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文: 山田邦子 編:Miku Jimbo
国内外で注目を集める津軽三味線奏者、駒田早代。“和楽器は優雅な音色”というイメージを打ち砕くパワフルなサウンドとダイナミックな演奏が、見る者の心を奪う。
彼女は全国各地で演奏活動をしながら、YouTubeやInstagramに演奏動画を数多く投稿。民謡などの古典はもちろん、Eric Clapton(エリック・クラプトン)やMåneskin(マネスキン)などの洋楽ロックのカバー、Ado、米津玄師、KEYTALK、X JAPANをはじめとする邦楽カバーなど、演奏ジャンルは多岐にわたる。また、Red Hot Chili Peppers(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)「Snow(Hey Oh)」のカバーを投稿した際にFlea(フリー)本人からリアクションがあり、話題となった。
現在ではInstagramのフォロワー数が68万人を超え、2023年7月にBitfanにて開設したファンクラブには海外ユーザーも数多く加入するなど、世界各国から熱い視線を注がれている駒田。その活動の根底には「三味線という伝統楽器のカッコよさを多くの人に知ってもらいたい」という志がある。10月12日(土)に発売する1stアルバム『月前恋唄』も、そんな彼女の願いが詰まった一作となっている。
今回は、駒田の音楽活動やファンへの想い、アルバム『月前恋唄』について伺うとともに、駒田に選んでもらった10曲のフェイバリットソングに関して話を聞いた。
ー最初に、今回のプレイリストについて聞かせてください。一見すると、世代もジャンルもバラバラな楽曲が並んでいますね。
「今流行っているこの曲が好き」というより、流行ってる流行ってないに関わらず、自分がいいなと思ったものを繰り返し聴き直す癖があって。だから昔の曲があり、最近の曲もあり、インストもありというプレイリストになってるんだと思います。
ーその中でも、何か特徴的な部分がありますか?
歌詞に関しては、わりとシンプルなものが好きです。最近の曲は歌詞がギュッと詰まっていてすべてを言葉にしているものが多い気がするんですが、それだと私的には頭がいっぱいになっちゃうんですよね。シンプルに突き刺さる歌詞が好きなので、小柳ゆきさんやDEENさん、中島みゆきさんのような、少し前の時代の曲を選びました。
自分の音楽の聴き方は、どちらかというと明るい元気な曲を聴いて癒されるというより、暗いムードの曲を聴いて自分も一緒に落ち込んで、「感情を入れたい」「一緒にその世界観に入り込みたい」みたいなところがあって。私自身あまりハイテンションではなく、わりと一人でいることが好きなんですね。活動も一人ですし、常にワイワイしているわけでもないから、そういう自分の性格も好む音楽に表れているのかなと思います。
ーでは具体的に、楽曲にまつわるエピソードをいくつか聞かせてください。まず「ケルトの為の理想郷」ですが、もともとケルト音楽がお好きだったんですか?
はい。私の『月前恋唄』というアルバムにも「西の向こう」というオリジナル曲が入っていますが、ケルトのリズム感や、ティン・ホイッスルやバグパイプなど、使われている楽器の音色がすごく好きなんです。前に北海道に行ったときのことなんですが、山道をレンタカーで走っていたらいつの間にか自衛隊のトラック5台くらいに囲まれたことがあって。もともと冒険系の映画やアニメ、異世界系のお話が好きだったこともあり、「私は今、宝探しに出かけてるんだ!」って気分でケルト音楽を流したらテンションが爆上がり(笑)。改めてケルト音楽が好きだなと思ったし、それがきっかけで三味線とケルトの繋がりを調べたら、三味線もルーツをたどればシルクロードから入ってきていた。個人的に好きだったケルトが、またさらに好きになったという思い出があります。
ーRed Hot Chili Peppersの「Snow (Hey Oh)」を三味線で弾いた動画をアップしたら、メンバーからコメントが来たということで話題になりましたね。
『リフ何選』みたいな、ギターリフがまとめられてるものを聴いていたときに、この曲だけはずっと頭の中で繰り返されるというか、何回聴いても飽きなくて。三味線には“勘所”というポジションがあるんですが、この曲の音階が三味線で普段使う音階とめちゃめちゃ合ってたんです。たとえば「津軽じょんから節」を弾いている音とこの曲の音階は、ほぼ似てるんですよね。
いつも動画をアップしたらそれで満足するんですが、あるとき兄から「Red Hot Chili Peppersのフリーさんからコメントが来てるよ」って家族LINEに送られてきて。兄も音楽が好きでドラムとかギターをずっとやってましたから、すごく驚いてました。
ー流行りには関係なく音楽をお聴きになってきたそうですが、子どもの頃に聴いていた曲の思い出は何かありますか?
