Billyrromは“青い炎”――次世代を担う6人組バンドが見据える壮大な景色と1stアルバムに込めたロマン

Interview

文: 黒田隆太朗  写:上村 窓   編:riko ito 

テーマを設けてインタビューやコラム、プレイリストを隔月で掲載していく特集企画。2024年8月/9月の特集テーマは“crazy about… ―次世代がいま、夢中なこと―”。国内外のイベントにも多数出演し、次世代を代表するアーティストであるBillyrromがカバーに登場。2024年9月25日にリリースした1st アルバム『WiND』についてはもちろん、特集テーマにちなんでBillyrromのメンバーが追い求めるバンド像や日常的に考えていることについて話を聞いた。

Billyrromは青い炎」だとMol(Vo.)が例えていたが、そのイメージは確かにこのバンドの実像を捉えているように思う。彼らの原動力は音楽に対する情熱と好奇心、そして地元の仲間たち6人で結成したことから生まれる人間同士のグルーヴなのである。新作『WiND』にも彼らのロマンは至るところに反映されており、サウンドからもその熱気が十分伝わってくるだろう。実際、炎の中で一番熱いのは青い炎なのだから。

Billyrromが初のアルバム『WiND』をリリースした。ソウルやファンクをベースとした音楽性はそのままに、「DUNE」や「SERENADE for Brahma」のようなロック色を強めた強烈な楽曲が収録されているところが特徴だろう。その他スピード感溢れる「Apollo」やヒップホップからの影響を消化した「CALL, CALL」など、バンドのポテンシャルが屈託なく発揮された作品になっており、情熱的なアンサンブルとソウルフルなボーカルに変わっていく「Sun shower」はとりわけ印象に残る1曲だ。

「新しい道に向かって歩き続ける」、「影響を与える存在でありたい」という願いが込められたというアルバム『WiND』。「crazy about…」をテーマにした特集で、Billyrromの6人に話を聞いた。

飲み会の場で全員が涙。チューニングされた意識

ー<FUJI ROCK FESTIVAL>や<GREENROOM FESTIVAL>など、今年は多数のフェスに出演しましたね。

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Mol(Vo.):

他のアーティストさんとの交流も増えてきました。<FUJI ROCK FESTIVAL>だと自分たちが日頃聴いてるアーティストさんのライブを体感することとかもできますし、フェスはすごく刺激をもらえますね。
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Rin(Gt.):

ライブハウスと違ってお客さんも自由じゃないですか。別に見てもいいし、見なくてもいいし。そこでどういうふうにお客さんを惹きつけていくかとか、ライブに対しての考え方も変わってきたんじゃないかなと思います。
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Shunsuke(Dr.):

自分たちのことを知らない人をちゃんとエンターテインするために工夫するのは勉強になりますね。
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Yuta Hara(DJ / MPC):

拍手を煽ってお客さんと一体になったり、コール&レスポンス入れてみたり、アレンジが変わったところもあって。ただ、“Billyrromらしさ”みたいなものは損なわないように、ちゃんと自分たちを出しつつお客さんに寄り添うというか、そういう意識はあるのかなと思います。
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Taiseiwatabiki(Ba.):

Billyrromはとりあえずバンドを組んでライブをやってみよう、みたいな始まりだったので、「お客さん踊らせたい」とか「一緒に楽しい空間作りたい」みたいなところはずっと根底にはあるかもしれないです。

ー『WiND』に向けてスイッチが切り替わったのはいつ頃でしたか?

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Mol(Vo.):

俺はシングルの「DUNE」(2024年3月リリース)を出したときにBillyrromの第2章が始まったと思いました。
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Shunsuke(Dr.):

それぐらいの時期にバンドの目指したい方向性とか、自分たちが大切にしたい信念みたいなのを再確認する話し合いをして。Billyrromという名前の由来だったり、前回出した『noidleap』というEPだったり、今までやってきたストーリーみたいなものをみんなで振り返る時間があったんですよね。

ーそれはさっきの(動画インタビューの)話で言うとよく飲んでたってことですか?

