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文: DIGLE編集部 編:Kou Ishimaru
カリフォルニア州出身ミュージシャン・Ginger Root(ジンジャー・ルート)が出演する、<フジロックフェスティバル2023>の開催も近づいてきたこの頃。そのGinger Rootが<フジロックフェスティバル2023>への出演へ向けた思いや、日本ツアーの裏話、日本出身アーティストYeYeとのコラボレーション、そしてポッドキャスター「ゆとたわ」との交流、さらに音楽制作のプロセスについて語ったインタビューが公開された。
ー(今日のインタビューを行なっている)Qratesを使ってレコードをプレスしたことがあると聞きました。どのようなきっかけで使い始めたんですか?
レコードをプレスするのは本当に大変なんだ、特にスケジュール面では膨大な時間がかかる。だから僕とマネージャーとで相談して、自分たちの手を介さずレコードを作る解決策を探し始めたんだ。
City Slickerのレコードをリリース時に、オーダーや配送、プレスまでを手配してくれるQratesを使ったんだ。その当時、僕自身や所属しているレーベルもこれから大きくなりつつあるタイミングで、自分たちでオーダーを取ったり、レコードをマネージャーの家で保管してパッキングと配送をやったりするのは本当にタフで。だから何か新しいやり方を試さなきゃと思ったんだ。ちなみにQratesを知ったのはWolfpackのおかげだね。当時いい関係を築けていて、クオリティも良かったんだ。
ー ちなみにVULFPECKもQratesを使っていますよね。彼らとあなたには、音楽はもちろん、どのように音楽をリスナーに届けるかどうかといった点にこだわりがある部分も共通していることがある印象です。
そうだね、大学生の頃は彼らのファンで、こんな人たちと関われたらいいなぁと思ってたんだ。彼らはクールだからね。今やジャック・ストラットンとは友達なんだ、電話番号も知っているしランチも共にしたんだ。とても変な感じがするよ。
今や音楽的な影響みたいなものを受けることは無くなったかもしれないけど、彼らが挑戦したり音楽を届ける方法にこだわる点についてはこれからも意識していくことになるだろうね。
ー ジャックにはGinger Rootの名前の由来を伝えたりしましたか?
もちろんしたよ、クレイジーだよね。面白かったよ。
ー (インタビュー直前まで)日本語で会話していましたが、日本語から英語に突然切り替えるのって変な感じしませんか?
日本に来てからずっと日本語で話していたから、変な感じはするよね。今朝もマネージャーと英語で話して、その後日本語に切り替えたり、一日中そんな感じだよ。
ー 話す言語によってマインドとか態度とかって変わったりしますもんね。
まさに!日本語を話そうとするとき、自分のパーソナリティーもちょっと変わってる気がするよ。よく友人と「話す言語を変えてもパーソナリティーを保つにはどうすればいい?」って話題について話すんだけど、パーソナリティを言語に移し替えていくことだと思う。今回の日本の滞在まで考えることはなかったよ。
ー 英語から日本語、日本語から英語に切り替える時に困ったことってありましたか?
日本の友人と話した後、僕のマネージャーと英語で話す時には言葉に詰まったりするんだよね。日本語でインタビューを受ける時には超集中してきいていないと正しく答えることができないなと思ったりする。日本に来てから毎日練習したり生活する上で日本語を使ううちに、上達していった感覚はあって。
ポッドキャストのゆとたわでも言ったんだけど、声が小さくって聞こえないことがたまにあるんだよね、英語でも。
ー 私も英語を話すとき同じようなことがあるのでよくわかります。ではここからツアーや日本滞在についてお聞きしたいと思います。初めてのジャパンツアーで日本滞在をされている間、どんなことをされてましたか?ライブやレコード屋に行かれたと聞きました。
ジャパンツアーが終わってから、まず大阪に行ってNisemonoのミュージックビデオを撮影したんだ。そのあと東京に戻ってきてから韓国に飛んで、ライブをやって、また日本に帰ってきて、京都と鹿児島に行ったよ。
NisemonoのMVでマネージャー役を演じてくれた女優が鹿児島出身だったから、彼女が「私の故郷の街、見てみたいでしょ?」と冗談で言っていて、「いや、遠いしいいよ」とか言っていたんだけど、結局行ってみることにしたんだ。
その後は大阪で大貫妙子さんのライブを観た。とてもクレイジーな体験で、まさか自分が人生で彼女のライブを観に行ける日が来るなんて思いもしなかったよ。東京に帰ってきてから自分が取り組んでいるプロジェクトをやってから、休暇に入ったんだ。
まあ、休暇と言ってもビジネストリップって感じだね。J-Waveでラジオをやったり、ブルータスのインタビューを受けたり、ポッドキャストに出演したり、そんな感じ。
東京では浅草や東京タワーに観光に行ったりしたけど、一番のお気に入りは商店街だね。アメリカにはないから、ただ商店街を歩きながら音楽を聴いたり、食べ物を買って公園で食べたり、日常的なことが好きなんだ。落ち着くというか、満たされるような感覚があるよ。日本のミュージシャンの友達にもあって、2ヶ月半ほどいたんだけど、とても短いようで長い日本滞在だったよ。
ー 商店街を歩いたり、そこで音楽聴いたりするような日常的なことを楽しんだととのことですが、その観点で他の街や国ではない、日本や東京が特別だなと思うことってありましたか?