小学生のとき、Madonna(マドンナ)さんの「4 Minutes(feat. Justin Timberlake & Timbaland)」がずっと車の中で流れていて。もちろん英語なんて全然知らない頃なのに、発音をマネして流暢に歌ってたから、母はすごくびっくりしたらしいです。
ー耳がすごく良いんでしょうね。
私、現代に生きる聖徳太子だと自分で思っているんです(笑)。たとえば私がやっている「長唄」は1曲が30分から40分ぐらいの大曲なんですが、暗譜しながら「並行して何か違うこともしたい」って思うので、YouTube動画を見ながら暗譜したりするんですよ。しかも、その状態で母に何か質問されたら普通に答えたりもします。一つのことだけをずっと作業できないというか、同時に何かをしてないと気が済まないんですよね(笑)。耳がいいというよりも、きっと子どもの頃からいろんなことに対する興味のアンテナを張ってきたのかもしれないです。
ー津軽三味線はどんなきっかけで始めることになったんですか?
きっかけは母です。昔、ザ・ドリフターズの志村けんさんが『新春かくし芸大会』(テレビ番組)で三味線を弾く姿を見て興味を持ったらしく、私が7歳になって何か習い事をしたいと相談したときに勧めてくれました。そこから地元の教室に通い始めたんですが、新しい曲の譜面をもらうたびに、自分のレパートリーが増えてるんだという充実感と達成感があって。高齢者施設での慰問活動もしていて、そこでは小さい子が三味線を頑張って弾いてるっていうだけでお年寄りの方々に喜んでいただけるので、練習する、成果を発表するということの意味を学んだ気がします。
地元の三重県には三味線をやっている同世代の子がいなかったんですが、全国大会に行くとたくさんいるんですよ。ライバルたちと共に優勝を狙って頑張ることもモチベーションになったので、ここまで辞めずに続けてこられたんだと思います。
ー子どもの頃は、津軽三味線のどういうところに魅力を感じていたんでしょうか。
やっぱり、大きい音が鳴るところですね。自分が鳴らそうと思えば思うだけ、大きい音が出るんです。三味線って“ちんとんしゃん”の(しっとりした)イメージがあると思うんですが、津軽三味線に関してはバチでバーンとぶっ叩いて、皮を叩くことで大きな音を出すんですね。手首のスナップを使って叩くので、自分の感情を表に出しやすい楽器なのかなとも思います。大きいバチを使って、子どもながらに手元を見ずに糸をそれぞれ弾き分けるのは難しかったですが、そのぶん自分のものになってくるというか、自分の体の一部になってくると、他の人とは違う自分だけの音が作り出せるところも魅力かなと思います。打楽器的要素もあるから、生で聴いたことない方はびっくりされるぐらい迫力のある音が出るし、だからこそロックの音楽性とも合うのかなと感じています。
ー高校2年生で<津軽三味線日本一決定戦 A級女性の部>で優勝されるなど順調にキャリアを重ねてこられましたが、その中でのご苦労、転機となった出来事などはありますか。
子どもの頃は優勝しか見ていなかったので、大会ごとに審査員の好みに寄せたオリジナル曲を作り、審査員のこれまでの手やフレーズを研究して大会に臨んでたんです。でもだんだんと、そういうふうに曲を作ってる期間がすごく苦しいものになってきて。「私は何のために演奏してるのか」「何のために曲作りをしてるんだろう」ってなったときに、「自分のプロフィールに書けるから」とか「タイトルを獲りたいから」ということがゴールじゃなくなったことに気づいたんです。全国各地のステージを回ってるときに、その場で生まれたフレーズにみなさんが感動して拍手をくださるとか、その時々の自分の気持ちを音で伝えられるとか、演奏することで見てる人を喜ばせたいし自分も楽しみたいっていう、そういうモチベーションで演奏したいなと思うようになったんですよね。それで、大会に出場することをやめたんです。
ーその後、音楽に対する向き合い方やお気持ちの部分はどんなふうに変化していきましたか。
三味線という楽器をどういうふうに生かしていくかを研究するのが、今はすごく楽しいです。今まで私は、和楽器の中の“邦楽界の中の三味線”という(独立したジャンルの)音楽しか聴いてなくて「私の演奏を聴け!」みたいな津軽三味線らしい演奏をしてたんですね。でも最近はそうじゃなくて、ドラムやギター、オルガン、バイオリン、尺八など、そのあたりの楽器と民謡を合わせるときに、「三味線の音にはどういう特徴があって、こういうふうに演奏したら周りの楽器と合うな」とか、「(三味線が)このポジションにいたら心地いいだろうな」っていうのを探っていくのがすごく楽しいというか、研究心がかきたてられるようになりましたね。