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Shunsuke(Dr.):

俺らの作業部屋とか、遠征先の喫茶店とか、酒がない時間のほうが多かったかもしれません。
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Taiseiwatabiki(Ba.):

ガストとかでもしたよね。
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Mol(Vo.):

でも、お酒を飲んだがゆえにこのアルバムができたみたいな感じなんですよ。
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Leno(Key. / Syn.):

そうなの(笑)?
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Mol(Vo.):

俺はそうだと思う。お酒飲んで酔っ払って議論が生まれる、みたいなことも結構あって。去年は特にそうやって「チームとしてどうありたいか」ということに対する解像度が高くなっていったんですよね。その中で知らない間にバンドとして「アルバム出せるよね」って空気になってきたし、俺はそういう飲み会が本当に大事だったなって思ってる。
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Taiseiwatabiki(Ba.):

チューニングだ。
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Mol(Vo.):

そう。バンドのチューニングが飲み会だったみたいな。みなさんが思ってるよりバンド臭いというか、今のところ全員泣いたからね。
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Taiseiwatabiki(Ba.):

横のテーブルの人からしたら、「なんだこいつら…なんか泣いてるぞ」って。

ー(笑)。Billyrromは具体的にどういうバンドでありたいんですか?

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Mol(Vo.):

いい意味で考えないというか、自分たちが好きでナチュラルに気分も上がる音楽をやっていくのが合っているんだろうなって。「DUNE」を出した頃からもっとラフに自由にやっていいんだろうなという気はしてて、型にはめられたものを作ろうとするんじゃなくて、自分たちが作ったものが新しい型になるみたいな。そういうスタンスで曲を作るほうが楽しいし、それがやりたいことなんだろうなって思います。
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Taiseiwatabiki(Ba.):

それこそ『WiND』というタイトルにも通ずるところがあるかもしれないです。
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Leno(Key. / Syn.):

『WiND』は“Walk in New Directions”の略なんですけど、「俺らはどういうスタンスでいるのか」という問いがアルバムタイトルに反映された感じです。昨年出した『noidleap』が「妄想を飛躍させる」という意味なんですけど、それを経て今度はその妄想を実行しないといけないと思って。そうなったときに、同じ道を辿るだけだと飛躍にはならないし、Billyrromのスタンスとしては「常に新しいことを模索し続ける、新しい道に向かって歩き続ける」というのがあるから。
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Mol(Vo.):

アートワークも風になびく水面なんですけど、何かに挑戦するときに壁があることを「向かい風」と喩えたり、上手くいってる状態を「追い風」と喩えたり、風って日常的に肌で感じるものじゃないですか。そういう「風」の起源を辿っていくと、そこにあるのがBillyrromであるみたいな、オーディエンスが日常的に触れるものでありたいし、何かしらの影響を与える存在でありたいという気持ちが強くあって。そういう意味を込めてこの題名にしました。

無意識に反映された宇宙とのつながり

ー春にDIGLE MAGAZINEでRinさん(aint lindy名義)にインタビューをしたときには、ロックなアルバムになっていると聞いていました。

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Taiseiwatabiki(Ba.):

でも、3月だとまだ全然アルバムはできてないですね。
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Rin(Gt.):

そのときはアルバムの制作合宿をしたあとだったのですが、そのときに想像していた感じとは、だいぶ変わりましたね。

 ーただ、ロック色は残ってますよね。「DUNE」にはその影響を感じていて、スタジアム感のあるサウンドも印象的です。

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Leno(Key. / Syn.):

奇跡の1曲ですね、「DUNE」は。制作中に1回ロックやろうとしてさ、意味わかんないことになったよね。
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Taiseiwatabiki(Ba.):

「DUNE」をやる前にも何回かやろうとしてたんですけど、あまり上手くいかなくて「俺らはロックじゃないんだ…」みたいな気分になってました。
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Yuta Hara(DJ / MPC):

