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文: 黒田 隆太朗 写:遥南 碧 編:久野麻衣
THE CHARM PARKの歌を聴いて優しい気持ちになれるのは、その音楽の中に彼の飾らない素顔を見ることができるからである。彼は自身の音楽を「人間らしい音」と表現したが、まさに彼の作る歌には、THE CHARM PARK自身の素朴な祈りが込められているように思う。
今回の取材では、コロナ禍以降積極的に配信ライブを行ってきた彼に、「印象的だったライブ配信でのセットリスト」というテーマでプレイリストを作ってもらった。セレクトされた楽曲に触れながら、少しばかりキャリアを振り返るように彼の心境に迫ったインタビューである。プレイリストにはふたつのカバー曲と、Hemenway時代の楽曲「祈り」を含んだ10曲がセレクトされている。様々な音楽性を奏でてきた彼のディスコグラフィの中でも、包み込むようなあたたかさを感じる楽曲達である。中でもCharmが東日本大震災を目の当たりにしたことで作られた「祈り」は、パンデミックに見舞われた今、再び歌われる意義のある曲だろう。
最後に「これから作りたい音楽は何か?」と聞いたところ、「バックグランドミュージックに関心がある」という答えが返ってきた。それは聴く人の生活にさりげなく寄り添う音楽であり、きっとTHE CHARM PARKの真髄である。彼の創作の在り方について話を聞いた。
ー今回はキャリアを辿りながらプレイリストについてもお話しを聞けたらと思います。
よろしくお願いいたします。
ーCharmさんが音楽の道を志したきっかけはなんですか?
音楽で暮らしていこうと思ったのは高3ぐらいの頃でした。うちの兄貴は今でも趣味で音楽をやってるんですけど、当時は凄く親から反対されてたんですね。だから末っ子の僕は音楽をやっちゃいけないんだと思っていたところがあったんですが、自分が高校を卒業する頃、10年後20年後にどういう仕事をやっていたら幸せを感じるだろうと考えた時、答えは音楽しかなかったんです。それで経済的に安定できるかどうかは別として、そうやって生きていけたら幸せかもって思った瞬間があったので、とりあえず若いうちに頑張ってみようと思い音大に行きました。
ーその時は既に日本の音楽を好きになっていたんですよね?
一番最初に衝撃を受けたのがX JAPANでした。それは小5くらいですかね。兄貴が聴かせてくれたんですけど、ハモってるギターソロを兄貴とふたりで演奏できる魅力があって、それで僕もギターも始めたんですよね。一番最初に聴いたのが『LIVE LIVE LIVE』っていうライブアルバムで、「WEEK END」っていう曲がメロディックで好きです。hideさんの音楽は今でもカッコいいと思います。
ーそれでギターキッズになったと。
大学に入るまでは本当にギターキッズで、モテないような発想だと思うんですけど、テクニックがなかったら音楽じゃないって思ってました(笑)。曲を聴いててもギターソロがカッコよかったら、そこまでとばしてギターソロだけを聴くくらいの悪い趣味がありましたね(笑)。
ーアジカンや大橋トリオに惹かれていったのは大学に入ってから?
バークリー大に行ってから音楽の幅が広くなった気がします。心に響くような音楽を聴くようになって、歌詞の意味が分からなくとも感情的に刺さったのがASIAN KUNG-FU GENERATIONさんでした。当時BUMP OF CHICKENやくるりも好きでしたし、その後に大橋トリオさんにハマって、色々なジャンルの音楽が好きになりました。そうした音楽を聴きながらデモを作っていたので、日本の音楽の影響が出たんじゃないかなって思います。
ーなるほど。
大学のルームメイトが全員日本人だったのもありますね。最初のルームメイトはカリフォルニア出身の日本人で、一年ぐらい二人で暮らしてそれからもっと広いところに移って四人で暮らしたりして。それまでも日本の文化、アニメや音楽やゲームが好きだったので、バークリーで出会った日本人の友達ともいろんな話が共有できて。そこで日本語も凄く勉強になったと思います。ただ、日本に家族がいるわけでもないし、その時はまだ日本で音楽をやることになるとは思ってなかったですね。
ーアメリカからデモを送ったんですよね?
そうですね。バークリーを卒業した後実家に戻ってデモ制作をやっていて。色々な国に送っていたら、日本の方から返事が来て今に至るというか。日本で活動することになったのは偶然と言ったら偶然ですけど、運命と言ったら運命かな、という感じですね。
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