情感豊かな音を紡ぐ中村鼓歌

Review
BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回は中村鼓歌をご紹介します。

歌や言葉がなくても伝わるものを

2024年より本格的なリリースをスタートしたビートメイカーである中村鼓歌。初のEP『Foul Water』は、音から伝わる情感をたっぷり堪能できる作品だ。

「Night」、「S!ck」、「Those Days」、「Spring」、「Virtue」の全5曲からなるこのEP。ピアノを基軸として移り変わる感情を描き出す、という一貫性を持ちながら、楽曲ごとに異なるムードで各タイトルを想起させるストーリー性にも富んだ作品になっている。
ゆるやかに繰り返されるフレーズがリラックスした空気を演出するLofiチューン「Night」で幕を開けたところから、一転、シリアスでクリアな音像が印象的な「S!ck」、感傷的なメロディとアレンジが際立つ「Those Days」……といったように、一聴してすぐに楽曲世界の雰囲気およびEP全体を通して縁取られるストーリーに没入できる作りが光る1枚だ。

感情へのフォーカスをじっくり感じられる音作りは、普段インストゥルメンタルにあまり耳馴染みのないリスナーにも聞きやすいものであるはずだ。
寝る前のリラックスタイムに、そっと絵本を開くように。そんな風に出会って欲しい作品である。

中村鼓歌

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