でも、それも良さに繋がったりするんですよ。「DUNE」を作ろうとしてたときも行き詰まった瞬間があったんですけど、その結果「ちょっとジャムしようよ」って言って「Noidleap」が生まれたり、ネガティブさもポジティブな面にも変えていける強さはあるのかなと思います。
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Rin(Gt.):

その点で言うと、「DUNE」みたいな空間の広いロックの曲って前の自分たちの力だと作りきることはできなくて。それを作ってリリースできたのは、自分たちの新たな一歩が見えた瞬間だったのかなと思います。

ーこのスケール感は今後のBillyrromの行きたい風景を象徴しているように感じます。

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Taiseiwatabiki(Ba.):

元々みんなスケールが大きいものが好きなんですよね。Bruno Mars(ブルーノ・マーズ)の<Super Bowl Halftime Show>やSuchmosのハマスタ公演<”Suchmos THE LIVE” YOKOHAMA STADIUM>がバンドをやり始める前から全員が好きだったし、バンドを始めたときも「ゆくゆくはこういうものをやりたいよね」っていうのが共通認識としてあったから。「このテンポ感で」とか「スタジアムロックをやろう」みたいな話はまったくなしに、自ずとこうなっていた感じはしますね。
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Mol(Vo.):

シンプルに地元の友達6人でそれを成し遂げることにすごいロマンと夢を感じている気もします。

ー作品としてはちょっとスペーシーというか、全体的にSF感があるように思います。

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Taiseiwatabiki(Ba.):

あなた(Leno)の仕業じゃない?
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Leno(Key. / Syn.):

何もやってない。

ーでも、インスト2曲は特にそういうニュアンスを感じるんですよね。

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Leno(Key. / Syn.):

すごいことになりましたね。
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Taiseiwatabiki(Ba.):

お前が作ったんだよ(笑)。
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Mol(Vo.):

俺的に「Apollo」もちょっと宇宙感じるのよ。

ータイトル的にもズバリそうですね。

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Leno(Key. / Syn.):

宇宙好きなんじゃないですかね? 宇宙、行きたいです。

ーアフロフューチャリズムをはじめ、ブラックミュージックと宇宙には密接な関わりがあるように思います。

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Leno(Key. / Syn.):

一昨年に亡くなったPharoah Sanders(ファラオ・サンダース)がFloating Points(フローティング・ポインツ)と一緒に作ったアルバム『Promises』の感じとかは、特にスペーシーな雰囲気が漂ってますよね。ブラックな部分と宇宙ってすごく通ずるものがあるから、それも無意識的に反映されてたりするのかな。7曲目の「Devenir」は特にそのアルバムをリファレンスにしていた気がします。

ー「Apollo」も新鮮さを感じます。軽やかなドラムとギターのカッティング、そのスピード感というか、《このスピードに乗って》というリリック通りBillyrromの中でも疾走感がある曲だと思います。

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Mol(Vo.):

BPMの速い曲をやりたいなと思ったのと、そこにあえて超速いカッティングを乗せたいと思ったんですよ。でも、コード感とかルート感はありきたりなファンクっぽくはしたくなくて。ちょっと近未来的な雰囲気に仕上げるようなイメージは最初からありましたね。なのでカッティングの音も温かいものじゃなくて、ソリッドな感じにしています。

ファンカデリックやディアンジェロからの影響。メンバーが選ぶアルバムのフェイバリットソング

ー『WiND』の収録曲で、それぞれ自分のプレイや作曲面で新しいことができたと感じている曲はありますか?

