キヲク座セレクト『響きの中に入り込む』Joe Henry、Harold buddなど | 3月連載2/3

Rensai

文: Kou Ishimaru 

毎回セレクターがDIGった(=選んだ)楽曲をコメントと共に紹介する、毎週更新のプレイリスト連載企画。日本の童謡をリハーモナイズして演奏するユニット・キヲク座がセレクトしたプレイリスト『響きの中に入り込む』を今月3週に渡ってお届けします。

キヲク座が選ぶ『響きの中に入り込む』

Stepping Sideways / John Foxx,Harold budd

『アンビエント・ミュージック』の作曲家として著名なHarold budd(ハロルド・バッド)と初期のUltravox!(ウルトラヴォックス)のヴォーカリスト・John Foxx(ジョン・フォックス)の共作『Translucence+Drift Music』(2003年)から。目を瞑ってヘッドホンで大音量で聴くと、自分がピアノの中にいるのか、はたまた光の中にいるのか、錯覚してしまう。友人とアルバムを聴くと、皆がこう言う。「曲の変わり目、どこ?」と。その都度、僕は言う。「(響きに)耳を澄ませば、必ず分かります。」

It’s going wrong / Chocolate Genius Incorporated

「今を(明るく前向きに)生きよう」というスローガンや、その手の啓発がどうも苦手だ。といっても、自分はむしろ陽気な方だと自認しているし、周りも多分そう認識している。苦手なのは「社会」的にタテマエでも、皆そう生きるべきだ、という無言の圧力がそれと同様に、そこから外れた人は平気で無視する、「響き」(共感)の浅い現代社会を作っているのでは、と感じるからなのか。『Black Yankee Rock』(2005年)から。もっとこの曲や、歌詞を聴かなくては。自分ゴトとして。

Flag / Joe Henry

プロデューサー、シンガーソングライターとして圧倒的な存在感を示すJoe Henry(ジョー・ヘンリー)の9作目のアルバム『Tiny Voices』(2003年)より。全体的なサウンドは霞がかって、どこか退廃的で、くすんでさえいるような雰囲気なのに、トランペットやクラリネットの音色やフレーズを聴いたときの感動は言葉にはしがたいものがある。クラリネットのリードミスをあえて直さず、そのままにしているのも、同氏が「日々」の美しさを知っているからに違いない。


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キヲク座 Profile

2012年、日本の童謡をリハーモナイズして演奏するユニットとして結成。
2015年、” 自分たちの聞きたい作品を作る” ことを追求し、メンバーが尊敬しファンであった ジョン・マッケンタイアやジョージ・タンデロ、オノセイゲンらを制作に迎え「色あはせ」を 発表。菊地成孔、堤幸彦監督、空気公団らが大絶賛のコメントを寄せた。
2016年、「遊山」を制作。ライナーノーツを菊地成孔が執筆している。 2017年、六本木アートナイトにて「にゅーKEN-KEN-PA!」を企画・実演。
2018年2月、配信限定シングル「北風小僧の寒太郎」をリリース。世界遺産の富岡製糸場で ミュージックビデオを撮影。 4月、レコードストア・デイ限定商品としてLP「第一集」と7インチ「こきりこ節 / こきりこ節 dub verion」がリリースされた。
6月、配信限定シングル「ひらいたひらいた」をリリース。 2019年、NHK名曲アルバムで「まどみちおメドレー」を制作。

RELEASE INFORMATION

『春が来た』

2021年3月31日(水)
デジタル配信
キヲク座

童謡を再構築する音楽家集団「キヲク座」が、12ヶ月連続で毎月1曲季節の歌を配信する”Songs of KOYOMI”。

第一弾となる4月は「春が来た」。

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