No More Dis!新進奇形HIP-HOP集団WHALE TALXが起こす新たな波|Newave Japan #19

Newave Japan

文: ヨシヤアツキ  写:遥南 碧 

音楽ライフをディグるインタビュー企画『Newave Japan』。19回目は“サンドウィッチを作る感覚で始めた新進奇形のHIP HOP”と自ら称するHIP-HOP集団・WHALE TALX。彼らのボーダレスかつピースフルでありながら、随所に感じるこだわりの源泉はなんなのか。楽曲のルーツを含めてお話を聞きました。

L→R
Isao Kuroda(MC)/じんかくのふいっち(MC)/lazyboy(track maker)/似非animal(MC)

ーWHALE TALX(ホエールトークス)ー
日頃からピクニック仲間だったlazyboy、似非animal、じんかくのふいっち、Isao Kurodaの4人がサンドウィッチを作る感覚で始めた音楽プロジェクト。ボーダレス、ピースフルでありながらビート、リリックの随所にこだわりを感じる広く、深く、包み込むような楽曲を提げて、日本各地のライブイベントに出演している。


不思議とクロスした4人の関係

ー最初に活動を始めたきっかけを教えてください。

インタビュイー画像

似非animal:

以前から似非animal、じんかくのふいっち(以下、じんかく)、Isao Kuroda(以下、Isao)の3人はalicaっていうトラックメイカーとBBC(BusyBangCartel)っていうクルーで活動してたんだけど、あまり思うようにできなくて。

僕は新しい曲を作りたかったんだけど、その現状では難しかったので、幼馴染のlazyboyにトラック作りを頼んだんです。そうして出来た4曲のトラックがすごく新鮮で、これは楽しいことができそうって感じたんですよね。

最初は僕とlazyboyだけで活動しようと思ったんだけど、ある時フィーチャリングで、じんかくとIsaoをライブに呼んでやってみたらすごくしっくりきて。そこから正式にオファーして4人で活動を始めました。

ー似非animalさんとlazyboyさんは幼馴染ということでしたが、他のお2人とはどこで知りあったのですか?

インタビュイー画像

似非animal:

じんかくは高校の同級生。同じく高校の同級生で、例のBBC(BusyBangCartel)のメンバーにKOUNZってひとがいるんだけど、彼は高校卒業後アメリカに留学してて、Isaoはその時の後輩なんです。
インタビュイー画像

じんかく:

KOUNZと僕は高校卒業してから一緒にラップを始めて、彼はアメリカ、僕は日本にいながら、製作した音源のやりとりをしていたのですが、彼の音源にIsaoの声が入っていて。だから声だけは結構前から知っていました。
インタビュイー画像

lazyboy:

僕はその音源を似非animal経由で聴いてかっこいいと思っていて。今回、誰とやろうかとなった時に会ったこともないけど真っ先にIsaoが頭に浮んだんですよね(笑)。

ーIsaoさんのインパクト凄いですね。ラップは以前からやってたんですか?

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Isao:

学生時代からHIP-HOPは好きで聴いていましたが、ラップし始めたのはKOUNZに誘われてからですね。

ー4人でWHALE TALXとして活動を始めたのが17年の春とのことですが、そうなる前からお互いの存在は知っていたんですね。

インタビュイー画像

似非animal:

そうそう、クロスしてる、不思議ですね。
インタビュイー画像

lazyboy:

あったことないけど声聞いてるみたいな。(笑)

ーコンセプトでもある“サンドウィッチを作る感覚”や“誰のこともディスりたくない”というのは、どういう意味付けをされてるのですか?

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じんかく:

一般的にサンドウィッチってパンの耳をとるじゃないですか、だから角が立たない。ということで誰のこともディスらないってことなんですが、皆がハッピーになるものを作っていきたいっていうのはありますし、MCバトル全盛とも言える現在のHIP-HOPシーンへのカウンターでもありますね。MCバトル自体はとてもリスペクトしてますけど。

あと、僕がリスペクトしているラッパーの方にMETEORさんって方がいまして、よく人を罵っちゃいかんと言っていて、その影響を受けています。


異なるルーツの掛け合わせが生む音楽性

ー皆さんがラップに行き着くまでのルーツは何だったんでしょうか?