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Rin(Gt.):

作曲面で言ったら「Windy You」です。今年のはじめに沖縄のフェス<Music Lane Festival Okinawa 2024>に出演して、そこで見た景色とか空気感を落とし込んでできた曲なんですよね。デモは元々あったんですけど、その時点ではそこまでこの空気感が濃くなくて。“夏っぽいけど夏ではない”絶妙な感じというか、少し暖かい風を感じるようなサウンドは、あのフェスに出たときの「東京はまだ冬だったけど沖縄は暖かい」みたいな空気感を反映させられたからなんじゃないかなと思います。
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Mol(Vo.):

僕がすごく好きなのは「Sun shower」です。この曲と「SERENADE for Brahma」は一斉RECで録ったんですけど、「Sun shower」はバンド演奏を3テイクぐらい録って、一番良かったやつから作って仕上げた曲でした。歌も曲の感じるままにというか、最後のほうのシャウトとかも、周りを遮断してナチュラルに出たものをそのまま使っているんですよね。あんまり聴き心地の良さとかは気にせずに、ワッと出たものをそのまま採用したというか。バンドとしても一斉RECというのは新しいチャレンジだったし、みんなで同時に演奏して一点を見つめてる感じが僕はたまらなく好きで、この2曲が僕の推しかな。

ー「SERENADE for Brahma」はBillyrrom流のサイケデリック・プログレッシブ・ロックという印象で、恵比寿LIQUIDROOM(2023年11月に行われた<Billyrrom First One-Man Tour “noidleap”>のツアーファイナル)で聴いて感激しました。

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Mol(Vo.):

これはバンドを始めてから4曲目くらいのときにRinが持ってきた曲です。今の最終形態はデモからはだいぶ変わっているんですけど、そのときはPink Floyd(ピンク・フロイド)をよく聴いてる時期でした。プログレみたいな感じの変拍子になる終盤の不思議なアレンジは、この体制になって時間をかけて育てていった感覚があって。Lenoが主導でアレンジを仕上げていったんですけど、LIQUIDROOMワンマンの前とかに「これがかっこいいよね」みたいな感じでできてきました。あの日やったアレンジのまま録音した感じです。

ー長尺の曲を書きたい気持ちもあったんですか?

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Leno(Key. / Syn.):

TaiseiFunkadelic(ファンカデリック)の「Maggot Brain」のことを言ってたんです。
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Taiseiwatabiki(Ba.):

あの曲の冒頭でギターがギュイーンって音を出すところがあるじゃないですか。ライブ映像を観たときに、どう考えても「SERENADE for Brahma」に合うだろうなと思って、Rinに提案してスタジオで合わせたらスッと曲の中に入っていった感じですね。

ーなるほど。

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Taiseiwatabiki(Ba.):

俺も今作では「SERENADE for Brahma」と「Sun shower」が好きで。「SERENADE for Brahma」はBillyrromらしくないと思う人もいるかもしれないですけど、Rinが最初のほうに書いた曲っていうのもあって、俺的にはすごくBillyrromらしさが詰まってるような気がしています。あと、自分はドラマチックな音楽が好きなので、Lenoが入れたストリングスだったり、最後のRinのギターソロだったり、ある種映画を観たような気分になれるというか、心が解放されるようなところが好きですね。

「Sun shower」は一斉RECでやったっていうのが一番大きいのかな。スタジオ入ってみんなでタバコを吸って、「じゃあ合わせようぜ」って言って練習してる様子というか、ライブを演っているときの空気感が楽曲に反映されてる感じがしています。何の偽りもないというか、今のBillyrromが純粋に出た楽曲だと思います。

ー「Sun shower」は後半すごくソウルフルになりますよね。しっとり聴かせる前半から、次第に熱を帯びて盛り上がっていくような曲だと思います。

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Mol(Vo.):

リファレンスとしてあったのはD’Angelo(ディアンジェロ)の「Untitled(How Does It Feel)」です。あの曲は楽曲の波形があるとしたら、左から右にどんどん右肩上がりになっていくんですけど、「Sun shower」もそういうイメージが最初からあって。実際にそんな感じの波形になったんですけど、最後に行くにつれてバンドのソウルを強く反映させたいという想いがありましたね。それで最後のほうはRinがガーッてギターを弾いて、シンセもすごく重ねていますし、ベースもありえないぐらい歪ませて弾いてるんです。でも、ドラムは割と落ち着き目でいるみたいな、そういうところがかっこいいなって思います。

