文: 高橋梓 編:Kou Ishimaru
EP『EN-GÏNE』リリース後、Spotify月間リスナー200万人突破とTikTokバイラル1位を同時に達成したONE OR EIGHT。彼らに今、何が起きているのか。その背景を読み解くコラムを掲載する。
9月16日にEP『EN-GÏNE』をリリースした、8人組ボーイズグループ・ONE OR EIGHT。リリース後まもなくの9月21日にはSpotifyの月間リスナー数が200万人を突破。現在活動中の国内のボーイズグループでSpotifyの月間リスナー数が200万人を超えているのはM!LK、BE:FIRST、ONE OR EIGHTの3組のみとなる。さらに9月25日には、『EN-GÏNE』収録曲の「TRANSLATE」がTikTokの「バイラル50」で1位を獲得。『EN-GÏNE』のリリースを機に、「月間リスナー数200万人突破」、「TikTokバイラル1位」と異なるプラットフォームで大きな数字が動いている。一体、現在のONE OR EIGHTに何が起きているのだろうか。
これまでONE OR EIGHTは、「東京から世界へ」というビジョンを掲げ、結成当初から海外での活動にも力を入れてきた。そして今もなお自分たちのルーツである「東京」を武器に、国内外でさまざまな挑戦を続けて道を切り拓いている。しかし、国内を見渡してみると「日本・東京発」というアイデンティティを武器に海外を目指すボーイズグループは、複数存在する。例えば、PSYCHIC FEVERは2024年にアジアツアー、2025年にはU.S.ツアーを開催し、KID PHENOMENONもアジアやアメリカでの音楽イベント、フェスに参加している。また、BE:FIRSTも2025年にワールドツアーを行い、2026年にはグローバルEPをリリースしたことは記憶に新しい。こうして見ると、「東京から世界へ」というONE OR EIGHTのビジョンは、現在の日本のボーイズグループにおいて唯一無二というわけではない。では、なぜONE OR EIGHTはこれほどまでに数字を伸ばしているのか。その理由を考えるうえで、彼らが「東京」をどのように表現しているのかに注目してみたい。
まず彼らのパフォーマンスで目を引くのは、スキルの高さだ。ぴったりとシンクロするユニゾンと、それぞれの個性が見えるニュアンスの表現を共存させたダンス。英語を流暢に操りながら、楽曲によって歌唱法を変えていくボーカル。ONE OR EIGHTには、世界を舞台に活動していくための確固たる土台がある。そのうえで、彼らの楽曲やビジュアルには「東京」という都市のイメージが色濃く反映されている。例えば、「KAWASAKI」。タイトルからも日本の都市やストリートカルチャーを想起させる同曲は、いわゆるステレオタイプな「J-POP」とは異なり、どこか退廃的でカオスな東京のストリート感をまとっている。
また、2026年7月15日にリリースした「YANKEE SQUAT」にも、ヒップホップを軸にしたストリートカルチャーの空気が感じられる。そして、ビジュアルやスタイリングにも注目だ。どこかミステリアスでダークな雰囲気がありながらも、ポップさやストリートスタイルが共存しており、さまざまな文化や価値観が混在することで独自の表情を生み出しているように見える。その“ごちゃまぜの美学”もまた、東京という都市が持つ一面と言えるだろう。
ONE OR EIGHTは、「東京」という言葉を単なる出身地や活動拠点として掲げているのではない。海外から見た、少しダークで、近未来的で、さまざまなカルチャーが入り混じる“TOKYO”のイメージそのものを、音楽やビジュアル、パフォーマンスへと落とし込んでいるのだ。漫画やアニメ、映画などを通して世界に共有されてきた「TOKYO」のイメージを、自分たちの表現として再構築しているとも言えそうだ。
