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文: 黒田隆太朗 写:Kazma Kobayashi
シンセとギターが織りなす煌めくサウンドと、余白のあるリズム、そして儚い余韻を残す音色。The Sunnysは日々の中で感じるささやかな光を鳴らしている。結成当時は熱いロックサウンドを鳴らしていたというThe Sunnysが、転機を迎えたのは2年前リズム隊のメンバーチェンジがあった頃。現メンバーでグルーヴを形成していく中で、徐々に今の音楽性が開花していったのだろう。新曲の「city lights」はこれまでよりもタイトなリズムとシンプルな構成で、<何か良い事があるような気がして/僕らドキドキしてる>という未来への期待を歌っている。ロックを出発点に、シティポップの要素を取り入れアイデンティティを見出してきた彼らの理想を聞いた。
ー4人はどういう経緯で出会って結成されたんですか。
Shoma Arai:
僕とFujimotoが同じ会社に入社する時に、一緒にバンドをやりたいねって話していたのがきっかけです。まあ、彼はダメになってしまったんですけど。ーダメとは?
Eita Fujimoto:
僕は留年したので、入社できなかったんです。ーなるほど(笑)。
Shoma Arai:
それでもバンドは一緒にやろうって話して、彼と今いるメンバーとは別のベースとドラムの4人で結成して。2年前にそのふたりが脱退して、今のメンバーになりました。Itoは僕が一個前にやってたバンドで一緒にやっていて、大学の先輩です。Hasegawaはたまたまネットで知り合って、今はちょうどこのメンツでの活動が初期より長くなってきたくらいですね。ー皆さんが10代の時に熱狂した音楽はなんですか。
Shoma Arai:
僕はフィッシュマンズです。歌詞よりも音に強く惹かれて、熱狂的に聴いていたなと思います。Eita Fujimoto:
僕はスピッツですね。唯一オリジナルアルバムを全部ちゃんと追いかけているバンドで、スピッツはいつ聴いても新しい発見があるので凄いなと思います。Eita Fujimoto:
80年代のキラキラとしたギターポップを聴いたり、最近流行っているAlvvaysみたいなドリーミーなバンドを聴いた後、もう1回スピッツを聴いてみると、彼らは昔からそういう音をやっていたりするんですよね。ーItoさんとHasegawaさんはどうですか?
Kohei Ito:
僕は10代の頃はストレイテナーをめちゃくちゃ聴いていました。ーじゃあ最初に惹かれたベーシストはひなっち?
Kohei Ito:
そうですね(笑)。高校で初めてバンドを組んだ時、リーダーのヴォーカルからベースをやるならテナーを聴けって言われて。プレイ面でも影響を受けています。Sho Hasegawa:
僕はTHE BACK HORNです。ー実は男くさいロックが好きなんですね?
Sho Hasegawa:
今やっている音楽性とは全然違うジャンルを聴いてきたと思います。THE BACK HORNのように歌詞が魂に突き刺さるようなバンドが好きで、ギターもベースもドラムもめちゃめちゃ熱く弾いてる感じがバンドだなって思いました。ーThe Sunnysのドラマーとして影響を受けているバンドはありますか?
Sho Hasegawa:
People In The Boxは凄く好きです。細かいニュアンスを出しつつちょっと熱いところがあったり、タイトなグルーヴを基盤にしながら遊んでる感じは参考にしてるかもしれないです。ー資料には「シティロックバンド」って書かれてますけど、このキャッチは自覚的に掲げてるものなんですか?
Shoma Arai:
「シティポップっぽい感じをやっているけど、精神的にはロックな気がする」っていうのを誰かがTwitterに書いたんですよ。それを丸々パクった感じです(笑)。ーつまり、それが凄くしっくりきたということですね?
Shoma Arai:
凄くしっくりきましたね。ー両方の要素をお聞きしたいんですが、まずシティポップの要素は何を目指して取り入れたものですか。
Shoma Arai:
僕のルーツにシティポップの音楽が結構あって、角松敏生や山下達郎は小っちゃい頃から親の影響でずっと聴いていたんです。それで、このメンバーとサポートのキーボードでできる音楽って何かなって考えた時、シティポップのような音楽性なんじゃないかなと思ったんですよね。そういう音楽のほうが聴いてもらいやすくもあるし、自分達もやってて楽しいんじゃないかっていうところがありました。ーじゃあ仕上がりにロック感が出てくるのは?
Kohei Ito:
一番大きいのはギターですね。うちのバンドの特徴は、Araiが作るメロディがキャッチーで耳に残りやすいのと、Eitaくんのギターがメロディアスでフレーズが強いところだと思っているんですけど、シティポップではあんまりこういうギターは弾かれないのかなと。僕らはその分ボトムがシティポップを意識をしてるというか、それと上音のロックっぽい部分が融合するとこういう音になるのかなと思います。ー具体的にイメージしているものはありますか?
Kohei Ito:
僕はここ3、4年くらいのシティポップの流れで、ceroはめちゃめちゃ好きで聴いてます。そういうのが流行り出す辺りから黒っぽいベースやジャズも聴くようになったので、どちらかと言うと自分もそういうベースをやりたい気持ちがあります。ーこのバンドのロック感を担ってるのがギターと言われていましたが、Fujimotoさん自身は自分が出す音をどういうふうに自覚していますか。
Eita Fujimoto:
僕はそもそも自分が好きな音楽がスピッツやART-SCHOOLだったし、いわゆるシティポップっぽい界隈で聴くのも、シャムキャッツのようなちょっとネオアコっぽいキラっとした感じのバンドだったので。単音でブリッジミュートしてオシャレに弾くよりかは、リバーブがかかっていてメロディアスなギターが好きなんですよね。ーなるほど。
Shoma Arai:
バンドとしては結構変わってきているんですけど、彼だけは基本的にこの4年間でほぼ変わってないんですよね。一同:(笑)
Shoma Arai:
初めてこのバンドでスタジオに入った時に、Fujimotoは軸になる人だなって思ったんです。この感じのギターを弾く人って珍しいし、少なくとも自分の周りでは一番いいギターを弾いていたから、この人のリフをバンド全体で推そうっていうの意識が初期は強かったです。それに、実際その時はまだロックの要素が強くて、4人の熱さみたいなところでやっていたので、精神性の面でも結構合ってたんですよね。ーもうちょっとギターロックっぽかったと。
Shoma Arai:
そうですね。それが今の体制になって、バンドの音が変わってきて。彼もバランスを見れるようになったと思います。TAG;
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