ー中盤はDJとシンセの独特のフレーズが入りますよね。

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Leno(Key. / Syn.):

アナログシンセ特有の揺らぎに最近めっちゃハマってて。中盤のリードみたいなところもアナログなので、普通に好きな音を入れただけなんですけど。上手い具合にハマってくれて、空間が溶ける感じが良かったです。
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Yuta Hara(DJ / MPC):

DJってサンプリングすることや、声を飛ばすみたいなものだと思っていたんですけど、アルバムを作っていく中でライザーとかちょっとノイズっぽいものを乗せたりする面白さに気づくことがあって。例えばエコーで飛ばしてちょっとタイム感をずらしてみたりとか。アルバムの中では一番自分の出してる音が少ない楽曲なんですけど、逆にその感じが超気持ちいいですね。

ーHaraさんのフェイバリットは?

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Yuta Hara(DJ / MPC):

僕はまあ、全曲…。
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Taiseiwatabiki(Ba.):

それはずるいな(笑)。
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一同:

(笑)
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Yuta Hara(DJ / MPC):

でも、「Once Upon a Night」かな。DJってちょっと特殊なパートだと思ってて、今回初めてアルバムを作ることもあって、楽曲においての(自分の)ポジションみたいなのをめちゃめちゃ考えたんですよね。で、作っていく中でだんだんわかってきた部分もあって、自分の中ですごく成長を感じたというか。「Once Upon a Night」は自分のDJとしてのポジションがどの楽曲とも違う位置にある曲なのかなって思います。普段は楽曲が良くなるためのスパイスだったり、音の足し引きを考えるんですけど、あの楽曲は自分の音を今までで一番入れたかもしれないです。

ーアシストしていくような発想じゃなくて、自分も好きなことをやれている。

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Yuta Hara(DJ / MPC):

主役とまではいかないですけど、みんなの後ろにいるんじゃなくて、みんなの音に乗っかっていくような音の入れ方というか。そこが個人的にも気に入ってますね。

ーSyunsukeさんとLenoさんはどの曲に手応えを感じていますか?

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Shunsuke(Dr.):

自分はドラムのプレイヤーとしての入り口が70年代のソウルとかR&Bなので、「DUNE」からはロック色が足されていった流れがあると思うんですけど、そういう意味では全曲苦戦したんですよね。ただ、その中でも「Once Upon a Night」はレコーディングで自分の成長を認識できた曲でした。ロックとかボサノヴァ、民族音楽、プログレとか、いろんな曲のドラムを勉強した上で四つ打ちのR&Bに帰ってきたときに、自分でも変わったことを感じました。
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Leno(Key. / Syn.):

俺は「CALL, CALL」が気に入っています。Billyrromってわちゃわちゃしてる曲が得意なんですけど、逆に引き算したらどうなるのかって思ったときにできたのがこの曲で。ラップを乗せることも決まっていたので、ごちゃごちゃしてラップの邪魔をしてもなと思って。自分が理想としてる最小限の音で、だけどめっちゃ気持ちいいみたいな、ループミュージック的なものが表れた曲なのかなと思います。

ーうねるような感じもあって、ギターはファンキーだなと思います。

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Leno(Key. / Syn.):

ファンキーなギターは最初どうなのかな?と思ったんですけど、意外とBillyrromっぽいカッティングの部分がハマりましたね。今っぽいヒップホップというか、UKのベースミュージックをルーツにしてるような人たちのヒップホップをリファレンスにしてみたんですけど、結果それっぽくはなりすぎず面白かったです。一生イントロを聴いてられるみたいな、不思議な感じがするいいループができたような気がしますね。

サウンドから醸し出される攻撃性や若さ、熱さのゆえん

ー漠然とした印象なんですけど、今作は全体的に勢いがありアグレッシブです。ある種の攻撃性とか、若さや熱さのようなものをサウンドから感じました。

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Mol(Vo.):