どちらかというと一般的なことにはなるんだけど、アメリカは散歩したりできないんだ。車移動が基本だからね。東京に似てるのはニューヨークぐらいなんじゃないかな。僕が住んでいる街は散歩できるような環境はなくて、例えば最寄りのマクドナルドに行こうとしたら歩いて20分ぐらいで、高速道路みたいな大きな通りを渡ったりしなきゃいけなくて危ないんだ。散歩しようと思ったら、車で10分ぐらいの公園まで行って、車から出て、散歩して、また車で帰ってくるみたいな感じなんだよね。だからアメリカには無い体験で、ホテルの近くを散歩したり、電車で出かけたりするのが本当に好きなんだ。
ー その違いは面白いですね。日本とアメリカの環境の違いって音楽の楽しみ方にも影響を与えているような気がします。日本人の多くは通勤や通学の時に電車で音楽を聴く人も多いですし、アメリカでは車の中ですもんね。
確かに。それは理解できるかもしれないな。インタビューを受けにきたり、友達と会ったりする時、20分ぐらい電車に乗って10分ぐらい歩くんだけど、その間にたくさん見るものがあるんだよね。全てが隣接していて、コンパクトで、インスピレーションを感じるよ。
もしかしたら自分が住んでいるアメリカにちょっと飽きちゃっていたのかもしれない。もしかしたら電車に乗ったり歩いたりしながら音楽を聴くのは車に乗って聴くよりも楽しいことかもしれないね。もちろん良いところと悪いところがどちらにもあるとは思うんだけど。
ー 日本人ミュージシャンとの関わりについて教えてください。昨年YeYeとのコラボレーションとして”水面にアイス”をリリースされていました。またゆとたわ(ゆとりっ娘のたわごと)のポッドキャストにも出演されていましたね。どのようなプロセスを経て交流が生まれたんですか?
ある日、YeYeのマネージャーがメールを送ってきたんだ。彼女は新しいアルバムをリリースしようとしていて、何か一緒にできませんか?と連絡をもらったんだ。おかしなことに、僕は大学生のころ彼女の音楽を知って、ずっとファンだったんだ。だから「何かできることがあればぜひ一緒にやりたい!」と伝えた。日本はもちろん、世界中のアーティストとコラボレーションする機会もなかったし、彼女のマネージャーがわざわざ連絡をくれたし、音楽制作の時間もあったしね。
彼女に完成した曲を送ったとき「ここは変えたい」とか「ここはあんまり好きじゃない」みたいなことを言われる準備をしていたんだけど、彼女は「全部いい感じだね!」って言ってくれたんだ。
クールだよね、とてもいい経験だったよ。
ゆとたわ(ゆとりっ娘のたわごと)は、僕の友達が聴いているポッドキャストで、あるとき僕ら二人ともが同じポッドキャストを聴いていたことがわかったんだ。その友達は、ゆとたわが開催したイベントのPAをやっていて、コロナの間に何か一緒にできたらいいねって彼女たちと連絡を取り合っていたんだ。でも結局実現できなかった。でもやっと日本に来れてスケジュールも合わせられたんだ。
ポッドキャストを録音するならZOOMみたいにオンラインより同じ空間にいた方がいいよね。ポッドキャストの収録はとても楽しかったよ。日本語の勉強にとても役立ったし、会話形式だから自然だしオーガニックだから。教科書で勉強するのとは全然違う本物の日本語だったね。
毎週聴いていたポッドキャストにゲストとして出演するのは変な感じだったよ!
多くのインタビューだったり、音楽のコラボレーション、ポッドキャストなどの機会を自分から作りに行ったわけじゃないんだ。向こうから連絡をくれて「これやってみない?」って言ってくれる。自分のことを知ろうとしてくれたり話を持ってきてくれることにとても感謝しているんだ。
ー 意図的にコラボレーション相手にアプローチしているわけではなく、相手側から声をかけてくれるのは興味深いです。クリエイティブな映像だったり、プロモーション方法など音楽以外にも発信能力に長けているなと思っていて、そういった露出があなたを見つける助けになっているのでは?と思いました。こういった状況とクリエイティブな発信は何か関係し合っていると思いますか?
