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文: 黒田隆太朗 写:木村篤史
「Floating Forever」のストーリーを表している、気球に乗って月へと向かうジャケットには、THE CHARM PARK自身の祈りが込められているように思う。夢見た場所へ、明るい方へ、暗い夜空をすり抜け進んでいく。「いつ辿り着くのかも分からないし、不安なところもいろいろあるけど、永遠に漂って月へと向かって行きたい」というのが本人の弁だ。彼はそうやって願いを込めるように、音楽を作っていくのだろう。
2月にアルバムをリリースしたTHE CHARM PARKが、8ヶ月のスパンで今年2作目のアルバムを発表した。前作『Bedroom Revelations』が、室内でひとりつま弾いているようなガットギターの音色を貴重としたアルバムであるのに対し、『Floating Forever』はそうした情景を継承しつつも、窓を開け放して光を浴びているような開放感を思わせる作品である。心穏やかな質感を残しながら、彼らしい華やかでカラフルな作風に仕上がっていると言えるだろう。
“Floating Forever(永遠に漂う)”というタイトルは、今作を表現するテーマであると同時に、彼の人生を表したものでもあるという。作品タイトルに込めた想いや、“懐かしいのに新しい”というキーワードなど、新作にまつわる話をたっぷりと語ってもらった。
ー今年2枚目のアルバムリリースと聞いた時には、そのペースに驚きました。
2月に『Bedroom Revelations』をリリースした段階からできていた曲もありますし、去年アルバムを出せてなかったので。『Bedroom Revelations』が2020年のアルバムで、『Floating Forever』が今年のアルバムと考えると、結構普通かなと思います。
ーなるほど。『Bedroom Revelations』は時世の空気を反映したような、暖かく穏やかなガットギターの音が印象的でした。『Floating Forever』は開けた音色になっていると思いますが、ご自身ではどう感じていますか?
確かに音楽の幅やジャンル的には、前作より多少賑やかになったところもありますね。でも、実際には『Floating Forever』の方がひとりで作業したアルバムではあるんですよ。今回のアルバムはほとんど自分の演奏だけで作っているので、このご時世に合うアルバムという意味では、こっちの方がしっくりきているところもあります。
ーサウンドに関しては?
“懐かしいのに新しい”というイメージが、今回のアルバムにはありました。タイトルにもなっている“永遠に漂う”というのが今作のテーマなんですけど、新しいものと懐かしいのが漂っている感じがしていて、今回はそういう要素がいっぱい入っている作品になった気がします。
ー“永遠に漂う”というのはどういうイメージを言葉にしたものですか。
Floatingには“漂う”や“浮いている”という意味がありますが、僕のイメージでは、むしろちょっと飛んでるっていう感覚があるんですよね。でも、FlyingよりFloatingがしっくりくるのは、自分の意思とは別に浮かんでいるイメージがあるからです。全ては自分の思い通りにはいかない、鳥のように飛びたいけどそれはできない。けれども飛んでいるっていう感じがあって、それは今までの人生もそうだったし、これからの人生もきっとそうなのかなって。そういう意味を込めたアルバムです。
ーなるほど。
まあ、ひとりで考える時間がいっぱいあったせいなのか、余計なことも沢山考えてしまったんですけど…僕が考えた一番大きいテーマは、“この人生には運命があって、僕たちが何をしようと全てが決まってしまっているのか”、それとも、逆に“全てが偶然で、何かが起こるのは奇跡なのか”ってことでした。両方の考え方があると思うんですけど、今の自分は後者を信じたいと思っています。
ー全ては偶然でできていると。
偶然である方が素敵だと思います。偶然だからこそ自分のチョイスや頑張り次第で何かが得られる。そういう人生だったらいいな、奇跡が多い人生だったらいいなって感じですね。
ーそれが今回の制作では、言葉や音に反映されている。
そうだと思います。それを願いながら、望みながら作っていたのかなと。
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