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文: 黒田隆太朗 写:後藤倫人
ColdplayやOasisを彷彿とさせる、巨大なスケールを持ったダイナミックな歌。スタジアムやグラストンベリーまで突き抜けていこうという、野心に満ちたロックバンドだ。結成は2017年、この2年の間に3枚のEPと1枚のミニアルバムをリリースし、47都道府県ツアーも敢行。バンドとしての地力を底上げして産み落とされるのが、初のアルバム『No Man’s Empire』である。「誰の帝国でもない」と冠せられたそれは、世界に牙をつきつけるアルバムであり自分のいる世界を抱きしめるためのアルバムだ。生音とエレクトロを同居させ、くだらない世界から解き放たれたいという欲求と、幸せになりたいという素直な感情がありのまま歌われている。Reiは<君は金色に燃える様な目をしていた もう怖がらないで>と歌っている。「君」とはすなわちこの音楽を聴くリスナーのことであり、同時に彼自身のことだろう。火のついた目をしているバンドだ。
ーColdplayやMuse、もしくはOasisやThe Strokesの影響が聴こえてきますが、皆さんがそれぞれ10代の頃に熱狂した音楽は何ですか?
Ryoya:
僕はOasisですね。高校1年生の頃によく聴いていて、2005年のマンチェスターで「Don’t Look Back in Anger」をやっている映像をYouTubeで観た時に、みんながAメロからサビまでずっと歌っていることに感動して。僕もバンドやりたいと思いました。ーReiさんはどうですか?
Rei:
僕らが10代の頃にはガレージロック・リバイバルがあったので、The StrokesとかArctic Monkeys、The Fratellisが凄く流行っていて、友達と一緒に聴いたりコピーバンドをしていました。そうした2000年代のロックが根底にありつつ、最新のシンセポップを聴きながら、80’sとか70’sの音楽も聴いていましたね。僕もOasisは通っているし、RadioheadやNirvana、ベルセバ(Belle And Sebastian)やThe Smithsも聴いていました。Yohey:
僕は10代の頃に一番聴いたのはRancidです。Nirvana、KISS、Deep Purpleも好きだったんですけど、Rancidはとにかく激しくて、なおかつポップだったから。僕がポップなものが好きになる原点を探ると、Rancidが出てくるというか。彼らは音楽的に一辺倒になるのではなく、歌やギターフレーズが物凄くポップなところが好きでした。ー最後にStevenさんは?
Steven:
僕の親はクリスチャンだったから、クリスチャン・バンドじゃないものは聴いちゃダメっていうルールがあったんですよね。でも、音楽の先生からもらったMr. BigのCDに凄くハマって、12歳くらいまではMr. Bigしか聴いてなかったです。ーいいですね(笑)。
Steven:
それからパンクロックのThe Offspringとかblink-182、New Found Gloryを隠れて聴いてました。ー逆に言うと、こっそり聴くくらいエモやパンクには惹きつけられる何かがあった?
Steven:
なんでかわからないけど、本当に好きだった。単純に若い俺の気持ちがあったんだと思う。Rei:
俺は何にも縛られねえっていうパンクじゃない?Yohey:
僕らが10代の頃って、ガレージロックリバイバルもそうだし、Red Hot Chili PeppersとかBring Me the Horizonとかやんちゃな人達が多くて、それに惹かれるところはありましたね。ーそれぞれ、ご自身が演奏しているパートでリスペクトしているプレイヤーはいますか?
Rei:
俺はQueenのフレディ・マーキュリー(Freddie Mercury)かな。あいつが歌ったら全部Queenじゃないですか。何を歌っても俺が歌えばNewspeakになるような、そういうヴォーカリストになりたいです。Yohey:
それで言うと僕はジョン・ディーコンですね。Rei:
Queen大好きバンドじゃん!(笑)。ー(笑)。
Yohey:
でも、実際にQueenの曲のバリエーションを支えているのはジョン・ディーコンだと思う。あの人はベースプレイヤーとして派手なことは何ひとつしていないけど、いろいろな曲がある中で、ベーシックな部分を細かく変えて楽曲を引き立たせていると思います。ー自分と通ずるところを感じますか?
Yohey:
感じますね。このバンドもいろいろな曲調で歌がちゃんと立ったロックをやっていて、その中で僕は派手ではないけど、面白い支え方をしたいと思っています。僕は個人でスタープレイヤーになりたいとは思っていなくて、バリエーション豊かな曲を、バリエーションのあるベースで支えたいです。ーRyoyaさんは?
Ryoya:
このバンドのスタイルとは重ならないんですけど、憧れだけで言えばジミー・ペイジかな。ジミー・ペイジは完全にザ・ギタリストって感じがカッコいいですよね。もう、あの人がLed Zeppelinじゃないですか。そういうギタリストが好きで、ジェフ・ベック(Jeff Beck)とかも凄く好きでした。ただ、Newspeakでは僕もあまり個人で目立つことは考えてないですね。ギターに特化した曲ではなくて、みんなの個性が相まってひとつの曲になるような音楽をNewspeakではやりたいです。ーでは、Stevenさん。
Steven:
ひとりはMr. Bigのパット・トーピー、あとはblink-182のトラヴィス・バーカー。ドラマーにハマるきっかけをもらったのはこのふたりです。ーご自身はどういうドラムを叩きたいと思っていますか。
Steven:
昔の速いパンクロックが好きですね。ダブルペダルが嫌だったから、メタルではなくパンクロックが好きだった。ただ、がっつりそっちをやってきたけど、歳を取ってゆったりしたものになってきたというか…気持ちはまだ昔の速いパンクロックなんですけど、最近はちょっとだけテンポを落としてます。Rei:
この間Stevenが速い曲をやりたいっていうから作ってみたら、ライヴでしんどいっていう(笑)。Steven:
昔簡単に弾いていたトラヴィス・バーカーのフレーズが本当に大変なんですよ(笑)。1分も続けられない。一同:(笑)。
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