それは言えてると思う。今は音楽そのものだけでは十分じゃないと思っているよ。多くの人々の関心を深掘りすると、何に自分が参加したいかだったり、何をサポートしたいか、みたいなことを求めているのだと思う。音楽以上のものを求めているんだ。ある意味、不運な状況とも言えて、多くのミュージシャンは素晴らしい音楽を作っているけれど、それだけでは足りないという状況にもなり得るんだ。
僕はラッキーなことに、映像を作ったりビジュアルを作ったり、そういったさまざまスキルを身につけていて、そのおかげでバンドをよりまとまりのあるものにできるんだ。もしどうやればいいかわからないことがあれば、喜んで勉強するしね。
バンドが持つより強いイメージやアイデアを作り上げる時に役立っていると思うし、Ginger Rootのためにやってきたことが身を結んだと思っているよ。
ー 前回のインタビューでも音楽だけではなくどう届けるかをケアしているとお話されていましたが、積み重ねが今の活動に繋がっているんですね。そんなGinger Rootの持つクリエイティビティを追求する原動力について教えてください。
僕はいろんな種類の仕事をするのが好きなんだ。レコードを作る時は作曲活動に集中して、僕の人生全てが音楽制作に費やされる。でも一日中音楽を作っていたら飽きてくる。そしたらミュージックビデオを作るんだ。
そうしたら興味関心がリフレッシュされて、エネルギーがまた湧いてくる。
ミュージックビデオに飽きたら、次は音楽制作に戻りたくなってくる。そんなふうに前に進むための周期があって、活力を取り戻すんだ。他にはグッズをデザインしたり、写真を撮ったり、また飽きたら次はツアーをまわって、それに飽きたら音楽制作に戻ったり。
どんなに忙しくても自分で全部やるから、同じことに時間をかけすぎるとそれを止めるんだ。自分の内側で起こっている変な気持ちだけど、そのおかげで次のステップへ行くことができるんだ。
ー 音楽に飽きたら他に逃げる先があって、そのおかげであなたのクリエイティビティが復活するというか。
まさにそんな感じだね。
ー 人々から認知され有名になる過程の中で、どのようにクリエイティビティにエネルギーを注ぎ保ち続けるのでしょうか?ありきたりな表現ではありますが、以前にも増してGinger Rootはますます人気になっている状況で、認知度が上がってきていると思います。クリエイティブでいることと、マスのオーディエンスを意識することは、時にトレードオフの関係になるかなと思うのですが、今はどちらも持ち合わせているのがGinger Rootなのかなと思います。
それは難しい質問だね。そもそも自分は有名になるために活動しているわけではないし、有名になりたいわけでもない。自分が取り組んできたことの結果として、みんなに知ってもらえるようになっただけなんだ。おかしな話なんだけど、近所のコインランドリーで洗濯をしていて、汚れた服を運んでいたら誰かが僕を呼び止めたんだ。
「洗濯してるんですか?」みたいな感じで。こんなことは以前にはなかったんだけどね。
やっぱり僕は何かを作ることが大好きなんだと思う。作ったものを人に見てもらいたいというよりは、何かを作るというアクティビティ自体が好きなんだ。ずっとそのやり方でやってきたし、世の中に出そうが出さまいが、ボツにしようがしまいが、創作の過程自体が好きなんだ。日本に来る間に自分自身について学んだことでもあるんだけどね。
マネージャーとも冗談で言っていたことでもあるんだけど、Ginger Rootはもはやバンドを超えてプロジェクトになりつつあるんだと思う。
映像も、プロモーションも、グッズもロゴもあるブランドみたいな感じだよね。でもビジネスっぽくしたいわけじゃない。これからさらに多くのオーディエンスに知られていくうちに、プレッシャーも大きくなるだろうけど、でも「純粋に創作することが好き」という自分の信念を覚えている限りは楽しめるよ。
これが自分を駆り立てる要素なんだと思う。前回(3年前)のインタビューでも言ったと思うんだけど、いまでも変わらずにいるよ。
ー バンドからプロジェクトに変わりつつある、と話があったと思いますが、”Ginger Root Cinematic Universe”というワードを過去のインタビューで見かけました。この言葉って誰かが作り出したんですか?それともあなた自身で作ったんですか?
それはYouTubeのコメントで誰かが言い出したことだよ。面白いよね。確かにCinematic Universeっぽい感じがするもんね。(*Ginger Root Cinematic UniverseとはGinger Rootが作り出す音楽と映像作品によって浮かび上がる世界観」のこと。)
ー オーディエンスもプロジェクトになりつつある変化をポジティブに受け止めて、そのクリエイティビティをそのようなワードで表現したんでしょうね。Ginger Root Cinematic Universeといえば、二作連続リリースとなったEPでは多くのミュージックビデオやプロモーション映像を制作されていたかと思います。またコンセプトも色濃く反映された作品だと思うのですが、前作はアルバムとして”Rikki”をリリースされたかと思いますが、今回はEPを2枚リリースされています。このリリースは戦略的に考えたものだったのですか?
