The Moment I Decideによるポストハードコアとアジアンテイストの融合。世界を見据えるバンドが地元・三重に抱く想い|early Reflection

Interview

文: 神保未来  写:Junichi Masuda 

ポニーキャニオンとDIGLE MAGAZINEが新世代アーティストを発掘・サポートするプロジェクト『early Reflection』。2024年11月度ピックアップアーティストとして、The Moment I Decideが登場。

ポストハードコアやエモを基軸とし、そこにダンスミュージックやヒップホップなど多彩な要素を融合するロックバンドThe Moment I Decide(通称・TMID)。三重を拠点とした東海エリアで活動する彼らは、地元に根付いた活動を行ないながら、「Ruten」のMVがYouTubeで1万回再生を突破するなど国内外にファンを拡大しつつある。

TMIDの魅力のひとつに、重厚なアンサンブルの中で突き抜けるFranz(Vo.)の歌声がある。フィリピンで生まれ、幼少期から歌が好きだったというFranzは、8歳の頃に来日し、J-POPの歌メロの心地よさに魅せられた。そんなFranzが心惹かれたのが、コンポーザーであるHidetaro(Gt.)が紡ぐメロディと歌詞だ。広大なスケールのサウンドに、日本語を織り交ぜた歌詞を乗せるなどアジアのエッセンスを織り込むHidetaroのソングライティングは、バンドの要となっている。そして、強力な歌と美しいメロディを存分に活かしながらアグレッシブなプレイで存在感を発揮するのが、G.G. Shogo(Gt.)だ。

メンバー自身も“アジアンテイストmeetsポストハードコア”や“オルタナティブ・エモ”などさまざまな言葉で形容しているように、TMIDの音楽性は一言で表現しがたい。最新作「Kaze」は、そんなバンドの個性と底しれないポテンシャルが表れている。

今回はバンドのコアメンバーであるHidetaro、G.G. Shogo、Franzの3人にオンラインインタビューを実施。メンバーの出会いやそれぞれのルーツ、そして「Kaze」について話を聞いた。

歌が溢れる国・フィリピンの風景やメンバーの出会い――バンド結成に至るまで

ーまずバンド結成の経緯について伺います。みなさんの出会いは高校時代だとか。

インタビュイー画像

G.G. Shogo(Gt.):

そうですね。まず僕がHidetaroがやっていたバンドに「サポートで入らせてください」ってDMして、それがTMIDの前身バンドでした。当時、同世代でオリジナル曲をやってる人はなかなかいなかったし、聴いてみたら曲もちゃんとカッコよくて。僕とFranzは同じ高校だったんですけど、僕が入ったあとにFranzを誘いました。
インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

もともとFranzはベースとして入ったんですけど、スタジオでパートチェンジして遊んでたら「コイツ歌えるぞ」ってなって「Franzがボーカルをやるバンドをやってみたいな」と思ったんです。それでThe Moment I Decideが始まりました。
インタビュイー画像

Franz(Vo.):

高校の音楽部でギターをやってたので、ベースとしてならバンドに入れそうだなって思ったんですけど…全然センスなくて(笑)。
インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

全然ベースが弾けてなくて、ボーカルでよかったなって今は思いますよ(笑)。

ーお互いのどういった点に惹かれて、一緒にバンドをやろうと思ったのでしょうか?

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

Franzは、スキルうんぬんよりも一発で聴いてびっくりするような歌声で。それは生まれ持ってるものだなと思いますし、強く惹かれました。Shogoも、最初(Franz加入前)はベースで入ってもらったんですけど、もともとギターをやってたことは知っていたので試しに弾いてもらったら、どんどん上手くなって。ギター歴は僕のほうが長いのに、超えられました(笑)。自分はいい曲を作れる自信があっても、ギターも歌も上手くないから、そこはふたりに任せて一緒に音楽をやりたいなっていう気持ちが強くなりました。

ーコンポーザーとしての目覚めですね。

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

自分はギターを弾くよりも、曲を作るほうが好きなんだっていうことに気付かされたというか。だから、今はバンドとしてきちんと成り立っているなって感じます。

ーShogoさんとFranzさんはいかがですか?