その部分において深く話し合ったことはないんですけれども、僕はBillyrromというバンドは青い炎だなと思うんですよ。仮に「パッション、うわー!」みたいな勢いのある状態を赤い炎だとすると、静かに深いところですごい温度で燃えてるバンドだなって感じがしていて。そういう意味では憂いの漂うアルバムになったなって印象もあるんですよね。ネガティブもちゃんと兼ね備えたポジティブというか、奥底で燃えている気持ちみたいなものは曲にも出てるような気がします。RECでもあえて綺麗に弾きすぎず、荒削りな感じをそのまま作品にするところはあったと思います。

ーLenoさんはどう思いますか?

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Taiseiwatabiki(Ba.):

(LenoはBillyrromの)攻撃担当です(笑)。
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Leno(Key. / Syn.):

やっぱり尖ってたいっすよ。まだ若いし。
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Mol(Vo.):

その角を俺がちょっと歌で丸くするという。それでバランスを取ってます(笑)。
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Taiseiwatabiki(Ba.):

Billyrromのメンバーは内向的というか。ただ、Lenoは割と社会問題に対して関心があって、Billyrromの中でも他のメンバーよりもさらにいろんな不満を抱えている。
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Leno(Key. / Syn.):

まあ、曲って人によってはフラストレーションを消化するものでもあると思うんですけど。僕にとっては作曲ってそんな感じなのかもしれないですね。

ーなるほど。

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Leno(Key. / Syn.):

やっぱり人に任せてちゃだめだと思うんですよ。例えばの話ですけど、「若者は政治に関心がない」とか言われがちで、確かにそんな部分もあるのかもしれないけど、「政治に関心を持たないような世代に教育してきたのはお前らだろう」みたいに思うところもあるんですよね。でもそんなこと言ったって、これからの世界とか日本は俺らが担わなきゃいけないから。やっぱり自分たちで考えて行動しないとだめですよね、みたいなことはいつも考えてて。そのイライラが曲に入ってると思うんですよ。

ーそれはアルバムタイトルにも通ずるものですよね。自分で選んで進んでいくという。

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Leno(Key. / Syn.):

はい。何に限らず、自分たちでやろうよっていうアルバムなんですかね。
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Mol(Vo.):

だし、そういうものって言っていかないと結局世に出ず終わっちゃうものだと思うんですよ。だから言っていきたいね。
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Leno(Key. / Syn.):

日本はアーティストが政治的であることに否定的な人がすごく多いんだけど。
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Mol(Vo.):

タブー視されますよね。

ーでも、海外のシーン見てると、そういうことを当たり前に言いますからね。

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Leno(Key. / Syn.):

音楽知らないの?みたいな。Marvin Gaye(マーヴィン・ゲイ)とかSex Pistols(セックス・ピストルズ)とか、影響ある人たちってみんな社会を変えようという能動的な部分があったし、僕はいろんなものに意識的でいたいです。
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Mol(Vo.):

だからBillyrromも今後そうなっていくような気がしますね。今後もっとバンドとしてのイデオロギーが強くなっていって、楽曲に込めるメッセージ性もその都度変わっていくんだろうなとは思います。

ー「DUNE」も「Apollo」も「Windy You」も「Clock Hands」も、自分の歩幅で歩いていくことや、自分たちのやりたいようやることを歌っているように思ったのですが、そこにこのバンドのメンタリティが表れていると思いますか?

