おとぎ話が見つめる無垢

Review

文: DIGLE編集部  編:Kou Ishimaru 

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はおとぎ話をご紹介します。

美しさを探し求めて

「美」とは、とても普遍的で、とても複雑な概念である。衣食住のような必要不可欠なもの、ではない筈なのに、私たちはいつの時代もそれを追い求め、同時にその概念も変化し、終わらない探求を続けている。

2000年12月に結成、「日本人による不思議でポップなロックンロール」を鳴らし続ける4人組バンド・おとぎ話。12枚目となるニューアルバム『HELL』からの先行配信シングルとしてリリースされた楽曲『美』は、まさに「美しさ」をまっすぐに見つめる1曲となっている。

おとぎ話らしさが滲む青くキャッチーなメロディを通して描かれていくのは、メルヘンで、極端さがあり、矛盾を内包した心情だ。
〈君の涙の理由を突き止めてあげるから 最初で最後の世界征服でもしようね〉
甘さと危うさを同時に醸し出す、軽やかに飛躍した言葉選びには、子供が語る夢のような純粋さがある。常識や道理、正しさと定義される何かよりも、心が望むまま、身勝手なほどの愛おしさをぶつける歌に無垢が宿る。
どこまでも突き抜けるピュアさ、それがおとぎ話が鳴らす変わらない『美』なのだろう。

おとぎ話

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