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Isao:

中学に上がった頃、幼馴染が貸してくれたCDの中にZEEBRA featuring AKTIONの「Neva Enuff」が入っていて、“恐いけどなんかカッコいい!”と聴いてすぐにリアクションしちゃったんです。そこからラップミュージックを掘り下げていくようになりました。

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似非animal:

僕は学生の時にはまったTHE YELLOW MONKEYですね。歌詞が摩訶不思議だし、結構ライミング(※韻を踏むこと)もしていて好きでした。

詩や言葉遊び、単純に「ことば」には以前から興味があったし、ずっと好きなんだけど、大学の授業でGary Snyderに出会ったのも大きかった。ビート・ジェネレーション、ナナオ・サカキとかその時代の詩人たちの存在、作品、ポエトリーリーディングとか、のちのヒッピーカルチャーの源流には今でも想いを馳せることがありますね。

その影響もあってか自分でも詩を書くようになって、気づいたらライミング、韻律に魅せられてた。韻の力っておもしろくて、説明的な意味の世界だけじゃない世界が生まれるというか、単純に耳が気持ちいいし脳に美味しいというか、頭では意味がよくわからないうちに、スッと腑に落ちてたりして、不思議で好きですね。もちろん単純にラップは聴いていたし、Dragon Ashの『Viva La Revolution』とか給食の時間にかかったりした世代ですからね。ラップにはずっと親近感があって。

それで実際にラップにチャレンジしてみたんだけど、ビートの制約の中でことばを選ばないといけないので、クリエイティビティが試されるのが楽しかったですね。無秩序になんでもありっていうよりかはHIP-HOPとしての成立を目指しつつ、その中で言いたいことを言うっていうのが楽しいんだと思う。

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じんかく:

HIP-HOPを聴くようになったきっかけは、小6の時に家族旅行でいったハワイのCD屋でN.W.A.のCDを見つけて買ってもらったことでした。僕ら世代だとNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDとか。DELIさんの「DELTA EXPRESS LIKE ILLUSION」をよく聴いていましたね。

特に思い出深いのは、METEORさんが最初に組んでたクルー、SMRYTRPSの「ドロボーMceez」っていう曲です。この曲でマイクリレーの楽しさを再確認しましたね。マイクリレーにはマイクリレーの難しさがあるんですよ。ヴァースの入り方ひとつとっても個性が出るし、ワードセンスやスキルが試される。8小節書くのと16小節書くのとではまるで世界が変わるし、とにかく気付かされることが多くて。

自分で始める前は「ラップって簡単そうだな」なんて思っていた時期もあったのですが、いざ音源を作ってみると難しいことがたくさんあって…。でも誰にでもすぐに始めることができるっていう意味では簡単な部分もありますよね。そこも魅力の1つだと思います。

ーではトラックメイカーであるlazyboyさんが影響受けたアーティストはどなただったんでしょうか?

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lazyboy:

今でも影響を受け続けているのは、中学の時に聴いたJamiroquaiの「Canned Heat」ですね。当時はダンスミュージックっていう認識はなかったのですが、踊れる音楽が自分に一番しっくりくると思っていました。

そのあと、フレンチハウスとかニューレイヴが流行り出した2000年代後半にMyspaseで売れるバンドが出てきているのを見て、その憧れから音楽活動を始めたのですが、当時にKITSUNÉ MAISONのコンピレーション・アルバムとかModular Recordingsに出会ってなかったら自分がこんなに主体的に活動することはなかったと思っています。

ーlazyboyさんはgive me walletsでの活動やYUKI、Aimerなどにも楽曲提供している経験がありますが、HIP-HOPのトラックを作ったことはあったのですか?

