文: 石角友香 編:Kou Ishimaru
福岡出身で現在も福岡のライブハウスを拠点に活動する、ともに2003年生まれのオノリリサ(Vo. / Rap)と松藤十萌(Vo.)からなるユニット・VIBI。オノは個人でも楽曲をSoundCloudにアップしていたようで、おのおの音楽を作っていた2人が、VIBIとしての活動をスタートしたのはInstagramの初投稿から推測すると2023年9月。2025年1月23日に1stシングル「雑に畳んで」をリリースしている。どんなバックボーンを持っているのか、詳細なプロフィールを示していないのは敢えてなのか、あくまでも音楽、楽曲でVIBIに出会ってほしいからなのかはわからないが、彼女たちの創作のビビッドな部分に触れられる一つの窓口として、YouTubeにアップされている2本の演奏動画『VIBIの休日【Acoustic session】』がある。チルなヒップホップやボサノヴァ・テイストの曲想、柔らかなボーカルと小気味いいラップなどから、個人的にはNorah Jones(ノラ・ジョーンズ)やiriなど、ジャンルは特定できないが固有のセンスを持つアーティストと共通点を見出した。また、部屋や公園で歌う2人の自然体の姿も印象的。歌い、音を紡ぐことを最大限に楽しんでいる姿に心が温かくなる。
メロディや言葉、コードやアルペジオを生み出し、2人で息を合わせることの美しさを感じられるそれらの動画では、1stシングルになった「雑に畳んで」のほか、オーガニックなR&Bナンバーの「海」や、別の道を行くことになった恋人なのだろうか?同じ空の下にいる遠くの誰かを思いやる歌詞が沁みる「手紙」といった曲が演奏されている。その中に今回2ndシングルとしてリリースする「世界は愛なんだ」のアコースティック・バージョンも含まれている。1stシングル「雑に畳んで」は、エレピの響きがムーディなジャジーヒップホップ。福岡の音楽プロデューサーでネオフォークバンド・じぐざぐづのメンバーでもあるCHOYO(Key. /Gt. )や、the perfect meの末廣悠弥(Gt.)、元meowの大晟(Dr.)、xanadooのS0.(Ba.)が演奏サポートを担当。5月には同メンバーでワンマンライブも行っている。
新曲の「世界は愛なんだ」はこれまでの楽曲から一転、歌い出しから1番は全編アコギのみで、しかも環境音も入った“近い”感覚に驚かされる。遠い世界の悲劇も悩みを抱える友だちも、自分とはまったく同じではないにしても無視できない、そんな主人公の心情が、松藤のメインメロディとオクターブ下のオノのユニゾンでより伝わるものになっている。2番でバンドがインするとネオソウルのニュアンスが生まれ、同時にふくよかな声と楽器のレイヤーが、1番と同じ《世界は愛なんだって伝えるわ、どうか泣いていないで》というフレーズをグッと飛翔させ、遠くに届ける気持ちの熱さを表現する。通り一遍のきれいなコーラスワークではなく、祈りが込められたボーカルアレンジはこの曲のキモだろう。情報は少ないけれどこの曲があればVIBIの心に触れられる。それで十分だ。
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