そうだね。”Rikki”をリリースした後、実は自分が考えていたほどのヒットにはならなかったんだ。当時はコロナも流行していたし、世界が混沌としていたからね。このアルバムは僕のブレークスルーアルバムになるかと思っていたんだけど、そこまで上手くいかなかったんだ。
ツアーをまわることも出来なかった。結果的に何も起こらなかったんだ。
その後、次のレコードをどうしたいか考えていたけど、”Rikki”にはかなりの時間とエネルギーを注いたんだ。2年半かけて制作して、良い評判を得ることが出来なくってがっかりしてしまってね。だからまずは小さく始めて、もしだめだったら無かったことにできる。
大きくすることはせず、小さく作る方針で、”City Slicker”を6曲で作ろうと思ったんだ。全曲短い曲でね。「サッとジャブを打って身を引く」ような作品を作りたいんだ、ってマネージャーに言ったよ。無駄がなくて、簡潔で、単刀直入になっているか確認しながら、フルアルバムの代わりにEPにしようと決めたんだ。
もし”City Slicker”がフルアルバムだった、今ぐらいに人気にならなかったんじゃないかな。曲数が多ければミュージックビデオを作るにも時間がかかるし、カジュアルかつ決まりごとが少ない作品にして、クレイジーにしたいだけクレイジーにして、どうなるか見てみようと思ったんだ。
ツアーにも出れなかったし時間があったし、当時は日本語を勉強していたし、架空の80年代映画のサウンドトラックをテーマに据えてみた。
でも”City Slicker”は、単に日本から影響を受けただけの作品ではないんだ。”Nisemono”もそう。多くの人は「これはシティポップだね」みたいに言ったりするけど、僕は違うと思ってる。
もちろん、日本のシティポップや日本の80年代のカルチャーは、影響を与えている要素ではある。でもミュージックビデオは子供の頃観ていたジャッキーチェンの映画だったり、子供の頃好きだったものとかパーソナルな要素も取り込んでいるんだ。
そして、僕が“City Slicker”で出来なかったことは「最初から最後まで完成されたストーリーラインをレコード全体に突き通せなかったこと」なんだ。
世界観は作り上げられたけれど、そこにはストーリーがなかったよね?世界観を作りつつも、リアルなストーリーを作りたかった。そこから僕が1983年の架空の日本人アイドルのために曲を書いて彼女が失踪、代わりに僕が曲を歌うことになって結果僕自身がアイドルになる、というストーリーが生まれたんだ。そしてそのストーリーは次のミュージックビデオ(Nisemono)につながっていく。
キミコが帰ってくるんだ!
最後の2曲とそのミュージックビデオは僕がこれから編集しなきゃいけないんだけど、クライマックスを迎えるような曲になると思う。”City Slicker”で作り上げてきた世界観はそのままに、パーソナリティを持ったキャラクターが登場する完結したストーリーを作り上げたかった。日本っぽくもあるし、70年代のアメリカっぽくもあるし、90年代のカリフォルニアっぽくもある。今やシティポップっぽくもあれば、スティーリー・ダンみたいでもあるけれど、それを含めてGinger Rootなんだ。
EPとしてリリースすることでそれぞれのプロジェクトが小さくなった、そしてとにかく音楽がやりたかった。音楽が大好きだからね。ミュージックビデオもEPだったからできたし、アルバムぐらいのプロジェクトの規模だったらできなかっただろうね。アルバムに2年半かける代わりに、大体1年ぐらいでEPの制作を終えられたんだ。そのおかげで短い時間で一通りやり切れたと思うね。
ー 単に日本のシティポップからの影響だけではなく、パーソナルな経験を含めたさまざまな影響や要素が組み合わさっている作品なんですね。加えて”Nisemono”についてお聞きします。”Loneliness”のミュージックビデオにディスクリプションが書かれていましたが、今回のテーマはインポスター症候群ですよね。 メンタルヘルス的なテーマでもあり、少し重くなってしまうかと思えば、音楽の面ではハッピーなムードが漂ってました。このテーマを扱う上で意図したことはありましたか?
