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文: 久野麻衣 写:なかむらしんたろう
ーこれまでどんなアーティストに影響を受けてきましたか?
中学、高校の時にコピーバンドをやってたので基本は日本のロックバンドから始まってるんです。その中でも一番影響を受けたのはストレイテナーですね。
ーストレイテナーはどんなきっかけで聴き始めたんですか?
高校の時にラジオからストレイテナーの「REMINDER」って曲が流れてきたんです。ちょっと斜め上に行っているというか、歌詞の内容も直接的じゃなくて、曖昧な表現の中にエモを感じられて、すごくかっこいい曲だなと思って。当時はネットが主流じゃなく、ラジオで初オンエアーされることが多かったので、『ラジアンリミテッド』や『SCHOOL OF LOCK!』などの番組を聴いて、色んなバンドを知っていきました。
ーそれ以前はどんな音楽を聴いてましたか?
小学校の頃はゆずが好きで、それでギターを始めたんですよ。あの時代って路上から出てくるアーティストが多くて、それに憧れてアコギを始めたんです。昔から歌うのは好きだったし。
ー他にも19(ジューク)とか色んなアーティストが出てきた頃ですね。
でも大学ぐらいになると色んな音楽を掘ってて、パンクだったらNOFXとかNEW FOUND GLORY、Sum 41は一通り聞いてました。もちろんロックも好きだったんで日本のバンドもチェックしつつ、好きなバンドの人が聴いてる洋楽とかを掘ったりして。そこからPhoenixとかThe Postal ServiceとかDeath Cab for CutieとかCopelandとかちょっとエモ寄りのものが好きになって、今はなんでも聴くようになりました。
ーその中で[.que]のようなエレクトロニカ的な音楽にも出会っていったんですね。
ストレイテナーのホリエアツシさんが、ロックバンドをやりながらソロプロジェクトでentっていう名前でエレクトロニカとか、アンビエントよりのニッチな音楽をやってるのを知って。そこからそんなジャンルの音楽があるんだってことを知ったんです。
メジャーの人がソロで普通の人があまり聴かないような音楽をやるっていうのもかっこいいと思ったし、彼の違う一面が見れたことがファンとして面白くて。アーティストたるもの表現するならなんでもいいのかなって思えるきっかけでもありました。その影響は結構大きいかも。
ー[.que]を始めるきっかけになったと。
大学卒業後は就職をきっかけにバンドを脱退して、自分一人で出来ることって何かないかなと思ってたので、自分の道が開けたという感じがありましたね。もちろんロックはやりたい気持ちはあったけど、一人じゃ出来ないから「じゃあ一人で作れる音楽を」と思って[.que]での活動を始めました。
ーエレクトロニカで影響を受けたのはどんなアーティストですか?
小瀬村晶さんやharuka nakamuraさん、宮内優里さん、海外だったらFour TetとかBIBIOのような無機質じゃなくてメロディもちゃんとある温かい音楽ですね。エレクトロニカって聴くと無機質で4つ打ちを鳴らすイメージがあるかもしれないですけど、どっちらかと言うと僕は柔らかめの、聴いてて心地いいアーティストが好きです。
ー[.que]の音楽も温かさや心地よさが伝わる音ですよね。
やっぱ最初の方に聴いた音楽って衝撃的なんですよ。最初に聴いたentが楽器を演奏して、ちょっとポストロックとかシューゲイザーよりで、エレクトロニカとは言い難いような音楽だったし。あとは僕自身も楽器を演奏できる人だったから、楽器が鳴っててメロディが鳴ってる音楽、さらに聴きやすいものとなるとフォークトロニカっていうジャンルになっていったんだと思います。
ー2014年に活動拠点を大阪から東京へ移しましたが、それで変わったことはありますか?
