YouTubeの次なる狙い。ヒットを生むための今後の施策とは|音楽×YouTube特集

YouTube×音楽特集

文: 久野麻衣  写:Yuya Eto 

今や音楽を楽しむ上で欠かせないサービスであるYouTube。昨年末には音楽のためのストリーミングサービスとしてYouTube Musicをリリースし、ますます音楽シーンでの存在感を強めている。そこでYouTube×音楽特集の第一弾としてYouTube Musicの状況や今後のYouTubeの取り組みについて、グーグル合同会社 日本音楽ビジネス開発統括 鬼頭武也さんにお話を伺いました。

ローンチから半年、現在の状況は?

ー昨年11月のYouTube Musicリリースから半年ほど経ちましたが、現在の利用状況や認知度についてはどのように実感していますか?

ローンチ前はどれくらいの方にご利用いただけるかドキドキしていましたが、蓋を開けてみれば日本のユーザーはYouTube Musicが来るのを待っていてくださったのだなと実感してます。また、有料プランのYouTube Music Premiumへの加入ペースも我々の想定以上に伸びています。

ー特にターゲットとしていたのは若年層かと思いますが、そこへはリーチできたのでしょうか?

弊社では以前からGoogle Play Musicというサービスも提供し、こちらは年齢層が高く、イメージでいうと30代後半が中心でした。ですから、月額制のサービスはユーザーが金銭的に余裕がないと利用者は増えないのではないかという懸念もありましたが、 YouTube Musicにご加入いただくお客様はYouTubeの音楽視聴者層とすごく似ています。 YouTube Musicのほうが年齢層が低いお客様にご利用いただいていますので、2つのサービ スでわかりやすくユーザー層の違いがでてきたなと。

ー実際、未成年の方は支払などハードルが高いのかなと思うのですが…。

お支払いの方法としては、携帯電話のキャリアから支払う方法もあるので、通常のスマートフォン契約を しているユーザーであればご利用頂けます。また、4月3日より学割プランの提供を開始したので、 通常価格より安くご利用いただける環境となっています。

YouTube Musicの使い方:学割プランについて

ーなるほど。アーティストを使った広告もそういった層へのリーチを考えてのことだったのでしょうか?これまでONE OK ROCKとSuchmosを起用されていましたよね。

ローンチのタイミングではONE OK ROCKさん、4月はSuchmosさんにご一緒させていただきました。我々にとって、この2組のプロモーションは考え方が全然異なります。

ローンチのタイミングにONE OK ROCKさんとご一緒させていただいたのは、YouTube Musicを利用する生活シーンをアーティストの魅力と合わせて伝えることが目的でした。

一方でSuchmosさんとの企画は、YouTube Musicチームとしてアーティストの作品をプロモーショ ンするための企画で、「YouTube Musicを使ってください」というサービスのプロモーションがメインではないです。

つまり、「Suchmosの新しいアルバムがでます、YouTube Musicでも聴けます」と言うことなのですが、メインはあくまでアーティストの作品に置いています。サービスのプロモーションとアーティストの作品のプロモーションという、両方のバランスをうまくとっていく形でこれからもやっていきたいと思っています。

ーこれまでそういったアーティストや作品に絞ったプロモーションは日本では行なっていなかったですよね?

これまでとは考え方も目的も違うプロモーションになっていますね。大きな意味合いとしてはYouTube Musicをリリースしたので、これからより音楽に対してコミットをしていこうという意思表示です。アーティストやその作品に投資をしていくような、今までやったことのなかったマーケティング活動を行うようになったのは、すごく大きな変化ではないかと思っています。

ーアーティストを支えていくことが大切だと。

はい、シンプルに次のヒットを生み出していくというのは、我々にとっても大きなミッションですので。

ーそこには市場の盛り上がりも重要になってきますよね。実際、日本の利用状況は海外と比較してどうですか?

まだローンチして半年なので初動の感触でしかないのですが、数値で見ていっても日本のユーザーは熱量が高いです。

ー“ヘビーユーザー”ということですか?

利用動向やサービスの継続率などを見ています。特定の国との比較というより、総論でみて いくと、日本の利用者はサブスクリプションのフリートライアルから有料への転換率が高い傾向があります。非常にありがたいことに、サービス自体がユーザーに満足いただいていて、これなくして生活は考えられないという方もいらっしゃるのではないかと思っています。

加入しても“違うな”と感じたらユーザーはすぐ抜けてしまいますが、YouTube Musicではそういったことはあまり起きていません。このように相対的に満足していただいていると数値からもでているので、他国と比較しても日本のユーザーは1個頭ぬけてサービスに対するロイヤリティが高いのだと感じています。

ーユーザーはYouTube Musicのどういった点に満足していると感じていますか?

数値を見ていると日本はオフライン再生の利用が高いです。日本における音楽サービスは通勤・通学の時間に使っていただくことが多いのですが、毎日通信するとなると、通信料がかかってしまいます。だからここにすごくわかりやすいソリューションとしてオフライン再生機能がしっかりはまったのではないかと。これなくして毎日の通学・通勤はありえないということが起きているのではないでしょうか。

ーパケット通信量は若い世代には大きな問題ですからね。では、ストリーミングサービスとしてYouTube Musicは後発のサービスですが、今後のユーザー獲得についてはどうお考えですか?

後発ですが、他サービスからのユーザー獲得というより、YouTubeでないと獲得できないユーザー層を狙っていきたいです。レコード協会から毎年発表されるストリーミングの売上数値はここ2年間、昨対比30%増くらいでしっかり伸びてきているので、我々の頑張りにより、来年度は昨対比40%、50%という数値をつくっていけたらと思っています。

ーYouTube Musicでしか開拓できない層とは?

デモグラフィーで層を語るというより、1番の特徴としては多くの方に利用いただいているYouTubeの上にYouTube Musicというサービスが直結している部分が非常に大きいと思っています。

音楽に関するユーザの調査をみると、「何を使いますか?」というのに対し多くの方が「まずYouTubeを見にいく」とお答えいただいています。ユーザーから1番音楽と近い接点にYouTubeがあるので、その“2階”としてYouTube Musicというのがワンストップで繋がっている。

シンプルなパスが築けているのが我々の強みであり、だからこそカジュアルにYouTubeにやってきたユーザーが音楽を好きになって、そのまま音楽ファンになり、Premiumへ加入という線が描けていることが1番のポイントなんじゃないかなと思います。

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久野麻衣

DIGLE MAGAZINE 副編集長

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Yuya Eto

DIGLE MAGAZINE編集長。フェスとフクロウが好き。

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