「偽物」を英語に翻訳すると”Fake Thing”ってことだと思うんだけど、インポスター症候群は「自分がまるで偽物だと感じてしまう」ことだよね。あらゆるものが偽物で、リアルではなくて、全てが作り物みたいに感じることだと思う。今回これをテーマとして扱う上で二つ意味がある。
一つは”City Slicker”をリリースした後に、インポスター症候群のような感覚に陥ったんだ。「自分はこんなに人気が出たことに値するのだろうか?」みたいにね。あまりに早いペースであらゆることが起こるから、このまま同じように続けていいんだろうかって思ったね。
二つ目の意味は、”Nisemono”の世界の中で起こるあらゆるものは偽物ということが言いたかったんだ。アイドルも偽物だし、炭酸飲料メーカーだって偽物だし、航空会社も偽物、マネージャーは本物の僕のマネージャーじゃないしね。いずれにしても自分が成功に値する人間なんだろうかという気持ちと、全ては作り物で偽物なんだってことさ。
重いテーマを扱うときは音楽まで重くなるとトゥーマッチだし。2ヶ月ほど日本で過ごすうちに少しづつそう言った感情を受け入れられるようになってきた。今でもその途中ではあるけれど。
ー 個人的な経験からインポスター症候群をテーマとして扱うことになったんですね。先ほど言及されたように、”Loneliness”のMVではキミコが去ってしまい、あなたが代わりに歌ってスターになると思います。その後”Over The Hill”では、あなた自身もスターであることから逃げますが最終的にマージャンルームに戻ってきます。自分があるべき場所に帰ってきた、と言った印象を持ちました。
そうだね。”Over The Hill”のミュージックビデオの中でマージャンルームに帰ってくることは、過去の自分自身に立ち返る意味を持っていて、決して忘れ去ったわけではなくて、自分の一部であることを認めるような感じだね。
今でもそうだし、これからも自分の中にあると思えるんだ。まるで僕が偶然発見する、自分に宛てたメッセージのようでもあるし、おかしなことにマージャンはGinger Rootのテーマであり、立ち戻る場所になっているよ。”Nisemono”の”Over The Hill”のようなミュージックビデオで登場するんだけど、”Rikki”や”City Slicker”でも登場したね。
ミュージックビデオを通して、僕は偽物の人間じゃなくてリアルなあるがままの人間なんだ!って見せようとしていたのかもしれない。登場するストーリーにまつわる要素は、そんなふうにミュージックビデオに取り込まれているよ。
ー そういった風に物語が作り上げられていることは非常に興味深いです。さらにお聞きしたいことは、作り上げたストーリーや世界観をどうツアーのライブ演出に落とし込んだかです。その背景や経緯などお聞きできますか?
ミュージックビデオをたくさん作ってみた結果、ライブで見せないのはもったいないなって思ったんだ。十番ニュースのアナウンサーや、JOSNニュースのアメリカ人キャスターもみんないるしね。たとえば”Loneliness”を演奏する前に、ミュージックビデオのイントロを放映したりして。EPに収録されている曲のためにミュージックビデオを作ったんだけど、まだ観てない人もいると思ったんだ。だから音楽とビデオを一緒にしてライブで見せるのはどうだろう?って思ったんだ。
僕はこんなことをやっているバンドを他に知らないし観たこともなかったんだけど、やってみようと思ったよ。さっきも言ったけど、ビジュアルイメージや世界観はより繋がりの強いファンになってもらって、Ginger Rootというプロジェクトに入り込んだりサポートしてもらうためのやり方なんだ。
ー ニュースキャスターやマネージャーが実際にステージ上に現れた時は驚きました!クリエイティブな作品とライブ演出の融合は見事だなと思います。脱線しますが、ライブを見ていて気になったのは、”Nisemono”で登場する赤いスーツのマネージャーさんです。ツイッターで役者さんを募集しているのも見かけましたが、あの女性は何者で、どのように出演が決まったんでしょうか?
キミコのマネージャー役が必要だったんだ。君も、どのミュージックビデオにも彼女が出演していたのも見たと思う。ツイッターとかインスタグラムで呼びかけたんだけど、LA在住がマストな条件だったんだ。撮影はリモートじゃできないからね。
面白いのは応募は日本からいくつかったんだけど、アメリカからの応募は彼女一人だけだったんだ。
彼女の名前はナナ(岩崎七生)。実はSNS上で応募を募る数週間前に、CHAIがLAでライブやっていた時に会場でたまたま出会ったことがあって。
終演後帰ろうと思った時に彼女が肩を叩いてきたんだ。身長が低めの日本人女性で、クレイジーなファーのハットを被っていたんだ。彼女は「大ファンです!すみませんこんな風に声かけちゃって」みたいな感じで。その後マネージャー役の応募メールを僕に送ってきたんだ。それがあのライブの時に出会ったおかしなファンだったとは。
台本を渡して演じてもらうとき彼女が「何かミスがあったりしたら直すので教えてください」って言って、実際にタバコを取り出すシーンを撮ったんだ。パーフェクトだったね。彼女はとにかくパーフェクトなんだ。ミュージックビデオのセットにやってきて、少しリハーサルをやるぐらいでね。今はもういい友人だよ。
日本のポップカルチャーについて教えてくれたり、メールのやり取りなんかをする中で日本語の練習にも付き合ってくれる。彼女からあんまり理解できていなかったことを深く学ぶことができることはとてもいいことだよ。みんな彼女のことが好きだし、まるで本当に80年代の日本からやってきてみたいに見えるよね。
ー 彼女が完璧だったことはライブでも印象的でしたし、驚いたのは彼女がサックスを演奏していたことでした。ライブの中で印象的なシーンをもう一つ挙げるとすると、YMOのメドレーを演奏したことだったかなと思います。あなたのライブの数日後に高橋幸宏さんが亡くなられるという悲しいニュースもありましたが、過去のインタビューではYMOは初めて出会った日本の音楽だったと言及されていました。初めての日本ツアーでYMOの曲をカバーすることはあなたにとってどんな意味があったのでしょうか?
