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文: DIGLE編集部 編:DIGLE編集部
シンガポールを拠点に活動し、Clarence Liew(クラレンス・リウ)、Auzaie Zie(オーゼー・ズィー)、Marc Lian(マーク・リアン)の3人で構成されたR&Bトリオ・brb.。
2019年11月にはAmPmの新曲「Sorry That I Love You feat. brb. & Chocoholic」に参加し、同タイミングに横浜のPITCH CLUBで開催されたAmPm主催イベント<AmPm Thinking “AUTUMN”>にて来日公演も行い、日本のシーンとも関係を築いてきた彼らは、2021年6月25日に2nd EP『fleur』をリリース。
今回、DIGLEでは活動のスタンスやルーツになっている音楽などを訊くメールインタビューを行った。
ーバンドの自己紹介、3人の出逢いについて教えてください。
Clo:
本名はClarenceですが、Cloと呼んでください。brb.のメインボーカルで、作曲を担当しています。Marc:
Marcです。ギターとボーカル、そしてZieと一緒にすべての楽曲のプロデュースを担当しています。Zie:
Zieです。キーボードとボーカル、そしてMarcと一緒にプロデュースを担当しています。バンドのデジタルコンテンツも作ってます。シンガポールはとっても小さい国なので、僕らはお互いのイベントやライブで何年も前から偶然会ったりして、昔からの顔馴染みです。一緒に曲作りを始めたのがきっかけで、brb.が誕生しました。ーメンバーが共通してR&B、ヒップホップ、ソウルが好きだったことがきっかけで、バンド結成に至ったとのことですが、ルーツとなったアーティストや、今のスタイルを形作ったアーティストはいますか。それらをどういうきっかけで聴き始めましたか。また、どういう部分にハマったんでしょうか。
Clo:
私の音楽との出会いはかなり遅くて、15歳くらいのときにJason Mraz(ジェイソン・ムラーズ)を知ったのを覚えています。言葉遊びを取り入れる曲作りに感動したのがきっかけで、独学でギターを弾き始めました。当時は歌を歌わなかったので、友達と一緒にセッションをしていました。2年後、歌い始めるようになって、Stevie Wonder(スティービー・ワンダー)やJames Brown(ジェームス・ブラウン)などのオールドスクールなR&Bアーティストに出会いました。私が彼らの音楽に惹かれたのは、そのグルーブとソウルでした。その頃からアコースティックなR&Bを探求するようになり、自分のサウンドを確立していったのだと思います。Zie:
10代の頃は、Panic! At The Disco(パニック・アット・ザ・ディスコ)、Chris Brown(クリス・ブラウン)、Ella Riot(エラ・ライオット)らに大きな影響を受けました。でも実際のルーツは『ライオンキング』の曲(子供の頃はサントラのCDをループさせて、両親が仕事に行っている間に大声で歌っていました)や、7歳の誕生日に家族がプレゼントしてくれたBackstreet Boys(バックストリート・ボーイズ)のアルバム『ミレニアム』にあるような気がします。このアルバムは僕にとって宗教みたいなものです(笑)。Marc:
僕は90年代から2000年初頭あたりのボーイズバンドを中心としたポップスを聴いて育ったけど、その一方でパンクロックやニューメタルもよく聴いていたので、ちょっと変わっている経緯かもしれません。ポップスのフックの耳障りの良さと、ヘビーな音楽の攻撃的な感情表現が好きなのかな。でもそれだけじゃなくて、その要素を持つような他の音楽も大好きです。ー音楽を自分で制作するようになったのはいつ頃からですか。また、作るようになったきっかけを教えてください。
Marc:
僕は10代の頃から始めましたが、曲作りを始める前はギターに夢中でした。自分でクソみたいな曲を書いては録音していたのを覚えていますが、声とギターだけでは満足できず、ドラムやキーボードなど、あらゆるものを加える方法を学びました。このプロセスが楽しくてやりがいも感じたので、そのまま続けるようになりました。Zie:
