Itsukushima」は、自分自身がマイナーコードが好みっていうこともあってダークなムードの曲なんですけど、櫻木さんのリミックス では他のリズムの要素などを足してくれたことで、ガラっと曲の雰囲気が変わりましたよね。とても印象的で感動しました。

ー今回ハウス色の強いリミックスになった経緯を教えてください。

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櫻木大悟:

入ってるパーカッションがすごく良かったのと、Jackyのボーカルのリズムで面白い部分があって、それを四つ打ちに乗せたらさらにグルーヴしそうな気がしたのでそこが出発点でした。あとはタイにライブツアーで行ったことがあるのですが、そのとき自分が体験したタイが持っている独特のハッピーなバイブスが影響した気がします。
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Alec Orachi:

櫻木さんが言ったように確かにタイのカルチャーにはハッピーなバイブスがありますよね。でも僕の書く歌詞ってそんなにハッピーなものではなくて、曲で使うコードやコーラスもそんなに明るいものではないかなって(笑)。だからリミックス ではそういった雰囲気を取り除いて、違うムードの曲になったことがとても嬉しかったです。

ー櫻木さんはリミックスワークを行う際、どのように仕上がり具合をイメージするのでしょうか?制作の過程を教えていただけますか?

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櫻木大悟:

ハードウエアのリズムマシーンやシンセを触っていく中で、あまり考え過ぎずに色々と面白いリズムを見つけていく感じですね。自分のスタイル的に最初からこういう曲を作るぞって決めて始めるタイプではなくて、偶発的にエクスペリメントしながら作っていきます。

ーJackyさんはリミックスされた楽曲を初めて聴いた時の印象はいかがでしたか?

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Alec Orachi:

まずとても気に入りました。ちょうど自分がテクノやハウスミュージックのシーンにのめり込んでいて、クラブにも行ってる時期だったので、初めて聴いた時は「Wow」って感じで最高でしたね。櫻木さんがリミックスしてくれたことで、ずっとプレイしていたくなるようなビートになっています。シンセの組み合わせなど詰め込まれた全ての雰囲気が気に入っています。
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櫻木大悟:

曲のラストのパートのシンセフレーズは気に入ってくれました?
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Alec Orachi:

あのパートは素晴らしいですよ。とても気に入っています。
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櫻木大悟:

そのフレーズはモジュラーシンセを使って作ったんですよ。

ーAlec Orachiの曲を作る際は、どのようなスタイルで進めるんですか?

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Alec Orachi:

日常にある出来事からイマジネーションやインスピレーションを得ることが多いですね。例えばテーブルの上に水の入っているコップが置いてあったら、「これは誰が置いたのだろう?」「いつから置かれているのだろう?」っていう小さなキッカケから制作につなげることができます。まあ、こんな風にスタートすることが多いですね。

ーコップの水があれば曲が作れるってすごいですね(笑)。

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Alec Orachi:

はい、もしコップに砂が入っていたら「ここに置かれてからどれだけ年月が経っているのだろう」って着目できるので、この種の小さなインスピレーションと、自分の感情や思考を合わせて曲作りにつなげることができます。あとは櫻木さんが言ったように僕もシンセでコードを押しながら、その時の自分のフィーリングに合っているものを見つけていくことが多いですね。

ー続いて歌詞について質問させてください。ニューアルバムを聴くと歌詞は表面的に少しファニーな部分がありつつも、その根底には怒りのような感情を見て取ることができますね。

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Alec Orachi:

僕はいま一人で暮らしているので、自分の生活に何かが起きたときや一人になったときに、その日の出来事をダイジェストのように振り返ります。その出来事があったことで寂しく感じることがあったり、怒りの感情が現れることがあります。でも、そのことは考え過ぎないようにして歌詞に起こす作業を行うので、結果として歌詞のうえでは少しファニーであったり、自分自身に対するジョークのような表現になるのだと思います。

ーでは、D.A.N.の歌詞は抽象的な表現が印象的ですが、どのように書かれていくのでしょうか? 

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櫻木大悟:

まずは日本語のサウンドとして心地よいものを探しますね。それが自分のボーカルのメロディに対して違和感なく、気持ち良くのるかを音の響きとして探します。あとは、Jackyも言っているように生活の中で様々な事がインスピレーションの元となっていて、言葉にならないことをどうやって音楽で表現するかってことに重きを置いています。だから聴く人に限定的な意味を押し付けたくないので、聴き手が広くインスピレーションできるような内容にしたいですね。まあ、それは裏返すと何言っているのか良く分からない歌詞っていう印象になってしまうかもしれないけど、リスナー側に想像の余白を持たせたいんです。

日本とタイのインディシーンの現在

ーちなみに先ほどもお話に出ましたが、数年前にD.A.N.でタイにツアーで行かれてましたよね。オーディエンスの反応や環境など印象はいかがでしたか?