ー駒田さんは伝統に基づいたオーセンティックな奏法で楽曲を届ける場もお持ちですし、ポップスと融合させることで間口を広げる活動もされています。使命と言ったら堅苦しいかもしれませんが、何か自分にできることがあるんじゃないかという気持ちもお持ちなのでしょうか。
そうですね。年代によって、自分の三味線人生でやれる役割は違うと私は思っています。
まず今20代のうちにやれることは、SNSで発信をして、自分の音楽はもちろんですが、その前に三味線という楽器とその音色を知って興味を持ってもらえるようにプロモーションをしたいと思っています。そうしないと、自分がオリジナル曲を出して「こういう音楽をやっていきたいんだ」って発信をしたとしても、誰も興味を示してくれないと思うんですよ。やっぱり三味線って伝統楽器ですから、日本ではおばあちゃんがやっていて、ちょっと古くてダサい楽器というイメージを若い人は持ちがちだと思うので。でもSNSの効果で海外からの逆輸入みたいな形になっていけば、「あ、そういう楽器だったんだ」って日本人の方も気づき始め、「カッコいいだろ、日本の伝統楽器」って思ってもらえる。そこを今狙ってるんです。
ーまさに今、その状況が現実になっていますね。
そして30代40代と年を重ねていったときには、私が三味線と出会ったきっかけである民謡に恩返しをし、民謡という音楽を普及させていきたいという気持ちがあります。たとえば「東京音頭」とか「炭坑節」を、Adoさんの「うっせぇわ」みたいな感じで今の人に聴いてもらえるかといったら、それは絶対無理な話だと思うんですよ。でも、ポップスと同じ立ち位置まで民謡というジャンルを持っていきたい。そのために、今回のアルバム『月前恋唄』でも民謡そのもののグルーヴ感や歌詞を変えたりせず、今の時代に合わせた聴き心地にアレンジをするなど、本来の民謡に他ジャンルの方から入ってきていただくという形で曲を作ったりしています。
ー駒田さんの存在をカバー動画で知ったという方もたくさんいらっしゃると思いますが、今後カバーしたいと考えているのはどんな曲ですか?
実は何曲かあって。Lenny Kravitz(レニー・クラヴィッツ)さんの「自由への疾走(Are You Gonna Go My Way)」。あとはVan Halen(ヴァン・ヘイレン)さんの「Jump」ですね。三味線でカバーしたらすごくカッコいいだろうなと思って。この曲は三味線だけじゃなくて、今海外で116万人以上フォロワーさんがいるクリスティーナさん(Kristina Rybalchenko)という女性のドラマーの方とコラボできたらいいかなと思っています。ジョセフィンさん(Josephine Alexandra)というジャカルタの女性ギタリストの方もずっと好きでフォローしてたんですけど、最近「コラボしてもらえませんか?」ってお願いしたら「一緒にやりましょう」とおっしゃってくれて、今、頑張って英語でメールをやり取りしてるんです。周りを巻き込んで、三味線という楽器をそれぞれの国で発信してもらえたらいいなと思って。
ー駒田さんのSNSのコメント欄には、いろんな国の言葉で書き込みがありますよね。海外からの注目度もどんどん高まっている気がします。
フォロワーさんの割合でいうと、1位はアメリカの方々なんです。2位がブラジル、3位がフランス、4位が日本となっています。実はファンクラブの中にも海外の方がたくさんいらっしゃって、グループチャットの場でアメリカの方が英語でコメントすると、日本のファンの方が全部和訳してくれたりするんですよ。ファン同士でちゃんと会話を繋いで、国際交流ができている。三味線奏者のファンクラブとは思えないような感じで、面白いなと思いながら見ています。
ー駒田さんは2023年の7月にファンクラブを開設されましたが、その経緯と、Bitfanというプラットフォームに魅力を感じた点を聞かせてください。
東京芸大に入学することをきっかけに上京してきたんですが、それまではずっと三重県にいて、地元の方から「後援会を作ってほしい」と言われていたんです。応援したいと思っているのに、コンサートのお知らせとかの通知がないからわからないと。私も活動をしていく中で、応援したいと思ってくださるみなさんが集まれる場所というか、交流ができる場所が欲しいなと思っていたところにBitfanさんからご連絡をいただいて。外国語にも対応しているので、私たちが欲しかったもの、ずっと悩んでたところがすべて解決できる場所が見つかったなという感じでした。
ーレスポンスや交流の仕方で、お国柄の違いを感じたりしますか?
