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文: 保坂隆純 編:久野麻衣
大沼パセリが新曲「スカート」を10月7日にリリースした。
バーチャル・シンガーの花譜らを擁するYouTube発のクリエイティブ・レーベル〈KAMITSUBAKI STUDIO〉に所属する大沼パセリは、ボカロPとしてそのキャリアを始動させながら、9月にリリースした「Latency」よりセルフ・ボーカルを始動させた気鋭の新世代アーティスト。プロデューサーとしてはEDMからフューチャーベース、ドラムンベース〜ヒップホップまで、どこかメランコリックな世界感は一貫しているが、器用に様々なスタイルを横断する作風で人気を集めている。
未だミステリアスな側面も多い彼の初インタビューとなる本稿では、彼のバックグラウンドからこれまでの足取りを振り返ると同時に、新たな道を歩み始めた彼の現在地を訊いた。
―大沼さんのルーツについて教えて下さい。最初に音楽に熱中したのはいつ頃だったのでしょうか。
バンドをやっていた兄の影響で楽器に興味を持って、中学2年生の時にギターを買ってもらったのがきっかけだと思います。BUMP OF CHICKENやRADWIMPSなど、ロック・バンドを聴いたりカバーしたりしていました。高校生になってからはバンドを始めて、しばらくしたらオリジナル曲を作ってライブハウスなどにも出演するようになりました。
―ご自身はギター・ボーカルで?
はい。
―お兄さんとは音楽の趣味も近かったのでしょうか。
そうですね。最初の頃は兄が聴いているものを僕も聴くっていう感じでした。それこそオリジナル曲を作り始めたのも兄の影響が大きくて。兄の作り方を参考にして、見様見真似で作っていきました。
―お兄さんと技術や知識を共有しつつ。
兄はベースだったので、ギターやボーカルに関しては割と独学だったかもしれません。
―バンドとして活動していた大沼さんが、ボカロと出会うのはいつ頃なのでしょうか。
高校卒業後、僕は音楽の専門学校に進んで。専門時代も同じメンバーでバンドは続けていたのですが、就職を機にお互い時間などが合わなくなり、必然的に解散しました。僕はそれでもバンドをやりたかったので、新たにメンバーを探していたのですが、中々見つからず……。どうしようかなって悩んでいた時に、ボカロを使っている友人の話を聞いて、始めました。
―バンド時代はDTMもあまりやっていなかったのでしょうか。
専門学校で少し学ぶ機会はありました。とは言え、ボカロを始めたばかりの頃は何がなんだかわからなかったです。色々調べながらひとりで勉強していて、最初に何とか完成させた曲は、ひっそりと匿名でネットにUPしました。今はもう消してますけど(笑)。
その辺りから向上心もより強くなって。もっと勉強すれば、もっともっといい曲が作れるって思えるようになったんです。それで投稿を重ねているうちにどんどんハマっていきました。
―制作のノウハウを勉強、実践しつつ、同時にボカロPのカルチャーも吸収していったと。
いえ、あまり他のボカロPの作品は聴いてなかったです。ボカロで曲を作るようになってからも、聴くのはロック・バンドが多かったです。
―そうなんですね。EDMやドラムンベースを想起させる作品もあるので、ダンス・ミュージックやボカロ界隈の音楽も吸収しているのかと思っていました。
そういった要素はDTMを始めてから勉強したものですね。DTMのハウトゥー動画とかを見ているうちにSkrillexに辿り着いて。ダブステップやブロステップからも影響も受けていると思います。そこから派生して、ヒップホップやビート・ミュージックも聴くようになりました。
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