生演奏スタイルを確立した松木美定。ルーツに接近していく彼が今見据えるものとは

Interview
シンガーソングライター松木美定にインタビュー。昨年DIGLE MAGAZINEが行ったインタビューで「生楽器を取り入れたい」と語った松木はその後、それを実現した作品を複数発表している。自身のルーツに接近していく彼の狙いや、浦上想起を迎えた最新作『舞台の上で』について、さらにこだわりのビジュアル表現まで幅広く聞いた。

ジャズのエッセンスを下地に、現代ポップスのフィールドで活躍するアーティスト、松木美定(まつき・びてい)。DTMを駆使してシーンに登場した彼は、昨年DIGLE MAGAZINEが行ったインタビューにて「生楽器を取り入れたい」と語っていた。そしてその後に発表した楽曲では実際に生楽器を取り入れ、このたびリリースした『舞台の上で』では、浦上想起をゲストボーカルに迎えただけでなく、ジャズシーンで活躍する数名のプレイヤーたちを迎え入れ、より推進力のある作品に仕上げている。

学生時代からジャズに親しんできた松木美定は、生演奏スタイルを確立し、自身のルーツに接近しているように見える。今の彼には何が見えているのだろうか。ゲストボーカルや生演奏を採用した狙いは何なのか。また、以前よりこだわりを見せるアニメーションやアートワークについて、さらには作詞の独自性や、気になっているアーティストなど、今現在の松木美定について幅広く聞いた。

松木美定の活動を始めて涙もろくなった

ーDIGLE MAGAZINEでの前回の取材は1年前でした。あれから現在まで、3つの作品をリリースしていますが、『ルミネッセンスで貫いて』の制作時は、目玉になる曲がなかなか作れなかったそうですね。スランプだったのでしょうか。

当時は体調を崩していて、少し体調が良くなったら短期集中で作る、ということを繰り返していたんです。スランプというよりもフィジカル面でやられていました。今はかなりよくなりましたが。

ーその頃、アニメ『宝石の国』にインスピレーションを得たそうですが、他の作品からヒントを得ることが多いんですか?

いえ、その時が初めてだったんです。『ルミネッセンスで貫いて』以降はまだそれほど作品数を出してはいませんが、いろんなアニメのオープニングを集めた映像を見てインスピレーションを得ています。

ーオープニングだけを見るんですか?

もちろん本編も過去に見ているんですが、これまで見てきたアニメの好きなオープニングを見るんです。僕はワクワクする音楽が好きなので、「これから始まるぞ」という高揚感を自分の音楽に取り入れたいんです。

ーなるほど。特に好きなアニメや影響を受けた作品はありますか?

『サムライチャンプルー』が大好きなんです(※マングローブ原作、渡辺信一郎監督。全26話)。僕の作品を聴いて『サムライチャンプルー』を思い浮かべる人はいないと思うけれど、作品作りに対する想いの面で強く影響を受けていると思います。好きな部分がたくさんあるんです。

ーいつ頃出会ったんでしょう?

いつだったんだろう……たぶん高校生の頃に実家でスカパーとかで見たのかなあ。その頃はそれほどハマりはしなかったけれど、何年か前にAmazon Primeで見返した時に、すごく面白いと感じて。それから毎年見返してます。年に2回くらい見ているかもしれない。

ー高校生の頃と今とで、何が変わったんでしょうか。

松木美定の活動を始めて作品作りに集中するようになってから、自分の感性が変わった気がするんです。以前は涙もろい人間じゃなかったのに、今はCMを見ただけで泣いちゃうくらいで。

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