YouTube発の表現者・みのが語る音楽との関係【前編】|音楽×YouTube特集

YouTube×音楽特集

文: 久野麻衣  写:後藤倫人 

YouTube上で音楽を中心とした動画を展開し、さらにはアーティストとしても活躍の場を広げるみの。前編ではそんな彼の音楽面にスポットを当て、ルーツや現在の音楽活動について話を聞いた。

音楽フェスへの出演やアーティストとのコラボレーションなどYouTuberの音楽シーンへの進出はどんどんと広がっている。その中でも異彩を放つのがみのだ。

カリスマブラザーズ(通称:カリブラ)のメンバーとして注目を集め、解散後はYouTubeチャンネル「みのミュージック」をスタート。現在はチャンネル登録数21万人を超えており、様々な動画をアップしている。

また音楽活動としてはミノタウロスというソロプロジェクトを展開。ギターボーカルとして作詞・作曲も手がけている楽曲は本格的なロックサウンドとなっており、他のYouTuberとは一線を画すものだ。日々の動画や音源からもひしひしと伝わってくる音楽への造詣の深さと愛情は、今後YouTubeという枠を超えてたくさんの音楽ファンから支持される存在になっていくのではないかと期待させてくれる。

そんなYouTube発のクリエイターとして大きな可能性を感じさせる彼に話を聞いた。前編ではみのの音楽ルーツやソロプロジェクトでの表現について掘り下げていく。

ロックに根ざしたみののルーツ

ーみのさんの音楽のルーツについては動画でも紹介されていますよね。中学でThe Beatlesにはまったとのことですが、それ以前の音楽の記憶ってありますか?お家で両親が聴いていたとか。

音楽が好きな家系で、父方の祖父母やその上の代までミュージシャンなんです。親父はプロではないけどギターを弾いていて、赤ちゃんの頃のアルバムを見るとギターを持たされている写真が出てくるので音楽は身近ではあったと思います。車の中ではThe BeatlesBobby McFerrinがかかっていましたね。

ー日本の音楽は聴いていませんでしたか?

母親はglobeが好きでベスト盤を1枚持っていたくらいですね。なので家にあったThe Beatlesの赤盤と青盤とglobeのベストを並べて聴いてみたんです。globeはそんなにピンとこなかったんですけど、The Beatlesの赤盤はけっこうガツンときて。

ーThe Beatlesにはまったポイントってどこだったんでしょう?

言葉でここがよかったとかいうのはちょっと説明できないくらいの感覚です。稲妻が走ったような衝撃で、人生のっとられちゃったみたいに聴きだしてからはそのことしか考えられなくなっていましたね。

ーその後は友達から教えてもらったことをきっかけにブルースにはまったということですが、これもまた説明できない良さがあったということでしょうか?

そうなんですよね。マーティン・スコセッシ監督のブルースのドキュメンタリーがあって、友達が「最近ロックバカになってきてるからこれ聴け」ってそのEric Clapton編のCDを貸してくれて。それの1曲目がJohn Mayall&the Bluesbreakersにいた時のEric Claptonで、ギターの音が流れた瞬間にまたずばっときて。聴いたことのない宇宙的な音だと思ったんです。

ーその当時はギターは弾いていたんですか?

そのときは弾いてないですね。聴く専門でした。

ー最初に始めたのはドラムだったんですよね?

当時はお金もなかったのでバチだけ買ってきて、ダンボールを集めてドラムキットを作って叩いてました。特に勉強したわけでもなかったので、バスドラムの存在も知らなかったくらいです。音源を流しながらそれに合わせて叩いてたんですけど、“自分も熱狂の一員になりたい”というのが一番の感覚だったんだと思います。その後、物足りなくなってきてギターをやることにしました。

ー次にギターをチョイスしたのはなぜだったのでしょう?

中学1年が考えていた事として若干気持ち悪いかもしれないんですけど、楽器を選択する前に“バンドを組んで自分の歌をやりたい”っていう思いが前提にあったんです。なので、何が1番自分の楽曲を表現しやすくて、バンドをコントロールしやすいかって考えた時に“ドラムとピンボーカルは領域が限られてくるけど、ギタリストは歌も作曲もやってることが多いぞ…”って分析して。ギターだったらバンド内でも発言力が大きいんじゃないかという打算がありました(笑)。

ー最初からオリジナルのバンドを組む設定だったんですね。

ギターを持つ前から“ロックスターになりたい”っていう巨大な野望を抱いていて、それしか興味がなくなっちゃって。自分の創作物やアートが人を喜ばせて、影響を与えるような存在になりたいと思ったんです。

ー音楽以外にも小さいころから表現することが好きだったんですか?

絵本を描いたり、常に色々作っている子供でしたね。そいう自分の表現を“ロック”っていうもっと大きいスケールでやってる人がいることを知って目覚めたんだと思います。

ーロックにのめり込んでいた時は当時流行っていた音楽は一緒に聴いたりしなかったんですか?

そうですね、当時のものは一切聴きませんでした。The Beatlesから始まってElvis PresleyChuck Berryを聴いて、ブリティッシュ・インヴェイジョン時代やアメリカのサイケデリック・ロックも聴いて、次はLed Zeppelinって感じでロックの時代を追って聴いていって、最終的に中学3年の頃にNirvanaまで行ったんですけど、この先の音楽はよくわからなくて追わなくなっちゃったんですよね。

ーなぜそこで止まってしまったのでしょう?

それ以降のメインストリームはヒップホップの要素も入ってくるから、そこを通ってないとダメだったのかもしれませんね。Beckとかサンプリングの要素が入ってくるから。自分の経験値的なところで一旦壁にぶち当たったんですよ。

ーそれ以降のインディやオルタナもあまり?

あまり聴かなかったですね。インディ、オルタナとかはもう少し大人になってからです。

ーでは、ポップスはどうですか?

最初は聴けなかったんですよ。Elton Johnもチャラいと思って聴けなかったし、Carole Kingもダサいって思ってて…。今は超好きなんですけどね。

ー今はポップなものも聴けるようになったんですね。

全然聴けます。Bee Geesとかで全然トランスできますね。その当時はブルース原理主義みたいなところがあったんだと思います。

ーロックの系譜をきちんと辿って聴いていったからですかね。

思想が先にあって感性が後ではないんですよ。どちらかというと、自然と自分がブルースを選んでいたというか。ギターを持った時も半年後くらいにクォーターチョーキングで弾いていて、ギターを持つと自然とブルースになるみたいな。何故かはよくわからないんですけど、自分の根底にあるんだと思います。

ーでは、今は新しい音楽を聴いたりしますか?

現代の音楽も聴いてますよ。常に流行ってるものを追いかけてるわけではないですけどね。あくまで自分のロックっていう主軸がある中での関係性として聴いています。保守的なこと言ってますけど。

ー最近のお気に入りは?

最近はThe  Lemon Twigsとか好きですし、Tame Impalaの新作もすごく楽しみにしています。ただ、TemplesとかGreta Van Fleetとかはそんなに聴かなくて。だったらSyd Barrett聴くわみたいな(笑)。棘のあることいってますけど(笑)。

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久野麻衣

DIGLE MAGAZINE 副編集長

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