ああ、それはいい質問だね。確かにYMOは初めて見つけた日本の音楽であり、すぐに大ファンになったんだ。そしてYMOメドレーをライブで演奏したことは、僕なりにYMOに対して感謝の気持ちを伝える方法だった。もしYMOが存在しなかったら、僕は日本のジャズやアイドルカルチャーなど、日本のことを知ることはなかったと思う。もしYMOが存在しなかったら、坂本龍一や高橋幸宏のインタビューを観て日本語を学んでみたいと思わなかったと思う。
いつか会ってみたいと思うけど、彼の体調は芳しくないようだし多分会えることはないんだろうと思う。(*このインタビュー実施後の3月28日に坂本龍一さんがお亡くなりになりました。心よりご冥福をお祈りします。)
そして、もしYMOが存在していなかったら、僕が日本でツアーを回ることだってできなかっただろうと思う。だから、僕にさまざまなものを見せてくれて、教えてくれてありがとう、といった気持ちを伝えたかったんだ。そしてYMOメドレーを演奏するなら、それは日本であるべきだと思ったんだ。アメリカや韓国、香港などでも好き人はいるけれど、日本では非常に大きな影響を音楽に与えているから、日本では本当に良い演奏ができたと思ってるよ。
ー まさかYMOメドレーを演奏するとは思っていませんでした。その場にいた人、僕を含めて全員大盛り上がりでしたよ。日本以外でも演奏自体はされたんですか?
演奏はしたんだけど、リアクション自体はそこまで大きくはなかったね。韓国、香港、シンガポール、タイ、台湾などのアジアツアーでは演奏したんだけど、やっぱり日本が一番盛り上がっていたよ。
ー 確かに人気があった70~80年代でリアルタイムで海外に影響を与えていたはいたものの、やはり日本が盛り上がりとしては一番だったんですね。USツアーはどうでしたか?
USツアーではYMOメドレーは演奏せずにアニメソングメドレーにしたんだ。アニメのオープニングソングメドレーだね。アメリカでとても人気があるアニメもあるし、僕もアニメが好きだからやることにしたよ。カウボーイ・ビバップやワンピース、エヴァンゲリオン、セーラームーンのテーマなんかをね。
日本の人たちはYMOを演奏した方が盛り上がるんじゃないかって思っていたんだけど、日本ツアーのリハーサルの時にマネージャー役の女優であるナナにYMOメドレーかアニメソングメドレーどちらを演奏するべきか聞いてみたんだ。そしたら彼女は「YMOにするべきよ」と言ったんだ。「じゃあわかったYMOにするよ」って答えたんだけどね。
ー 演奏する国によってメドレーの内容が変わったんですね。それ以外で、国によってステージ演出なんかが変わったケースはありましたか?
日本のツアーはUSツアーと大部分は一緒ではあったんだけど、USツアーではマネージャー役のナナがアメリカ中をまわることができなったから、カリフォルニアでのライブだけに出演したもらったんだ。日本ツアーでは全てのライブに出演できたよ。カメラマンがステージ上を動き回る演出や楽器隊、セットリストは基本的に同じだったんだけど、アジアツアーは資金面の理由だったりビザの関係でカメラマンを連れて行くことができなかった。
アジアツアーのいくつかのライブはフェスへの出演だったこともあってセットリストも短めだったし、セッティングに時間も割けなかった。それに対してはちょっとストレスがあったかな。
だからシンプルに音楽をやることに決めて、ステージのバックスクリーンにミュージックビデオの映像を流すぐらいに留めておいたんだ。日本では6人チームで動いていた、それぞれの土地で手伝ってくれる人もいたんだけど、アジアツアーでは4人だけ、バンドメンバーと音響スタッフだけで全てこなす必要があった。完成されたライブ体験を作り出すのは本当に大変だったよ。
ー では日本のオーディエンスはラッキーだったということですね。ちょっと話は戻ってしまうのですが、ステージ演出や”Nisemono”で重要な役を演じたアマイワナさんについてお聞きします。どのようなきっかけで彼女のことを知り、出演が決まったんですか?