すべての始まりは学生時代の16歳のときでした。Panic! at The Discoのようなバンドから一番のインスピレーションを受けていて、ずっと彼らのようになりたいと思っていました。そこで、mixcraftというソフトをダウンロードして、当時所属していたバンドで自分の曲を作り始めました。ー過去作から最新作まで、作品のアートワークは一貫してコラージュのテイストを感じるのですが、これらは自分たちでで制作されているのでしょうか。また、アートワークやファッションの面で影響を受けているアーティスト、カルチャーはありますか。
Zie:
アジアのアートやデザイン、特に日本と韓国のアーティストから大きな影響を受けています。すべてのデザイン作業を自分たちで行っているので常に見て学んでいますが、まだまだ上手だとは言えません。でも、もっと良くなるように努力し続けていきたいと思います。ー公式インスタグラムアカウントを拝見したところ、85人という限られたフォロー欄の中にBeabadoobee(ビーバドゥビー)やNo Rome(ノー・ローム)など、音楽ジャンルで考えると少し意外とも思えるアーティストがいました。現代のユースシーンで活動するアジア人ミュージシャンという共通点が見られ、他にも多くのアジア人アーティストをフォローしているようですが、彼らに対してどのようなシンパシーを抱いていますか。また、他にもシンパシーを感じるアーティストがいたら知りたいです。
インスタグラムで他のアカウントをフォローし始めたのは最近のことなので、少しずつ増やしています。僕ら3人の好みは本当にバラバラなので、フォローしている人たちもバラバラなのかもしれません。でも、だからこそ、このメンバーで一緒にうまくやっていけるのだと思います。
そうですね、他のアジアのアーティストの活動を追うことはとても励みになります。アジア圏には才能のある人がたくさんいるし、僕たちもその一員になれたらと思ってます。今、複数のコラボレーションを並行して準備していますが、すでに素晴らしい経験になっています。言語の違いによって違うタイプのメロディーが生まれるし、それが曲の雰囲気に大きく影響することを感じられるのも最高!これからどんなものが生まれるのか、自分たちとしても非常に楽しみです。
ー2021年はさらにアジア各国のアーティストをフィーチャーした作品をリリースする予定とのことですが、アジア圏で今注目しているシーンはありますか。
もちろん、日本には大きく注目しています。まだ公開できませんが、現在2つのコラボレーションが進行中で、他にももっとやれたらと思っています。また、タイ、韓国、台湾でも素晴らしい音楽がたくさん生まれているので、各国のアーティストとのコラボは常に視野に入れています。
ーコロナ禍以降、アメリカでの人種差別問題などの流れもあり、アーティストは今まで以上に人種的アイデンティティを何かしらのアクションで表明する役割が担わされていっているように感じています。そういった状況の中、今年アジア各国のアーティストをフィーチャーした作品をリリースするというのは、どういった考えのもとで行われたものなのでしょうか。
はい、本当に見ていて心が痛みました。シンガポールでは、特定の優位な人種に近づこうと考えながら育つ必要はなかったけど、実際にシンガポールの人種差別はあからさまなものではなく、より陰湿だという違いもあります。これは今後私たち全員で向き合って、一緒に取り組まなければならない問題です。
K-POPは、アジアのアーティストは才能を持っていて、大きな力を秘めていることを世界に示しました。今となっては世界中の人々が、意味もわからずに韓国の音楽を聴いている。中国の音楽やタイの音楽、日本の音楽もそうなってほしいと思っています。才能とクオリティの高い音楽はあるのですが、もっとできることもたくさんあると思う!
ー2019年にはAmPm、Chocoholicとのコラボレーションも行われていますが、どのような経緯でコラボレーションに至りましたか。
彼らを紹介してくれたのは、以前所属していたレコード会社でした。彼らはシンガポールで作曲セッションをしていて、幸運にも彼らと制作することができました。数ヶ月間、何度もやりとりをした末に無事リリースできました!僕らにとって初めてのコラボレーションでしたが、彼らと一緒に曲作りができたことをとても嬉しく思っています。
ー日本の音楽で、昔から聴いているアーティストや、現行シーンでシンパシーを感じるアーティストがいたら教えてください。また、音楽をはじめとした日本のカルチャー全般については、シンガポールと比較してどのような印象を持っていますか。
ありきたりに聞こえるかもしれませんが、僕らが日本の音楽に最初に触れたのは、子供の頃や10代の頃に観ていたアニメでした。Aqua Timezを聴いたことがない人はいないでしょう(笑)?
