既存の価値観をブチ壊す。Monthly Mu & New Caledoniaが生み出す粋なグルーヴ|BIG UP! Stars #19

BIG UP! Stars

文: 黒田隆太朗  写:Yosuke Demukai 

DIGLE MAGAZINEが音楽配信代行サービスをはじめ様々な形でアーティストをサポートしている『BIG UP!』を利用している注目アーティストをピックアップして紹介するインタビュー企画。第19回目はMonthly Mu & New Caledoniaが登場。

5人の音で勝とうという気概を持った音楽だ。野心に燃え、自由なグルーヴを持ったブラック・ミュージック、それがMonthly Mu & New Caledoniaである。出会いは昨年の6月、「ローファイ・ヒップホップ」をキーワードに、門口夢大(Vo)がネットを通じて集ったRyuko Suzuki(G)、達人(G)、せんせい(B)の3人に、タケリョウスケ(Dr)が加わり現体制になった。今年の2月頃からライヴを開始した若いバンドであるが、早くも今年のりんご音楽祭に出演するなど精力的に活動している。ファンクやヒッピホップからの影響を感じる隙間の多いグルーヴと、楽器同士の痛快なリレーは既にこのバンドの個性だろう。何より、渋みを感じる挑発的なヴォーカルが気持ちいい。爽やかな風を感じる新曲「El Sol」の最後には、<world is mine>という意志が綴られている。
門口は言う、「決まりきった価値観をブチ壊したいんだ」と。そして、この音楽は好きに解釈しほしいと。そう、何にも縛られる必要はない、好きにやろう。

集いのテーマは「ローファイ・ヒップホップ」

ーそれぞれ、10代の時に一番ハマった音楽は?

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せんせい:

僕はChemical Brothersですね。

ー踊り狂ってたんですね?

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せんせい:

いや、違います。僕は陰キャだったので、イヤホン付けて、部屋でじっとしながらケミカルを聴いていました。
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門口:

(笑)。
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せんせい:

今の音楽性に繋がるのは、大学の頃に聴いてた山下達郎ですね。彼から影響を受けています。
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門口:

僕は銀杏BOYZTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT、あとはThe Strokesです。The Strokesはあの並びがカッコよくて、それで僕もバンドをやるなら5人がいいなって思いました。

ーなるほど。Ryukoさんはどうですか。

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Ryuko:

僕はKISSですね。もちろん音楽も好きなんですけど、ステージ・パフォーマンスに惹かれていました。自分達をどう見せるかっていうことのプロフェッショナルで、エンターテイメントとしていろんな人が楽しめる存在だと思う。音楽としての間口が広くて、素敵ですね。僕達も音楽とプラスアルファの部分で、自分達をどう見せていくのかっていうことはいろいろ試していきたいと思います。
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達人:

自分は10代後半に一番ハマったのレイジ(Rage Against The Machine)ですかね。ロックの中に初めて衝動みたいなものを感じました。

ーいきなりレイジにやられたんですか?

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達人:

いや、あれが突然きたわけではないですね(笑)。小さい頃にピアノをやっていて、久石譲が凄く好きでした。彼の次にフジファブリックにハマり、高校生くらいの時に志村が死んじゃって、「ああ、人って死ぬんだな」って思いながらフジファブリックとかサンボマスターを聴いていて。そのくらい時に洋楽を聴くタイミングがあって、ジャケットがカッコよかったからPearl Jamを買ったんですけど。そこからNirvanaは聴かずにレッチリ(Red Hot Chili Peppers)を聴き、その流れでレイジを聴いたらめっちゃカッコよくて。久石譲、フジファブリック、レイジという流れです(笑)。

ーでは、最後にタケさんは?

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タケ:

Sum 41に一番ハマりました。中学は寮生活をしていて、一週間に1回実家に帰ってたんですけど、地元の友達と遊ぶわけでもなくずっと家にいたので退屈だったんです。その時家の倉庫にあった段ボールに、10個上のお兄ちゃんが聴いてたCDがぶわって入っていて。僕はCDっていう概念がなかったので、写真を見るようにジャケットを見ていたんですけど、そこで一際目立ってたのがSum 41の『Does This Look Infected』でした。ゾンビのジャケットで、歌詞カードもみんなメイクしていたのが面白かったし、聴いてみたら唾を吐く音から始まって。しかも曲名が「The Hell Song」なんですよ。「地獄の歌」って…と思ったんですけど、超カッコいいなって。
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Ryuko:

ジャケットの写真の人がドラマーだったから、ドラム始めたんでしょ?
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タケ:

そうそう。Youtube見たらドラムの人がそのジャケットの人で、「ヴォーカルじゃないんや!」って思った。日本のバンドみたいな、イケメン、ヴォーカル、ドーンみたいな感じじゃないところもカッコよくて、叩き方もカッコいいし、スキンヘッドでラップもしてドラムもしているから、俺にはそのドラムのスティーヴが主人公に見えたんです。そのまま親に習いたいって頼んで始めました。

ーみんなバラバラではありますが、全員根っこにはロックがありますね。

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達人:

通らない人はいないと思いますね。

ー今は黒い音楽性が特徴的ですよね。この音楽性に目覚めたのは?

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達人:

一応「ローファイ・ヒップポップ」っていう名目のもと集まっていて、最初にセッションしたのはD’Angeloでした。あとは皆Tom Mischも好きだし、FKJとかそこら辺が共通の好きなものですね。

ーローファイ・ヒップホップをやりたかった理由は?

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門口:

僕が元々やっていたバンドがガレージっぽい音だったので、それとは真逆のことをやりたいなって思って、最初にメンバー募集をする時にそのテーマを伝えました。個人的にもD’Angeloはめちゃくちゃ好きで、時代的にも、ロックからローファイを聴くようになっているから。Frank Oceanにも惹かれているし、ロックロックしてるっていうよりは、今のトレンドも取り入れた音をやりたいとは思っていました。
次ページ:ジャムセッションで直観した

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