その特徴が特にわかりやすく表れているのが、「TOKYO DRIFT」だろう。そもそもタイトルに「TOKYO」というワードが入っていること自体、世界のリスナーにとってわかりやすいフックになる。加えて、映画『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』の主題歌として世界的なヒットを記録した楽曲をリメイクしており、楽曲としての強度も高い。さらにMVでは、街並みやアパートの一室、人混み、食べ物など、東京を想起させるさまざまなモチーフが登場し、サイバーな演出も重なっている。ダンスの構成も目まぐるしく変化しており、入り組んだ地下鉄や交差点、立ち並ぶビル群など、混沌とした「東京」という都市そのものを表現しているようにも見える。
こうした楽曲や映像の魅力に加え、同曲はTikTokでも大きな広がりを見せた。結果として、「TOKYO DRIFT」は、世界のリスナーがONE OR EIGHTを知るためのひとつの入り口になったのではないだろうか。
そして現在、その入り口は一つではなくなっている。『EN-GÏNE』収録曲「TRANSLATE」のTikTokバイラル1位獲得だ。「TOKYO DRIFT」とは異なる楽曲が、別の形でTikTok上から注目を集めているのだが、重要なのは単に「また1曲がバズった」だけではないことだ。ONE OR EIGHTには、ひとつの楽曲からグループを知るだけでなく、異なる楽曲、映像、パフォーマンス、SNSコンテンツなど、それぞれの場所からグループへたどり着ける複数の入り口が生まれ始めている。「TOKYO DRIFT」が広げた認知に加え、「TRANSLATE」のような別の楽曲も新たなリスナーとの接点を作る。現在のONE OR EIGHTには、複数の楽曲をきっかけにグループそのものへたどり着ける構図が生まれ始めているのではないだろうか。
そしてそこにこそ、現在のONE OR EIGHTに起きている変化が見えるのではないだろうか。これまで「東京から世界へ」という言葉は、ONE OR EIGHTが掲げる目標であり、意思であった。日本から世界へ出ていくために海外でライブを行い、さまざまな場所でパフォーマンスを披露する。言ってみれば、日本から海外へ向かっていく一方向のストーリーだった。しかし今、その構図が少しずつ変わり始めている。日本から発信した楽曲がSNSを通して海外にも広がり、Spotifyなどで聴かれる。そこで興味を持った人が、別の楽曲や映像、メンバーのパフォーマンスに触れる。そして、実際に海外でライブを行うことで、さらに新たな接点が生まれる。その反応がまた楽曲の再生やSNSでの広がりにつながっていく。楽曲、SNS、ビジュアル、ライブ、海外活動と、それぞれが独立した活動として存在するのではなく、ONE OR EIGHTを知るための複数の入り口として機能し、その先で互いにつながり始めているのではないだろうか。だからこそ、現在のONE OR EIGHTに起きていることを、「人気上昇」として捉えるだけでは少し物足りない。Spotifyの月間リスナー数200万人も、TikTok「バイラル50」1位も、彼らを取り巻く動きが大きくなっていることを示すひとつの指標なのだ。
「東京」を自分たちの表現としてコンテンツ化し、「東京から世界へ」を発信してきたONE OR EIGHT。今やその発信を世界のリスナーがキャッチし、彼らを見つけ、楽曲を聴き、その反応が再び数字となって返ってきている。「世界へ行く」だけではなく、「世界と反応し合う」。ONE OR EIGHTはいま、そんな新たなフェーズへと足を踏み入れ始めているのかもしれない。
RELEASE INFORMATION
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ONE OR EIGHT『EN-GÏNE』(1st EP)
2026年9月16日(水)配信
【TRACKLIST】
1. V8
2. YANKEE SQUAT
3. TRANSLATE
4. I<3 IT 5. MONSTER 6. INVINCIBLE外部リンク
EVENT INFORMATION
<ONE OR EIGHT SHŪKAI 2026-2027 in JAPAN -2GATHER->
47都道府県を巡るファンミーティングツアー
<ONE OR EIGHT Special SHOW CASE 2026 in ASIA -V8->
アジアツアー
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