砂の壁が日常に添える、生き抜くためのささやかな光

Review

文: DIGLE編集部  編:Kou Ishimaru 

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は砂の壁をご紹介します。

むしばまれそうな心のお守りに

同じ大学出身のメンバーで結成し、2019年より活動を開始した4人組バンド、砂の壁。キーボードとギターのダブルリード編成で、日々の暮らしに寄り添う温かなポップスを鳴らしている。

先日配信が開始された「Tower」は、キーボードの青木とボーカル・ギターのオボによる共作。“都市を生きる人々の現在地”をテーマに、様々なモチーフや言い回しを用いて順風満帆とはいかない人生を描いている。

リリースに際して、青木は「楽曲「Tower」において塔とは何者でしょうか。」と言葉を寄せていたが、おそらくそれは理想の自分自身ではないだろうか。五感に蓄積された記憶に翻弄されながらも、人生という帰り道のない旅をいく。その行く先々で想像とは違う世界に出会うこともあるだろう。誰かの教訓では太刀打ちできない場面に直面することもあるだろう。それでも、志を呼ばれる灯を消さぬままに、それぞれの塔を目指すのだ。

透明感のある音色で構築されたAORサウンドは、都心へ出てきたばかりの純粋無垢な頃の姿を描くよう。心が何かにむしばまれそうになったとき、そっと支えになってくれる1曲だ。

砂の壁

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