予算の壁をAIで超える。Google「Music Video with Gemini」の全制作過程を収めたドキュメンタリーが公開

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文: DIGLE編集部  編:Kou Ishimaru 

GoogleがAIを活用したMV制作プロジェクト「Music Video with Gemini」のドキュメンタリー映像を公開。TOWA TEI、藤井隆、LAUSBUBら6組のアーティストと映像クリエイターが、Geminiなど最新AIツールで実現した計15本の制作過程が明かされる。

Googleが、最新AIツール群を活用してMVを制作するプロジェクト「Music Video with Gemini」の全制作過程を収めたドキュメンタリー映像を、Google公式YouTubeチャンネルにて公開した。TOWA TEI藤井隆STUTS on the WAVEパソコン音楽クラブmuqueLAUSBUBの6組のアーティストとともに制作した計15本のMVはすでに公開されており、今回のドキュメンタリーではその制作現場のリアルな姿が明かされている。

本プロジェクトの出発点は、効率化やコスト削減ではない。「予算やスケジュールの制約で実現できなかった映像を、AIという新しい画材で実現できるのではないか」という問いから始まっており、各監督がAIをどう制作に組み込んだかという手法そのものが、作品ごとに大きく異なる。以下に紹介する。

各作品紹介

山口祐果監督 × LAUSBUB「golden lighter」

実写の計画性をあえて捨て、AIの予測不能な出力と正面から向き合う手法が採られた。400カット以上の素材から8分間のカオティックなMVが生まれている。

平牧和彦監督 × パソコン音楽クラブ「hikari feat. 長谷川白紙」

コップ2つが写った1枚の写真を起点に、"AIしりとり"と呼ぶ手法で映像を数珠つなぎに生成。380以上のレイヤーを手作業で調整した、人力とAIが極限まで混在した作品だ。

田向潤監督 × muque「Level up」

ダンス経験のないバンドメンバーをAIのフレーム補間技術で超人的なダンサーへと変貌させた。実写1割・AI生成9割という構成で、実写とAIの役割分担を明確に設計した点が特徴的だ。

堀田英仁監督 × STUTS on the WAVE「Final Destination feat. Campanella、Candee、鎮座DOPENESS」

アーティストのスマートフォンに残る私的な写真を素材に、AIで記憶の空白を補完するアプローチを採った。実写とAI生成の境界が意図的に曖昧にされており、記憶の中にいるような感覚を映像として成立させている。

中村剛監督 × TOWA TEI「APPLE feat. 椎名林檎」

2013年リリースの楽曲を「新しいテクノロジーが生まれた時に映像化する」というTOWA TEI自身の構想のもと、10年越しにMV化したもの。数か月にわたり毎日Geminiと対話しながら制作が進められた。

畑野亮監督・関口きらら監督・角谷アキラ監督 × 藤井隆「light showers」

2017年リリースのアルバム全10曲に対し、各15秒の"架空のCM"を起点として3名の若手監督がAIでフルレングスのMVへと拡張した。8年の時を経た楽曲群に、AIを介して新たな映像が与えられた形だ。

使用ツールと、ドキュメンタリーで見えるもの

使用されたツールはGemini、映像生成AIのVeo 3、映像編集ツールのFlow、画像生成AIのNano BananaやWhiskなど複数にわたる。ドキュメンタリー映像では、各監督がプロンプトをどう工夫し、AIの予測不能な出力とどう対話したかが具体的に収められており、制作手法を自らの現場に応用したいクリエイターにとって参照価値の高い内容となっている。

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