アイデンティティと実験の電子音楽/ヒップホップ…etc|Sharp Playlist #4 by ritsuko

Playlist

文: DIGLE編集部  編:TUDA 

DJ、アーティスト、ライターによる新譜/再発オンリーのプレイリスト『Sharp Playlist』。選曲者のカラーがみえるプレイリストだけでなく、注目のレーベル、digの方法を知ることができるQ&Aも掲載。今回はライター、音楽家、芸術家とあらゆる側面を持つritsukoによるセレクトをお届けする。

DJ、アーティスト、ライターが新譜のなかから20曲をセレクトしたプレイリストを不定期で更新する『Sharp Playlist』。第四回のセレクターは、ストリートカルチャーマガジン『DAWN』でハイパーポップ特集を手がけたライターであり、以前電子音楽ユニットPrius Missileのメンバーとして活動していた音楽家で、芸術家の側面も持つritsuko。

プレイリストには、コンセプチュアルなエクスペリメンタルミュージック作品をリリースするKlein、Jimmy Edgarxや、先駆的なゲームのサウンドトラック、さらには〈Nyege Nyege〉から新作をリリースしたコンゴはキンシャサのスラム街にて生まれたバンドLady Aicha & Pisko Crane、アメリカ南部ギャングスタ・ラップに影響源を持つ国内のラッパーDSXTXなどをセレクト。それぞれ直接的な結びつきは見えづらくとも、ストリートやアイデンティティに根付いたエナジーや、実験性が浮かび上がるような内容になっている。

Sharp Playlist by ritsuko

Q&A

ここ数ヶ月よく聴いている3曲

注目しているレーベルについて

 最近ではクラブシーンに美術家が参入するケースも散見されますが、先行して同様の活動をしてる〈PAN〉や〈Halcyon Veil〉、アジア圏でいえば〈SVBKVLT〉や〈CHINABOT〉はある種“元ネタ”的に改めて注目する意義があるように思います。

 いっぽう、プレイリストにも入れさせていただいたRamza氏の作品は舞台音楽として制作されたものであり、これまでの活動やインタビューを参照すると、特に流行と関係なく音楽と多ジャンルの芸術が密接な活動をされていることが伺えます。

 そのため、同氏周辺の名古屋のヒップホップのレーベルや、〈BLACK SMOKER RECORDS〉のように、流行と関係なく「音楽と美術」が共存しているコミュニティも改めて要チェックだと感じます。作品もいわゆる「実験的」と形容されるスタイルの作品が多く、シンプルにカッケーのでオススメです。

自分なりの音楽の探し方

 しいて言えば、というニュアンスで恐縮ですが、普段はゲームライターのバイトをしているため、ゲームのサウンドトラックをチェックするようにしています。個人開発の作品をはじめ、ゲームの内容のみならずサウンドトラックもソリッドな作品が増えている印象です。

 今回のプレイリストに収録している「My Time OMORI Ver. (Kikuo cover)」はホラーRPGゲーム『OMORI』のトレーラー向けに制作された楽曲のリミックス作品。原曲を手掛けるbo enはNetflixがリリースするゲーム『ポインピー』のサウンドトラックも別名義“Calm Bowen”として手掛けています。

 このほかに具体的な作品を挙げるなら、Machine Girlがサウンドトラックを手掛ける『Neon White』や、終末目前の危機に瀕した世界で配達員であり写真家として撮影するゲーム『ウムランギ ジェネレーション』、H・Rギーガーの影響を受けたピーキーなホラーアドベンチャーゲーム『Scorn』などがサントラと共にオススメの作品です。

 また、自分はバチバチの音楽ライターではないため、ジャンルに強いバチバチに情報をチェックしてるブロガーやライターの方が手掛けた記事やSNSを参考にします。

 今回のプレイリストで言えば、G愛好家として知られるアボかど氏が共有されていたプレイリストから、HAZEYのバイレファンキを取り入れたUKドリルを収録させて頂きました。地下アイドルとゲームのライターであるタナカハルカ氏のオススメから、situasionによるSophieのサンプルパックを多用し、パロディーとして再文脈化する地下アイドル楽曲、ハイパーポップ以降のスタイルを携えたサイバーグラインドを手掛けるCocojoeyをプレリストに入れさせて貰いました。

 手軽にできるSNSでの情報収集に関しては、中高生のころから拝見させていただいているYYK氏の投稿のほか、好きなアーティストの「いいね欄」などから作品を知ることもしばしば。好きな作品のバックグラウンドや周辺情報、ルーツを知ることで獲得できる“聴き方”は、シンプルに楽しめる作品を増やしてくれる魅力を感じています。

 現状「このジャンルが最もシーンの最先端である」という雰囲気は収まってきている印象を感じることもあり、たまには丁寧に後ろを振り返るとフレッシュな発見があるかもしれません。

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