Somが描き出す心象風景

Review

文: DIGLE編集部  編:Kou Ishimaru 

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はSomをご紹介します。

暮らしの景色と重ねて

ソウル出身大阪育ち、日韓にルーツを持つシンガーソングライター/コンポーザーのSom(ソム)。2017年にDTMで楽曲制作を開始して以来、ソロ・客演あわせ積極的な活動及びリリースを重ねている。

最新作『窓』は、アレンジにギタリスト/トラックメイカーのBIOTOP、ベースにHirotoを迎え制作された一曲だ。
“窓”というモチーフに、過去と現在という時の流れと内省的な心象風景を重ねたこの楽曲。そっとリフレインするギターのフレーズは、心に留め置きたい思い出を繰り返しなぞる様子を音で描き出しているようだ。Somの魅力であるアンニュイなハスキーボイスは、戻らない幸せを思うセンチメンタルと、薄まりゆく記憶を抱きしめる甘さの両方を淡く滲ませる。

数メートルしか変わらない同じ世界だとは分かっていても、一枚の窓を隔てた途端、それは別の世界のように見えることがある。日常に存在する風景と、人間がそれぞれに隠し持つ揺らぎがリンクする瞬間を美しく切り取る鋭さにSomらしさが感じられる。
これからも、柔らかくもエッジーな視線で暮らしを見つめ、歌として表現するSomの作品を楽しみに待ちたいと思う。

Som

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