今必要なのは、ライブ感。ninja beatsが唯一無二であり続けるために。|Newave Japan #12

Newave Japan

文: スギタヨウヘイ  写:yujiro tokushige 

それぞれの音楽ライフを掘り下げるインタビュー企画『Newave Japan』。12回目の今回はSHIN(ウクレレ)とYUYA(ヒューマンビートボックス)からなる音楽ユニット、ninja beats。ドイツで開催された世界最大級のライブコンテスト<エマージェンザ>で、6万を越える出場バンドの頂点に立ち、今年の5月には2nd EP『RINNÉ』をリリース。彼らの音楽のルーツやこれからについて伺いました。

きっかけはMichael Jacksonとジェイク・シマブクロ。

ーまずはじめに、ビートボックスとウクレレを始めたきっかけを教えてもらえますか?

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YUYA:

小学生の頃、両親の影響でMichael JacksonのDVDをよく観ていました。その時にムーンウォークを知ったのですが、人間とは思えないパフォーマンスに衝撃を受けて「周りがやっていないような、僕にしかできない特技を身につけたい」と思いました。それからテレビCMで見たビートボックスを思い出して「YouTube」にある動画のマネをはじめたことがきっかけですね。

ービートボックスのどんなこところに惹かれましたか?

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YUYA:

マイク1本で音楽ができるというパフォーマンス性に惹かれました。楽器も設備も何もないところで音楽を鳴らせるということが、その人にしかできない唯一無二の表現だと思ったんです。同じスネアの音でも、人それぞれ個性が出てて音の抜け感や厚みが違うんですよ。

学生時代はボイスレコーダーに自分の声を録音して音源と比較するという地道な練習を繰り返していました。それだけでなく、例えば15分の演奏ならどういう構成でどういうジャンルの音楽をかけるか、どういうテクニックを使って盛り上げるかを紙に書いて整理して、自分のパフォーマンスを組み立てていましたね。(笑)

ー当時、憧れのビートボクサーはいましたか?

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YUYA:

国内の公式なビートボックスの大会で何度も優勝されている妖怪うらに洗いさんです。歌唱力が高くてピッチがずれないだけでなく、歌いながらベースやパーカッションの音も入れることで1人で曲を再現してしまうという実力者です。

“どんな環境にいても音楽を再現できる”ことに驚きがあって、妖怪うらに洗いさんのスタイルに憧れていましたね。

インタビュイー画像

SHIN:

僕は17歳までサイパン島で育ったのですが、ウクレレを弾く人が多い国なので自分も当たり前のようにウクレレを弾いていましたね。日本の学校の授業でリコーダーを習うのと同じようにサイパンではウクレレの授業があったので、徐々にハマっていきました。

カバーしようと一番頑張ったのはジェイク・シマブクロさんです。クラシックやジャズ、ロックなど色々なジャンルを飛び越えて活躍する彼によってウクレレのシーンがガラッと変わりましたね。12歳の時に初めてライブを観たのですが、モチベーション上がって猛烈に練習するようになりました。

ウクレレと聞くとハワイアンミュージックを連想しがちですが、彼が他のジャンルの曲を演奏したことでウクレレに対する固定概念が壊れていったと思っています。そんな革新的なスタイルが魅力ですね。

ただ、ジェイク・シマブクロさんの影響力が強すぎて、多くの方が彼のような演奏スタイルに変わっていきました。僕は14歳の時に日本最高峰のウクレレコンテストに出場したのですが、僕を含めたほとんどの出演者の演奏が彼に似ていました。

そこで、僕はあえて彼とは異なるスタイルの演奏を探し求めることにしました。みんなと同じではつまらない、他の人がやっていないことをやりたいという性格なんです。

邪道でもいい。唯一無二の存在でいたい。

ーYUYAさんもSHINさんも、他にはない自分だけのスタイルを追い求めているように感じます。

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YUYA:

僕はやはりMichael Jacksonのパフォーマンスに衝撃を受けたという原体験があるので、彼のような存在になりたいという思いがありますね。

ー思い入れのある曲はありますか?

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YUYA:

「Remember The Time」が好きです。

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YUYA:

「Billie Jean」のムーンウォーク、「Smooth Criminal」のゼロ・グラヴィティは有名ですが、「Remember The Time」においてもMVのコンセプトやダンスといった音楽以外の要素が組み合わさって成り立っているところが魅力だと思っています。Michael Jacksonのパフォーマンスは唯一無二ですね。

ーSHINさんはいかがでしょうか。

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SHIN:

僕は純粋にウクレレをどんな手を使ってでも広めたいという気持ちがあって(笑)、そのために自分独自のスタイルを確立させたいと思っています。

ーハワイアンミュージックのイメージがあるウクレレで別ジャンルの曲を作ることには何か意図があるのでしょうか。

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SHIN:

ウクレレの良さを多く人に伝えるには、すでにイメージが定着したハワイアンミュージックよりも、普段ウクレレを聴かない人達に響く曲を作ったほうが価値があると思いました。今の若い人達はウクレレをあまり聴かないので、ダンスミュージックなどとかけ合わせることで聴いてもらいやすくなるのではないかと。

さらに、“ウクレレが弾けるようになると人生が豊かになる”と思っていて。ウクレレは安くて小さくて軽いので、誰でもできる楽器なんです。多くの人にウクレレの良さを知ってもらいたいですね。

ーどんな瞬間に「ウクレレを弾いていてよかった」と感じますか?

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SHIN:

自分がウクレレを弾いて、人に「素敵な演奏だった」「癒された」と言ってもらえると相手をポジティブな気持ちにできたという実感があるので嬉しいですね、

また、僕はウクレレスクールを運営しているのですが、生徒が友達の誕生日パーティーでウクレレを披露したらみんなに喜んでもらえたという話を嬉しそうに僕に報告してくれて。自分の影響でウクレレを始めた人から色々な話を聞くと僕まで幸せな気持ちになりますね。

ウクレレというコミュニケーションツールを通してたくさんの人が幸せになれると本気で思っています。

ービートボックスはある意味「名人芸」という見方もできると思うのですが、ビートボクサーとして意識していることはありますか?

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YUYA:

ビートボクサーには今までにない音を出すために技術を磨いてバトルに勝ちたいという人と、純粋に音楽がやりたいという人がいると思っているのですが、僕はどちらかといえば後者なのでやりたい音楽のためにビートボックスをやっています。もちろん、どちらが正しいという話ではありません。

そのため、僕はビートボックスでバトルするようなビートボクサーのコミュニティーには入っていません。今の僕のポジションはビートボクサーとして邪道かもしれませんが、自分のスタイルを真似されたくないですし、むしろ誇りに思っています。

唯一無二でいたいという思いが強いので、もし僕のスタイルが普及したら違うやり方で先に進もうとすると思います。

SHIN(ウクレレ)、YUYA(ヒューマンビートボックス)
次ページ:求められているのは「ライブ感」。

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スギタヨウヘイ

1990年生まれのライター。文章を書いたり、写真を撮ったりしています。

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2014年4月結成。ウクレレ(SHIN)とヒューマンビートボックス(YUYA)からなる早稲田大学発の音楽ユニット。ループマシンやDJ機材を駆使し、既存の音楽ジャンルにとらわれない変幻自在なサウンドを創りだしている。
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