僕から彼女にコンタクトを取ったんだ。君のツイートから彼女の音楽を見つけてね。彼女の音楽についてのツイートを見かけて聞いてみたら気に入って、すぐインスタグラムでフォローしたら、彼女もGinger Rootの”Loretta”のミュージックビデオが好きだったらしくフォローが返ってきた。ファンでいてくれていたみたいだったよ。僕も彼女のファンであることを伝えたところから関係が始まり、80年代のアイドルカルチャーについて詳しくて雑誌などが好きだったり、80年代アイドル風に話すのが上手ってことを知ったんだ。
その後、ミュージックビデオを撮影してくれる友達と「アイドルを出演させるのって面白いよね」って話をしていたんだ。それで友達が「誰かアイドルを演じてくれる人いるかな?」って聞いてきたから、彼女のことを思い出したんだ。メッセージを送って「あなたが興味を持ってくれるかもしれないプロジェクトに取り組んでいて、よかったらZOOMで話せませんか?」って聞いたんだ。当時は日本語も今ほど話せなかったしとても緊張していて、どのぐらい彼女が僕のプロジェクトを理解してくれた上でOKを出してくれたかはわからないんだけど一緒に撮影できることになったんだ。
彼女の声やルックス、ウィッグ、彼女が取った写真やアルバムのアートワーク、全てが完璧だったから嬉しかったよ。それから連絡を取り合ってて、最初はミュージックビデオの撮影のため別の人を雇っていたんだけど日本ツアーが決まったから、自分でカメラを持ち込んで日本で撮影しようと決めたんだ。
もし日本で自分で撮影してディレクションできるチャンスをモノにできなかったらバカみたいな気持ちになってしまっていただろう。彼女も日本に住んでいるし、素晴らしかったよ。そして、欧米のバンドが日本ツアーを回るときにオープニングアクトが付くことが少ないってことに気がついたんだ。
アメリカではオープニングアクトが付くことが当たり前なんだけど、今回の僕のツアーではオープニングアクトとしてアマイワナを呼びたかったんだ。会場側と話していると最初はなぜ?と言った感じだったんだけど、僕のライブだし最終的にはオープナーとして出演してもらうことが決まったんだ。
ー ここから話題を少し変えたいのですが、前作の”Rikki”ではあなたのパーソナルな体験だったりノスタルジアについて表現されていたかと思います。そして最新EP2作品はパーソナルでありながらも、コンセプトだったり世界観、ストーリーが組み立てられた作品になりました。ツアーが終わったばかりですが、Ginger Rootが次どこに向かうのか教えてください。
これまで作ってきた世界観には時間も労力もかけてきたし、これからも続けたいと思っている。少し変えたりするかもしれないけど、また一から新しいブランドみたいなものを作ることはないと思う。これまで作ってきた要素がそこに残り続けるはずだよ。
とにかく今は、スタジオに戻って曲を書きたいと思っている。
1月から今まで(インタビュー実施は3月下旬)家を離れているし音楽を演奏することから遠ざかっているからね。スタジオや楽器が恋しいよ。そしてどこかで立ち止まることもなくって、新しい作品を待ってくれている人がいることにとても嬉しく思う。(新しいものを作ることは)ストレスがかかったり、時に怖かったりするんだけど、自分は次のチャレンジに向けて準備万端なんだ!って思えることが大事だと思うんだ。
誰がGinger Root Cinematic Universeがどうなるかを知っているんだろう?誰もわからないよ、もちろんガラッと変えてしまうことはないだろうけどね。
ー ツアーを終えたばかりのタイミングでは次どうなるかは誰もわからないことだと思います。以前のインタビューから考えてみると、”Rikki”をリリースされた直後の頃フランス語を勉強しているとおっしゃっていましたよね。
そうだね、ちょっと読めるぐらいですぐやめちゃったよ。続かなかったね。
ー その経験が”Le Château”の作曲に繋がったとおっしゃっていました。そして日本語の学習は過去2つのEPの中でその経験が生かされています。つまりその時々の興味が作品に何らかの形で還元されているな、という印象を受けていました。
そうだね、今は何か新しいことに興味を持っていることはそんなにないんだ。”Rikki”や”City Slicker”のときのようにコロナで時間があった状況だったけど、今は時間がそこまでないんだ。コロナが流行し始めたころは、時間があったしYouTubeを一日中見たりドラマやアニメを観たりすることができたんだけど、今はそんなに長い時間をかけられないんだ。日本語学習はこれからも続けていきたいと思っているし、もっと上手くなりたい。”Rikki”ではフランス語やフランス映画、”City Slicker”では日本語だったり日本の古いものから影響を受けているしね。
日本滞在の間に、自分自身についてたくさん学ぶことがあったんだ。日本にいる間は自分で全部やらないといけないから日本について学んだし、自分自身について考え、圧縮ファイルを展開するように自分を棚卸しする時間が多く持てたんだ。
自分自身と向き合いよく知る時間を持てたから、次の作品は”Rikki”のようになるかもしれない。同じ世界観だけれど、内側のテーマは違うみたいな。まだわからないけどね。