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lazyboy:

初めてでした。でもサンプリングが楽しくてすぐハマりましたね。サンプリングもサンプラーを持っていないので、以前から使ってた作曲ソフトを代用してサンプリングものまね的なところから始めて。分析して自分のやり方を探って、試行錯誤してました。自分が得意なジャンルとか聞いてきた音楽じゃなく、新しく挑戦する感じがすごく楽しかったです。

ー公開されてる楽曲ではPhoenixの「Lisztomania」をサンプリングに使っていますが、きっかけは何だったのですか?

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lazyboy:

単純に、これが好きだからです(笑)。サンプリングの曲に関してはそこが楽しみでやってますね。僕はディスコとかハウス、インディー音楽が好きなので、HIP-HOPじゃない音源をサンプリングしてトラックを作ると、普段HIP-HOPを聞かない人にも興味を持ってくれるかもしれないし、もともと好きな人も面白がってくれるかもしれないと思ってます。

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じんかく:

クロスオーバーするって感じだよね。
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lazyboy:

そうだね、“インディー”と“HIP-HOP”っていう一見結びつかないジャンルの音楽の掛け合わせみたいな。そこは意識して作っていますね。

足並みは揃わない方がいい。

ー去年1年活動してみて、WHALE TALXらしさっていうのは自分たちでどう定義しますか?

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似非animal:

ごちゃごちゃですね。これ!っていうのがなくて、ラップにしても三者三様だし、矛盾もするし、首尾一貫性もないし、それをまるっと音楽を使って楽しくしている感じがします。こういう人達って言い切れない気がします。
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じんかく:

真面目に遊んでるって感じ、自由ですね。伝えたい事とかではなく、自由に心が向く方に進んで行ってると思います。それぞれが楽しむことを第一に考えているので。
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lazyboy:

そこがラフな部分ですけど、タフだと言う事もできるので。ラフにタフにって感じですかね(笑)
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じんかく:

そしてラブリーですよね、私たちはそうありたいです(笑)。ラフにタフにラブリーにいきたいですよね。

ー去年の活動を振り返って、感じていることはありますか?

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じんかく:

初めて本格的な会議をした時に、いくつか目標を立てたんです。自分たちの情報をあまり出し過ぎないようにして謎のままでいるっていうこととか…。音楽をやることにおいて簡単に実態を掴ませないことって結構大事だと思っていて、そこも魅力のひとつになると思っているんです。僕らがリスペクトしているNulbarichとかも初めは特に謎に包まれた存在でしたし。あとは、MVを3曲分作ることも目標にしていたことだったので、大体やりたい事は出来たのかなと思っています。
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似非animal:

去年は僕が結構長い期間海外に行っていたのであまりライブができなかったから、今年はたくさんしたいなぁ。
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Isao:

個人的に忙しい一年だったんですけど、WHALE TALXでの活動があったのでなんとか持ちこたえられました。今年はもっとたくさん動いていきたいと思っています。

ー最後に2018年の目標を一言でお願いします!

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似非animal:

「音源リリース&ライブたくさん」したいですね。
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じんかく:

「りんご音楽祭」ですね。あれに出てみたい!
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Isao:

「カスリメティ」ですね。隠し味的な。あったらいいみたいな存在になりたいですね。
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lazyboy:

そういうのを「進め」て行こうっていう感じでまとまったかな?(笑)

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ヨシヤアツキ

確か学生。DIGLE MAGAZINE 編集部で企画編集とSNS始めました。有機と無機のごちゃごちゃな音楽を好んで聴きます。情熱あまりがちです。

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遥南 碧

パンク、ブラック、ロックが好きな大阪出身のエモグラファー。「愛が見える写真」、「音が聞こえる写真」を撮ります。もっと色んな写真を見たいなと思ったらWEBサイトも覗いてなー!お仕事のご相談もお気軽に!

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