幼い揺らぎを呼び醒ますティンペッツ

Review

文: DIGLE編集部  編:Kou Ishimaru 

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ!今回はティンペッツをご紹介します。

懐かしい揺らぎを描いて

「踊れて少し泣ける」を合言葉に、下北沢を拠点とする4人組バンド・ティンペッツ
この春配信スタートした『クリスマス』は、バンドの活動初期から演奏されてきた楽曲であり、あたたかいのに少し寂しい、ティンペッツの“らしさ”に溢れた1曲だ。

クリスマス、という言葉から真っ先に連想されるのは、きらびやかな街、イルミネーション、喜びに溢れた人々の顔。
しかし、この曲で呼び覚まされるのは、幼き頃ベッドの中で過ごした時間の記憶だ。
サンタさんという未知の存在にわくわくしながら、この1年間の答え合わせをするようなどきどき。自分はいい子でいられたかどうか、些細な不安を抱えながら毛布の下で目を開けている夜のこと。
年を重ねて忘れてしまったやわらかな気持ちを、丁寧に思い出させてくれる言葉と音が鳴る。
重なり合うトリプルギターは子供の想い、親の想いが交差する様子を描き出しているようであり、優しいアルペジオがそれを包み込んでいく。
とてもあたたかいのに、どこか寂しい。そっと身を委ねながら、涙が出てしまいそうになる。

中学からの同級生と、「まんをじして強いバンドたちを倒せるような力がついたらバンドを組もう」という約束を果たすべく、2017年9月に結成されたティンペッツ。
童心を忘れない彼らだからこそ触れられる揺らぎに満ちた『クリスマス』、まだ来ない冬を思いながら聞いて欲しい。

ティンペッツ

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