自分の気持ちを言葉で書いてくださる方が多いですが、海外の方はわりとGif画像で表現してくださったりするんですよね。たとえばレッチリの曲をカバーしたときはレッチリのGifが来ましたし、『鬼滅の刃』のGifが来たりして「やっぱりみんなアニメから来てるんだな」と思ったり。海外の方はこういうふうに反応するんだなって、びっくりしました。
ーそれも面白いですね。
あと海外の方は、自分がいいなと思ったものをシェアするっていう精神が日本人よりもあるんでしょうね。自分のInstagramのストーリーズに私の投稿をシェアして、どんどんメンションしてくださって、自分のリールがどんどんその人たちの輪に広がる。100万人を超える方が自分のところに投稿をシェアしたら、またその新しい100万人の方が私の存在を知って、三味線を知って、聴いてくれるじゃないですか。国際的に活動していてよかったなと思う点ですし、カルチャーショックというか、そういう習慣があるんだなということに気づかされた点でもありました。
ー駒田さんにとって、応援してくださってるファンのみなさんはどういう存在ですか。
たとえば私が何か間違えた方向に行こうとしたときに、「さよちゃんこっちだよ」とか「こういうふうになってほしくないな」って思ってるんだろうなというのが、直接的に言われてなくてもわかるというか。だから私も、「この人たちがどうしたら喜んでくれるんだろう」っていうところを常に考えながら活動しています。「私がこういうことをしたら、恩返しになるかな」というところは、ファンの方や支えてくださってる方々に対して、いつも大事にしてますね。自分が新しいことに挑戦するときって、その場はすごくアウェーなんですけど、会場で小さいときから応援してくださっている地元の方々やファンクラブでいつも近くで応援してくださるみなさんの顔を見たり、直接来られなくてもチャットなどで応援してくださっている方がいたりすると、心強い存在だなと改めて思います。いつも助けられているなと感じています。
ー今後、ファンクラブのみなさんとやってみたいことはありますか?
バースデーコンサートのときは、ファンクラブに入っているほとんどの方が駆けつけてきてくださったんですね。10月26日(土)MZES東京でのライブもそうですが、みなさんに演奏で、そして近い距離感で、恩返しができたらいいなと思っています。もっとリアルにみなさんと顔を合わせてお話しできたらいいなと思っているので、そういう機会はどんどん増やしていきたいですね。
ーでは、1stアルバム『月前恋唄』について聞かせてください。
自分が大事にしている民謡という音楽は、“民の謡(うた)”と書くように、全国各地にたくさんあって、昔から歌い継がれている音楽で。『月前恋唄』に収録されているのは、民謡をどこまでアレンジしていいのか、今の時代にどう合わせたらみなさんに聴いていただけるかを考え、自分のルーツをたどりながら真剣に歌って弾いた楽曲ばかりです。「津軽じょんから節」という王道のものから、地元の三重県の「尾鷲節」、自分が15歳のときに初めて作った「SOUGEN」という楽曲もあります。
ーアルバムを締めくくる「小さな星の子守唄」は、少しテイストの違う楽曲ですね。
これは民謡とはまったく関係がない、唯一の楽曲です。「SOUGEN」という三味線だけの二重奏から始まって、歌が入り、民謡のアレンジが入り、最後は民謡から離れて世界平和を歌う――私は今SNSで国際的に活動していますが、まだまだ本当にちっぽけな夢とかちっぽけな目標をクリアしている状態だと思うんです。でももっと大きな視点で自分が活動している意味や人間のいろんな生き方を思うと、やっぱりみんな誰かのために仕事をしたり、誰かのために生きていて、そこに生きることの意味を持たせていると思うんです。私も三味線という楽器に出会って、歌って、どういうふうに影響を与えられるのか。すごく深いところですが、そういうことも考えながら、この先に繋がっていく最初のアルバムの最後の曲で、世界平和を歌うという流れにしました。全国いろいろな子守唄があると思うんですが、それを自分で作っちゃおうということで作った1曲です。
ーアルバムのタイトルにもなっている『月前恋唄』はとてもロマンチックな言葉ですね。
「月前恋唄」という曲をまず作って、そこからアルバムのタイトルにしました。家族への愛やパートナーへの愛など、愛の形にもいろいろあると思うんですが、「月前恋唄」は25歳という今の年齢で歌えるピュアな楽曲をということで、音楽プロデューサーの方と相談しながら作っていった曲です。「津軽あいや節」という青森県の民謡があるんですが、そのフレーズを少し感じられるような一節があったり、逆に現代のリズム感を取り入れたところもあって、誰も聴いたことがないような曲になったんじゃないかなと思います。言語化して伝えるのは本当に難しいんですが、民謡というものを重きに置いた新しいジャンルの楽曲になってます。
ー百人一首で西行法師が「月前の恋」というお題で歌を詠んでらっしゃるんですが、そこからのインスピレーションもありますか。
(そういう歌があることを)今、初めて知りました。でも歌詞を考えるときに、京都にある西行庵さんというところに伺ったんですよ(※西行法師の終焉の地と伝わる場所の一つ)。たぶん、そこでは関係していると思うんですが。
ー歌詞を書くにあたってのリサーチですか?