気の合う人たちと一緒に作品作ったり遊んだりするようになったのは一番の変化ですね。
活動初期は自分一人で完結するようにやってたんですけど、アイデア出しに悩んだりしたので、自分の持ってるものをもっと活かせるやり方を探ってたんです。例えばドラムとかベースとか、自分の知り合いや友達で一緒にやれる仲間がいたらいいなって考えていて。
それで東京に来てからボーカルを入れたいと思って、aquarifaってバンドの岩田真知さんに声をかけたんです。「ロックの人はエレクトロニカとか興味ないかもしれないけど、歌ってみないですか」って言ったら「やってみたいです」って言ってくれて。
他にも同時期にthe telephonesの石毛輝さんと岡本伸明さんが僕の曲を聴いてくれててTwitterでつぶやいてくれてたんですよ。そこからDMでやり取りして、飲みに行くことになったんですけど、その時に「ホリエさん連れてくわー」って言って本当に三人できてくれて!これまで音源を聴いてた人に会えて東京ってすげー!って思いました(笑)。そこから繋がりが広がるのはあっという間でしたね。
ー誰かが加わることで一人の時よりも求めてる音へ近づけた実感はありましたか?
そうですね。やっぱりロックとか、バンドの音楽が好きだからその要素を[.que]に落とし込みたい気持ちがずっとあって。だから最近はドラムとかベースをレコーディングするようにして、バンドアプローチをしてるんです。BonoboとかThe Album Leafを日本ぽい音にしたイメージです。
ー“日本ぽく”というのも重要なポイントですか?
僕は自分の音楽をエレクトロニカとか、アンビエントっていうジャンルの入り口にしてもらいたいと思ってるんです。だから分かりやすく世の中に提示していきたい。ロックの人にも[.que]の音楽を聴いてほしいし、エレクトロニカを聴いてる人にもいい音楽だと思ってほしい。どっちにもアプローチしていきたいし、かっこいいものだと自信を持って出していきたいです。
ー2018年から新たにバンドプロジェクト「Seatide」が始まりましたが、そこにはどんな思いがあったのでしょうか?
[.que]名義でもずっと歌うかどうか迷ってたんですよ。でもエレクトロニカの人が歌うのってどうしてもウィスパーボイスで歌うイメージを持たれるんですよね。そういうのは避けたかったし、僕は日本のバンドも好きなんで、10年前のバンドで出来なかったことを今もう一回やってみたいなっていう素直な気持ちです。
ーSeatideで作っていきたい音のイメージはありますか?
歌詞や歌に関しては自分の歌いたいようにやります。でも音としては現代の音楽をできるだけ取り入れたいっていうのはあって。日本のロックバンドとか海外の音楽とか、自分の知ってる音楽のいい部分はオマージュというか、聴く人が聴けば分かるレベルで要素的にどんどん取り入れていきたいと思います。
ー[.que]の時よりもかなり幅が広がりそうですね。
やっぱ[.que]だとどうしても“柔らかい音楽”ってイメージがついちゃってるんで、流行りを取り入れようとすると浮いちゃう部分があって。そういうアウトプットの捌け口として、Seatideでは自分の作りたい歌、曲を作っていこうと思ってるので、これまで出来なかったことに色々挑戦していこうと思います。今は生ドラムを叩かないバンドもいるし、ベースをシーケンサーで鳴らしたりとか、バンドも多様化してるんで時代に合わせて進化していきたいですね。
ーこれまでの[.que]での活動が活かされている部分もありますか?
[.que]のミニアルバムで生音のバンドに女性ボーカルを入れて作った『daylight』を再現したのが3月にリリースしたシングル「セツナ」って曲なんですよ。だから[.que]を知ってる人が聴いても違和感なく、ロック側から聴いてもロックだと感じられると思います。ちょうど狭間をいくようなイメージで作りました。でも次のシングル「Over」はがっつりロックなんでそういう振り幅を見せていきたいですね。
ー「セツナ」は[.que]がサントラをやってきた映画に主題歌が出来たように感じました。
ゆくゆくは[.que]で挿入歌をやって主題歌をSeatideでやってみたいですよね。「君の名は」でRADWIMPSがやっていたようなトータルコーディネートは面白そうだなって思います。
ーそれ以外にやってみたいことや今後の目標はありますか?
武道館でライブするのが目標です。あと[.que]としてもSeatideとしてもフェスに出たいと思ってます。どちらもメインでやっていきたいので。今後は両名義で同時リリースとか、僕の存在を気にしてくれてる人が楽しめることを仕掛けていきたいですね。
New Release Information
Live Information
[.que] pre. “Welcome Stranger” Endless Journey Release Party
日時:2018年8月4日(土)
場所:青山 月見ル君想フ
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