いつもたくさんの素晴らしい日本人アーティストの音楽を聴いています。SIRUP、Kan Sano、iri、I Don’t Like Mondays.などのアーティストにとても共感しています。他にも、春野、No Buses、Wez Atlas、Shin Sakiuraなど、個性的で素晴らしいアーティストがたくさんいますよね。
私たちは日本をまだ十分に体験できていないので、日本のカルチャーについて多くを語ることはできないかもしれません。でも、少し訪れただけでも、シンガポールよりも日本の方がカルチャーの面では豊かだと感じました。シンガポールでは、人脈や知識がないとなかなか面白いことができません(コロナ前でも!)。今はもっと厳しい状況ですが、もうすぐ改善されることを期待しています。
ー『fleur』は1曲目「juice」の冒頭が象徴するように、デビュー作よりもギターにフォーカスがあたり、生演奏による有機的なサウンドとMIDIシンセの無機的な質感が融合した、現代的なサウンドであるように感じました。前作と比べてなにか心境・音楽的発想の変化、もしくは制作の仕方に変化があったのでしょうか。
確かに、前作からたくさんの変化がありました。制作方法は進化したし、好みも変わりました。パンデミックの間、リモートでの作業に慣れたことなどの実用的な部分でも、作曲に対する一般的なアプローチでも、みんなで技術を向上させ、インスピレーションを得るための新しい方法を見つけた影響が大きいと思います。ライブとシンセ的な要素を共存させることは、この作品を作る上でとても意図的なことでした。音的には、『fleur』はアーティストとしての僕たちの変遷を示すと同時に、将来の方向性を示唆していると思います。
ーリード曲「saint」では、メンバー全員がボーカルを担当するという変化がありました。歌が主役になる音楽において、ボーカリストが増えるというのは大きな変化だと思うのですが、全員がボーカルを担当したのはなぜですか。
ライブではボーカルハーモニーやアドリブなど、常にグループ全員でボーカルを担当してきたので、それほど違和感はありませんでした。ライブでやっていたことをスタジオでもやるというのは、自然な流れだと思います。どんなサウンドが一番良いか実験を重ねていくうちに、複数の声が加わることで曲の質感や層がより豊かになることがわかったのです。
ーSpotifyでbrb.が作成・公開しているプレイリストをいくつか拝見しました。『on rotation』や『your type』で選曲されている楽曲は、ジャンルは多様ですが流れで聴いたときに違和感のない、何か共通した“ムード”や“音像”を感じます。これらを選ぶ際の基準やフィーリングはどういったものですか。
最近はあまり更新できていませんが、もうすぐ更新します。『on rotation』は普段、新曲をリリースする前に更新して、曲の雰囲気をリスナーに事前に伝えられるような選曲にしています。『your type 』は、リスナーの選曲で作られたプレイリストです。ファンの方におすすめの曲をインスタで聞いて、それをすべて入れています。他の人がどんな曲を聴いているのかを知れるし、いつも隠れた名曲をこの方法で見つけています。
また、他のアーティストにお願いしてプレイリストを引き継ぐこともあります。他のアーティストが僕らのプレイリストに自分たちの曲を追加してくれたり、彼らの母国のアーティストをフィーチャーした国ごとのプレイリストも作っています。今のところはとても楽しんでやってます!
ー最近聴いた音楽で特にハマったものを教えてください。
最近はロックやオルタナティブ・ロックをよく聴いています。またトレンドとして再熱するような予感がしていますが、僕たちが聴いて育った音楽だし、すごくワクワクしています!Curtis Waters(カーティス・ウォーターズ)やYUNGBLUD(ヤングブラッド)、jxdn(ジェイデン)などのアーティストがロックサウンドを復活させていますよね。
ー今後の目標や、予定があれば言える範囲で教えてください。
さらに多くの曲をリリースして、世界中のより多くの人々とコラボレーションしていきたいと思っています。そして、世界が回復するにつれて、再びツアーに出て、できる限りの場所をまわりたいです。
PROFILE
brb.は、シンガポールで現在最も注目を集めているR&Bバンド。インディペンデントに活動しながら最先端のR&Bサウンドを切り拓き、各種音楽配信サービスでもバイラルチャートにランクインしている実力派だ。AmPmとChocoholicとのコラボ楽曲「Sorry That I Love You」にフィーチャーしたのをきっかけに、日本でも大きな話題を集め、シンガポールのアーティストの中ではトップの人気を誇っている。
RELEASE INFOMATION
EP『fleur』
brb.
2021年6月25日(金)【track list】
01. juice
02. honeymoon
03. move
04. saint
TAG;
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DIGLE編集部
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riko ito
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