でも、ここ最近考えた一番新しいことは、自分自身のこと。自分が人生についてどう感じているかを考えていたんだ。今まで長い間やってこなかったことのような気がする。自分と向き合う時間を、外国で過ごすってことが面白いなって思ったんだ。
ー 日本での時間のおかげで自分の内面に向き合えたということなんですね。
そうだね。日本に行くってことが決まったとき、日本の人が自分をどう見るかとても気にしていた。自分の日本語は伝わるんだろうか、日本についての知識は十分だろうか、日本でのルールはちゃんと知っているだろうか、みたいにね。自分でも何故か分からないんだけど、日本で長く過ごせば過ごすほど、自分がアメリカ人であることを思い出すようになるんだ。
変な感じなんだけど、日本にやってきてすぐの頃はみんなにいい印象を与えられるようにしたかったんだ。周囲の人に敬意を払っているかどうかを気にしていたね。
でもそんな感情を手放して、自分はカリフォルニア出身の中国系アメリカ人、それが自分自身なんだって思えたんだ。外国でそんな感覚を得たのは本当に面白くて、カリフォルニアにいれば周囲の人や物は大して変わらないけど、アメリカ人であるってことで、ここ日本にいれば嫌でも目立ってしまうよね。
英語でも、なんて言っていいか分からないけど、緊張が和らぐ感じかな。日本にやってきてから肩にのしかかった重荷をずっと感じていて、ツアーを回るし偉い人に会うこともあったし、ラジオ出演やインタビューを受けたり、ずっとストレスを感じていたんだ。自分が偽物に思えてきて、上手くやれているんだろうかって思っていたんだ。
でも「OK、新しい知識を身につけてカリフォルニアに帰るのもクールだし、周囲の環境を変えることで自分に余白を与えられる」って思えたんだ。
ー 日本滞在中は、多忙ながらも自分自身と向きあう良い時間になったとのことですが、そういったように忙しくしているうちに燃え尽き症候群みたいになることもありうるのかなと思いました。そのような感覚に陥ったことはありますか?
忙しいけれど、毎日ってわけじゃないんだ。月曜から金曜日まで打ち合わせなどやることがあるけれど、土曜日はフリーだったり。自分のための時間を確保することはできるんだ。アジアツアーから帰ってきたあと面白いことがあって、タイから日本に帰ってきた時に食中毒になったんだ。
その後大阪に帰ってきたんだけど、4日間何も予定が無い日が続いていた。
東京ではなく大阪にしたのはちゃんと理由があって、大阪には知り合いがいないから。「ご飯行こうよ!」とか「遊びに行こうよ!」「ラジオ一緒にやらない?」みたいな声がかからないから、誰の邪魔も受けないよね。
でも結局その4日間が終わった後、飽き飽きしていたんだ。そのあたりを散歩して、いろんなことをしたんだけど、また友達に会いたくなったし、東京に帰りたくなった。ミーティングにも参加したいし、音楽を作りたくなったんだ。だから4日間はちょうど良い長さだったと思うよ。
昨日の朝だって、実は何も予定がなかったし、明日は忙しいと思うけど、明後日は予定がない。だから今の生活に満足しているよ。
ー 最後の質問です。今年のフジロックへの出演おめでとうございます。出演が決まったことについてどう捉えていますか?(Fuji Rock Festival 2023 – 7/30 (Sun) 24:00-24:50 RED MARQUEEに出演予定)
日本ツアーの前からフジロック関係者とずっと話していたんだけど、彼らは「Ginger Rootに出演してほしいよね」って言ってくれていたんだ。
それで、日本ツアーにフジロック関係者がやってきて「これはGinger Rootにオファーしないと」って思ったらしいんだ。でもいつラインナップが発表されるかは知らなくて、街でポスターを見かけた時に「あ、Ginger Rootってフジロック出るんだ」って思ったね。
僕はフジロックでのパフォーマンスを特別なものにしたいから、どうやって日本ツアーでやったものと差別化できるかどうかアイデアについて考えているよ。新曲が出るとかは無いと思うけど、今回のジャパンツアーとは違うセットになると思う。
このチャレンジや出演の機会があることに嬉しく思うし、7月に日本に戻ってきて、Ginger Rootの新しい世界を、みんなと一緒に見れることを楽しみにしてるよ。
INFORMATION
『Ginger Root(ジンジャールート) − 初ジャパンツアーとその舞台裏 | 特別インタビュー』
2023年7月25日 21:00より公開
POPZINEにて(元記事)
Ginger Root【Credits】
Location: Qrates(Shibuya, Japan)*
Chief Editor, Planniner & Photographer: Keisuke Sawa
English Interviewer, Japanese Translator, Writer & Editor: Sleepyhead
Photo Retoucher: Kotone Taira*本インタビューにあたり、ユーザーでもあるGinger Rootのため、レコード盤をシームレスにプレスできるオンラインサービス「Qrates」さんの、素敵なオフィスを特別にお貸し頂きました。世界中のアーティストやレーベルから高い支持を得ているサービスです。素敵な空間を提供いただき、ありがとうございます。
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