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櫻木大悟:

バンコクは日本に比べて色んな人種が集まっている印象で、そのコントラストが自分は好きでしたね。ライブに来てくれたお客さんのムードもちょっとチルい感じっていうか。
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Alec Orachi:

タイではお客さんのテンションが上がって、バンドの曲を一緒にみんなで大声で歌うスタイルが多いと思いますね。アーティストがステージからエナジーを送ると、オーディエンスも同じように客席からエナジーを送り返してくれますよ。

ータイのライブでは隣のお客さんの歌声の方がステージから聞こえるバンドの音より、大きいこともありますからね。

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Alec Orachi:

確かにそうですね(笑)。 レスポンスが良くてハッピーな雰囲気ですね。日本のオーディエンスはどんな雰囲気ですか?
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櫻木大悟:

結構タイとは違うんじゃないかな。特に東京では少しお客さんがシャイなのかなって思います。

ーAlec Orachiは11月27日に東京でライブを控えているのですが、櫻木さんから何かアドバイスはありますか?また東京のおすすめの場所などがあれば教えてください。

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櫻木大悟:

せっかく日本に来るなら居酒屋に行って欲しいな(笑)。焼き鳥とか良いですよ。あと、ライブの面で言えばステージから日本語で呼びかけですかね。
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Alec Orachi:

あー、それはまさに今計画しているところです。
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櫻木大悟:

バンドとオーディエンスの距離が近くなりますし。
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Alec Orachi:

日本語の良いフレーズがあればあとで教えてくださいね(笑)。

ー来日ツアーに対する意気込みがあれば教えてもらっていいですか?

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Alec Orachi:

まだ日本には行ったことがないのですが、ずっと行きたいって思っていました。というのも、僕自身日本の『20世紀少年』などの漫画やアニメーションの文化に大きくインスパイアされていますし、こういったカルチャーの面で日本は特筆すべきものがあるので楽しみにしています。ビルが丸ごと漫画、アニメやフィギュアを扱っているお店があるって聞いたので、ぜひ訪れてみたいと思っています。あとはレアなギターのエフェクトペダルなど探しに行きたいですね。とにかく日本に行くことに興奮していますよ。

ーお二人の視点から日本とタイのインディシーンの現在の状況を教えてください。

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櫻木大悟:

あー、難しいな(笑)。 まあ、正直言って少し退屈に感じることもありますね。あまり興奮を感じなくなったというか、もっとクリエイティビティを磨かないと東京のシーンからワクワク感がなくなってしまうかなって。あ、でもハイパーポップのような若いシーンは盛り上がっていると思いますね。なんというか、日本のシーンをアジアや世界にもっとパッケージにして見せていった方が良いと思うんですよね。もっと発展していくべきかなと。
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Alec Orachi:

タイはたくさんのアーティストが出てきていて、とてもフレッシュだと思います。それこそ毎週のように新しいアーティストが出てきている状態です。リスナー側もインディの音楽に対する理解度もかなり高まってきていると思いますし、新しいアーティストと新しいオーディエンスが生まれているところですね。僕もオーストラリアからタイに戻って音楽を作ろうって思ったキッカケにもなりました。また、Phum Viphuritなど海外に飛び出していくアーティストを見ると自分のモチベーションになることも多くあります。

ーでは、最後にお二人の今後の活動プランを教えてください。

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櫻木大悟:

実は来年、ロンドンに住んでみようかなって計画していて。
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Alec Orachi:

僕も来年ロンドンに移る予定ですよ。
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Alec Orachi:

え、本当(笑)!?

ーまさかのロンドンかぶりですね(笑)。

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櫻木大悟:

ロンドンにはいつ行く予定なんですか?
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Alec Orachi:

多分来年の1月~2月頃だと思います。それにしてもすごい偶然ですね(笑)。
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櫻木大悟:

櫻じゃあ向こうでまた会えますね。
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Alec Orachi:

去年からロンドンへの移住を考えていたのですが、アルバムの制作があったのでずれ込んでたんです。
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櫻木大悟:

この機会にUKのバイブスをキャッチして制作に活かしたいなと思っています。ロンドンが音楽的に一番アツい場所だと思うので。
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Alec Orachi:

エキサイティングですね!楽しみにしています。

RELEASE INFOMATION

「‘Itsukushima’ Remixed by Daigo Sakuragi」

2022年11月9日(水)
NEW SINGLE
配信リリース

1st Full Album『FREE 2 GO』

2022年11月23日(水)
NEW ALBUM
¥2,000(+税) / PRBL-0021

【Tracklist】
01. GO
02. Posey Vs Clever
03. Curious George
04. Focus
05. Money
06. GG Love
07. You Know
08. Overpriced
09. TIME
10. Trouble Is An Enemy
11. Itsukushima Remixed by Daigo Sakuragi (D.A.N.)

LIVE INFOMATION

Alec Orachi 来日公演開催!
<TOKYO BEYOND FESTIVAL>

日程:2022年11月27日(日)
会場:club bar FAMILY

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