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Mol(Vo.):

僕はそう思います。聴き手に対して「これを聴いてこういう気持ちになれ」みたいなスタンスの曲はひとつもないんですけど、何かしら感じてほしいという思いはどこかにあるんですよ。「俺らはこうだけど、あなたたちはどう?」というか。僕らは友達同士で音楽をやるという道を選んでいるけど、そこでは自分たちだけの力じゃできないことがあまりにも多くて。偶発的に生まれるものだったり、人に恵まれたり、そういうことに変えられてるような感覚はすごくあるんですよね。で、そういうことってバンドじゃなくてもいっぱいあると思っていて、何かを始めることで価値観がガラッと変わったり、そこで素敵な出会いがあったりするのって、人生においてすごく素晴らしいことだと思うから。Billyrromの音楽が何かのきっかけになってくれたら嬉しいです。

ー最後に今後のビジョンを聞かせていただけますか。

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Rin(Gt.):

『WiND』はただ曲が集まったアルバムじゃなくて、自分たちのスタンスが反映されたBillyrromの新しい一歩だから。その1枚を持っていろんなところに行って、生で鳴らして歌っていきたいですね。それこそ海外でも言語は違うけど、演奏で表現することでBillyrromというものが広がっていくような、そういう年にできたらいいなと思います。

RELEASE INFORMATION

Billyrrom 1st Album『WiND』

2024年9月25日リリース

Track List:
1. Walk in New Directions
2. DUNE
3. Apollo
4. Windy You
5. Once Upon a Night
6. CALL, CALL
7. Devenir
8. SERENADE for Brahma
9. Soulbloom
10. Sun shower
11. Clock Hands

▼各種ストリーミング/CD購入
https://nex-tone.link/A00163894

LIVE INFORMATION

Billyrrom One-Man Tour 2025 WiND

◼︎愛知公演
2024年2月9日(日)at 名古屋・新栄シャングリラ
◼︎宮城公演
2024年2月15日(土)at 仙台MACANA
◼︎福岡公演
2024年2月22日(土)at 福岡・BEAT STATION
◼︎大阪公演
2024年2月24日(月・祝) at 大阪・Music Club JANUS
◼︎北海道公演
2024年3月1日(土)at SPiCE SAPPORO
◼︎東京公演
2024年3月9日(日)at Zepp Shinjuku

※東京公演以外共通
OPEN 17:00 / START 17:30
TICKET:
オールスタンディング:¥4,500(+1D)
オールスタンディング(学割):¥3,500(+1D)

※東京公演
OPEN 17:00 / START 18:00
TICKET:
オールスタンディング:¥5,000(+1D)
オールスタンディング(学割):¥4,000(+1D)

Present Campaign

Billyrromのサイン入りチェキを2名さまにプレゼント。応募方法は、DIGLE MAGAZINEのXアカウントをフォロー&上記の投稿をリポストするだけ。

※締め切り:2024年10月15日(火)正午まで

【注意事項】
・チェキは2枚の中からランダムで送付いたします。
・当選のご連絡に対して48時間以内に返信がない場合は、誠に勝手ながら辞退とさせていただきます。
・いただいた個人情報はプレゼントの発送にのみ使用させていただき、発送後は削除いたします。
・住所の送付が可能な方のみご応募下さい。また、発送は日本国内に限定いたします。
・フリマサイトなどでの転売は固く禁じます。

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Billyrrom(ビリーロム)

東京都町田市出身のメンバーによって2020年に結成した6人組音楽集団。メンバーは前列左から、Taiseiwatabiki(Ba.)、Rin(Gt.)、Mol(Vo.)、Leno(Key. / Syn.)、後列は左からYuta Hara(DJ / MPC)、Shunsuke(Dr.)。

2024年は<FUJI ROCK FESTIVAL’24>や台湾の<赤聲躁動音樂祭 2024>をはじめとした国内外の大型フェスに多数出演。さらには、世界中の次世代アーティスト1,000組以上から25組のみ選ばれる『Fender Next 2024』の日本代表に抜擢されるなど、各所からの期待値も高い。

ロックやシティポップを経由したソウルフルなファンクネスが特徴。疾走感に溢れたギターカッティング、軽快なリズムで紡がれるダンサブルなビートセンス、シンセとスクラッチが織りなす構築美。そして、繊細かつ迫力のある歌声と伸びやかなハイトーンボイスを巧みに響かせるボーカリゼーションが唯一無二の“Billyrromらしさ”を生み出していく。
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