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文: Mai Kuno
うねりを見せるアジアのR&Bシーン。国境を超えてさまざまなカルチャーが混ざり合う今、国内で注目したいのが日中をルーツに持つシンガーソングライター・Foiだ。幼少期を中国で過ごした彼女は、日本へ帰国した高校生時代に音楽活動をスタートし、幾田りら(YOASOBI)も所属していたセッション・ユニット“ぷらそにか”を2020年に卒業。本格的にソロ活動を始め、5月25日に初のフルアルバム『HER』をリリースした。
アレンジを手掛けたmaeshima soshi、VivaOla、TiMT、土器大洋(MO MOMA)、西原健一郎、George(MOP of HEAD)、TOOBOE、mashoe’らとのコラボによって、彼女の様々な表情を見せるバラエティ豊かな楽曲が揃った今作。インタビューでは、作品の根となる彼女の音楽ルーツからアルバム制作エピソード、アジアへ向ける思いまで話を聞いた。
ーFoiさんは幼い頃は中国に住んでいたそうですが、当時はどんな音楽と触れ合っていましたか?
私はお母さんが中国人で、小学3年から8年間を中国・北京で過ごしたんです。その時に自分から意欲的に音楽を聴いたり歌ったりしはじめて、特に中国のR&B=C-R&Bのテイストがすごく好きでした。今でも定期的に聴いています。
ーC-R&Bに出会ったきっかけは?
母の妹が歌の好きな人で、私が小さい頃によく部屋で流していたんです。小学生の時には、そこで覚えた曲をカラオケで歌ったりしていました。
ー中国でもカラオケって人気なんですね。
中国はカラオケがめちゃくちゃ安いんですよ。4時間1000円くらいの部屋代だけなので、暇さえあればみんなカラオケに行ってましたね。
ー当時よく聴いてたアーティストはいますか?
ジェイ・チョウさんは全曲歌えるんじゃないかっていうくらい好きです!マンドポップのキング的存在で曲調的にはR&Bが多いんですけど、ラップや中国風の曲もあって幅広い音楽性を持った方です。他にも、カリル・フォンさん、デヴィッド・タオさんなど好きなアーティストは沢山います。
ーC-R&Bのどんなところに惹かれたのでしょう?
やっぱり中国の歌はすごくメロディが綺麗だなって思います。全体的にバラードが多くて、歌詞も特徴的なんですよね。大体韻を踏んでるし、表現も言葉っていうよりか詩に近い。そして、特にラブソングが多いんです。お陰様でラブソングが大好きになりました(笑)。
ーなるほど(笑)。ちなみに、中国にいた頃に日本の曲は聴いていましたか?
宇多田ヒカルさんは聴いてたんですけど、他にはあんまり日本の曲って聴いてなくて。帰ってきてからたくさん聴くようになりました。帰ってきたのは高校生の頃で、邦ロックがすごく流行ってましたね。RADWIMPSさん、KANA-BOONさん、SHISHAMOさんとかをよく聴いていました。
ーJ-POPは聴いてましたか?
聴いてました!aikoさん、KIRINJIさんとかが好きで、貪るように開拓していました。
ーKIRINJIは意外かなと思ったのですが、どんなところに惹かれたんですか?
メロディと声の重なりが特徴的だし、歌詞がすごく好きなんです。1枚目のアルバムは今でも毎年聴いてますね。
ー音楽の接し方も日本に来て変わりましたか?
日本に来てからはガラッと変わって、音楽を作る方が多くなりました。高校では軽音部に入ってたんですけど、その時に友達と一緒に無料のシンガーソングライター講座のオーディションを受けたんです。それに合格したのをきっかけに曲を作ったり、アコギを弾くようになりました。軽音部に入ったばかりの頃は歌は歌わなくていいかなって思ってギターを担当していたんです。でも、その講座は歌を作って歌う子たちが集まっていたので、私もやりたい気持ちが高まって、自分で作って歌うことを始めました。
ー当時はどんなふうに作曲していたんですか?
鼻歌でメロディーを作って、そこからギターでコードつけて。弾き語りのライブとかもやってました。
ーそうやってシンガーソングライターとして活動を始めたことが、YouTubeを中心に人気のアコースティック・セッション・ユニット“ぷらそにか”の活動につながっていくわけですね。
ぷらそにかは高校3年生の時に声をかけていただいて立ち上げから関わっていました。登録者0人からのスタートだったので最初は大変でしたね。今のぷらそにかとは別物だと思います。ライブも人を集めるのに苦労していて、路上ライブもしていたし。でも、そのおかげで音楽に関わるたくさんの友達に出会うことができたんですよね。そして、2年前くらいに今のマネージャーと出会って、本格的にFoiの活動を始めるために卒業しました。
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