プロデューサーの方と「歌詞、どうしましょう」っていう話になったときに、今の年齢で歌える恋の歌としていろいろな和歌を探ったんですよ。そのときに「すごく語呂が良くて気持ちが入るものがいいよね」「さよちゃんの気持ちが入るものがいいよね」っていうところで引っ張ってきていただいたんですよね。
民謡の歌詞も五・七(の文字数)が多くて、長唄に関しては全部五・七で作られてるんですね。やっぱり日本人が“語呂が良い”と感じるものには、和歌とか百人一首の「こういうの聞いたことがあるな」というフレーズなんかも頭のどこかにはあると思っていて。民謡もそういった言葉なので「どこまで言葉を難しくするか」とか「昔の言葉を使ったからいい」とかそういう考え方ではなく、聴き心地がよくて、民謡のアレンジとして新しい“新民謡”みたいな感じでみなさんに聴いていただけたらいいかなと思ったりもしています。
ー1stアルバム『月前恋唄』はもちろん、今後も駒田さんの音楽をたくさんの方にお聴きいただきたいです。
ありがとうございます。二刀流という言い方が正しいかどうかわかりませんが、1stシングル「LUNA」のように、海外の方にも興味を持っていただけるようなロック調の三味線のオリジナル楽曲もどんどん作り続けたいですし、特に日本の方に聴いていただきたい、民謡を軸としたオリジナル曲もどんどん作っていきたいなと思っています。
ー今年から三味線の海外向けオンラインレッスンも始められたそうですが、かなり手応えを感じていらっしゃるようですね。
インドネシア、アメリカ、ドイツ、ベルギーなど、世界各国から受講していただいてます。時差などを調整しながらグループを作って、通訳の方を入れてレッスンをしているんですが、世界各国で一緒に「さくらさくら」を弾いたりするんですよ。三味線自体をすでに持ってる方もたくさんいらっしゃいましたし、熱意のある方たちばかりなので上達も早いんですよね。11月にはペルーに公演に行くんですが、今後ももっと海外での活動ができるように、そして三味線や日本の文化をもっと知ってもらえるように、頑張っていきたいと思います。
ーでは最後になりますが、これからの目標や夢を聞かせてください。
自分の存在や三味線の活動を通して、地元の三重県や和楽器業界を盛り上げていけたらと思います。”みえ旅アンバサダー”として地元の活性化につながる活動もしていきたいですし、三味線だけに留まらず、お着物など日本の伝統文化を海外に発信して、それがまた日本のみなさんに斬新なものとして届くような活動ができたらと考えています。「自分の音楽だけ聴いてください」ではなく、自分の存在を通して、知らなかった世界をみなさんに届けていけたらいいなと思っています。
PROFILE
駒田早代(こまだ さよ)
三重県出身。7歳より津軽三味線、10歳より民謡、16歳より長唄三味線/長唄を始める。
津軽三味線・民謡を松田隆行師に師事。2022年に東京藝術大学音楽学部邦楽科を卒業。
四代目杵屋五三郎お家元より「杵屋五司駒(きねやごしこま)」の名を許される。現在は全国各地で演奏活動をしながら古典からオリジナル曲、現代曲まで、さまざまなジャンルに挑戦。SNSなどに演奏動画を数多く投稿し、Instagramのフォロワー数は68万人を超えるなど、国内外から支持を集めている。
10月12日(土)には1stアルバム『月前恋唄』をリリース予定。三重、京都、東京の3か所に稽古場を持ち、海外向けのオンラインレッスンも実施している。
RELEASE INFORMATION
1st Album『月前恋唄』
2024年10月12日(土)リリースZENT-0007/3,300円(税込)
収録曲
1. SOUGEN
2. 尾鷲節
3. 月前恋唄
4. 西の向こう
5. 津軽じょんから節
6. 淡海節
7. 宮津節
8. 小さな星の子守唄
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