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文: 峯 大貴
ANTENNAでは今まで各地のインディペンデントアーティストやローカルシーンの胎動をいち早く察知し、インタビューやレビュー、ライブレポートなどの記事を通してフックアップしてきた。ちょうど今年はWebメディアとしての活動10周年を迎える中、新たに取り組んでいるシリーズライブイベントがこの<Fight Club>である。
すでにVol.1は2024年6月22日(土)にANTENNAのホームグラウンドである京都で開催。livehouse nanoを会場として、コロブチカ、音楽かいと、Akane Streaking Crowd、あの街の水色というこれからの京都ライブハウスシーンの主軸を担うであろう、25歳以下のアーティスト4組が出演。ソールドアウトの成功を収めることができた。
それを受けてVol.2は東京に舞台を移し、下北沢THREEとの共催で開催する。関東在住のANTENNA編集部メンバーとTHREEのブッキング担当が、「これからの東京のライブハウスシーンを担う、関東拠点、結成5年未満のバンド」をテーマに、今一番読者や観客と共有したいアーティストを選定した。本稿では、出演するエレガンスハイツポピー、Fine,Great、MANGA HOUSE、ニソクサンモンの出演する4組を紹介させてもらいたい。
2019年に山梨県で結成。現在は都内を中心に活動する3ピースバンド。ブリットポップの影響がうかがえるスケールのでかいメロディを持った楽曲揃いで、次第に観客を巻き込みシンガロングさせてしまう、ロックスターとしての風格をすでにまとっている。またギターをジャングリーにかき鳴らし、気怠そうに歌うサトウ(Gt. / Vo.)は色気たっぷり。特筆すべきは1stアルバム『The ground』に収録されている「Morning Glory Cloud」で、そのタイトルにもニヤリとしてしまうが、Oasis(オアシス)さながらのスタジアムロックなのだ。
今年発表されたシングル「Stay With Me」、「Life is」ではそこからも飛躍し、kosukeによるベースが躍動するほぼリード楽器としての存在感を示すようになった。その点では2000年代半ば、日向秀和が加入した直後のストレイテナーのような上昇気流を彼らに重ねることもできるだろう。
2022年5月結成、3ピースオルタナティブロックバンド。パワーポップやエモ、メロコアを感じるサウンドと、ゴキゲンかつ互いに激しくぶつかり合い火花が放電するようなライブパフォーマンスには、思わず心が猛ってくる。4組の中では最も文字通りの<Fight Club>を体現しているバンドだ。
また彼らがただモノではないのが、そんな前のめりでアッパーなサウンドを展開しながらも、BPMや展開が目まぐるしく変わり続ける構成力にある。1曲に4~5曲分のアイデアが詰め込まれているような入口と出口がまるで違う、なのにテンションは常に高止まりしている聴き心地がフレッシュ!
6月にリリースされた「I’m fine.I’m great.」はまさにその極北。バンド名を冠したフラッグシップソングでありながら、6分にも渡る彼らなりのロックオペラといえる仕上がりだ。
2021年に仲田(Gt. / Vo.)、菊地(Ba. / Cho.)による二人組宅録ユニットとして活動を開始。現在はバンドに移行し、4人編成で活動している。この変遷は近年で言えばグソクムズを思い出すが、彼らもフォーキーな色合いを持ったサウンドと、確かな歌心を感じられる楽曲が持ち味だ。仲田のやさぐれ吐き捨てるような声や、ノスタルジックなコーラスワークと相まって独特の渇きを放っている。
新体制となり、現在は3ヶ月連続で配信シングルをリリース中。すでに発表されている第1弾「ライター」はスライドギターのフレーズが感傷的に響いてくる、スケールの大きなロック。開催当日までにはさらなる新曲がドロップされているだろう。そちらにも期待したいが、筆者のフェイバリットは「ニール・ヤング聴いてた」。個人的には斉藤和義「僕の見たビートルズはTVの中」にも通じる、現状への諦念を達観した視点で描いた見事なソングライティングだ。
2020年に結成、2022年から東京周辺でライブ活動を開始した「水道橋のバンド」。下北沢や吉祥寺ではなく水道橋……?という点が気になり、今年リリースされた初音源『4泊5日』を聴いて驚いた。つぶやくようなゆるく愛らしい歌声、ずっとめんどくさそうにしている歌詞、音数をとことんそぎ落とした一発録りによるタイトなアンサンブル、いろいろと要素をあげることはできるのだが、そこに収まらない不定形の魅力に溢れている。
本作収録時は3ピースだったが、<Fight Club>当日は現体制であるギター&ボーカルとドラムの2ピースでの出演となる。とにかくまずは先月公開された「浮き輪」のMVを見てほしい。肩の力が抜けたワウギターから始まる飄々としたサイケチューン。不思議なタッチのアニメも相まって、不穏でメロウでいまだ謎多きニソクサンモンの世界観に没入することができる。
サウンドのアプローチはまるで違えど、奇しくも胸を鷲掴みにされてしまうキャッチーな歌を主体としているバンドが揃った。ぜひとも新たな東京のライブハウスシーンが生まれる瞬間に私たちと一緒に立ち会ってほしい。来場者にはVol.1でも好評だった各演者を紹介するリーフレットを配布予定。本稿を読んで、会場でこのリーフレットを眺めてもらえれば、今までまったく知らなかったバンドも楽しんでもらえることを確信している。9月1日(日)は下北沢THREEでお待ちしております!
Fight Club Vol.2 東日本編
2024年9月1日(日)open 18:00 / start 18:30
at 東京・shimokitazawa THREE
出演:エレガンスハイツポピー / Fine,Great / MANGA HOUSE / ニソクサンモン
料金:前売り ¥2,500 / 当日 ¥3,000(+1ドリンク代別途)外部リンク
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DIGLE編集部
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