インタビュイー画像

G.G. Shogo(Gt.):

Hidetaroは前身バンドのときから曲がカッコいいですし、「東海」とか「名古屋」とかじゃなくてちゃんと「地元・三重のバンド」と公言してて、それがすごくいいなと感じて。三重で一緒に頑張りたいなと思ったというか。

時系列的には前身バンドに出会ったのが先なんですけど、その後に高校の音楽部でFranzの歌声を聴いて「激しいジャンルに合いそうだな」と思って。最初は「サポートベーシストとしてバンドに入らないか」って誘ったんですけど、「あわよくばボーカルをやってもらえないかな」ってずっと思ってたんです。TMIDはそれが叶った形になります。
インタビュイー画像

Franz(Vo.):

僕はHidetaroの作る曲が何より好きで。「この人の曲を歌いたい」っていう気持ちがやっぱり強いですね。Shogoは高校時代からずっとギターのスキルを見てて「一緒に上に昇れそうだな」って思っていました。

ーPodcast番組『TMID FRIENDS 〜群青伝説〜』でも話してましたが、Shogoさんのギターの上手さにFranzさんがびっくりしたとか。

インタビュイー画像

Franz(Vo.):

そうですね。僕は先輩なんですけど、「上手いですね」って思わず(敬語で)話しかけて、上下関係が一気に変わっちゃいました。下剋上されましたね(笑)。

ー結成前の話に遡りますが、みなさんが音楽を聴き始めたきっかけやルーツを教えてください。

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

中学生のときに、授業で先生がHAWAIIAN6の「MAGIC」を流していて。歌詞にも感動しましたし「英語で歌ってる日本のバンドってカッコいいな」と思って、メロコアにハマりました。そこからlocofrankとか、あとFACTみたいな今で言うスクリーモやポストハードコアに近寄っていったのかなって思います。ONE OK ROCKcoldrainも好きになりましたし、そのあたりがルーツです。
インタビュイー画像

G.G. Shogo(Gt.):

僕はきょうだいがクラシック音楽をやっていて、幼少期から日常に音楽がある環境で育ってきたんです。だから自分から音楽を聴くことがあまりなくて。でも、中学生のときにアニメ『銀魂』を見てて、主題歌のSPYAIR「サムライハート (Some Like It Hot!!)」でバンドというものを知りました。それで邦楽ロックやライブキッズの文化に触れていって、高校から洋楽を聴きだして。Green Day(グリーン・デイ)から入り、そこからいろいろ辿ってスクリーモを聴きだした頃に、自分のルーツが確立されていったなと感じます。
インタビュイー画像

Franz(Vo.):

僕はお父さんがドラマーで、その影響もありましたし、あとはお母さんが家でAvril Lavigne(アヴリル・ラヴィーン)を歌っていて、音楽はよく聴いていましたね。スクリーモとかはどちらかというと苦手だったんですけど、coldrainやONE OK ROCKを聴き始めてどんどんのめり込んだ記憶があります。

ー8歳で日本にいらっしゃったんですよね。日本のポップスも聴いていましたか?

インタビュイー画像

Franz(Vo.):

日本に来た当初は、EXILE西野カナGReeeeN(現・GRe4N BOYZ)とかを聴いてましたね。しばらくは日本人アーティストをたくさん聴いていたんですけど、高校生ぐらいの頃にもう一回「海外の音楽って今どんな感じなんだろう」って思って聴いたらカッコいい人ばかりだったので、今ではどっちも聴くようになりました。日本のポップスは歌メロが気持ちいいですね。日本語を上手く音にはめてるところもいいし、僕は日本語の歌詞が好きです。

ーFranzさんのお父さんはドラマーとのことですが、子どもの頃から楽器にも触れていたんですか?

インタビュイー画像

Franz(Vo.):

フィリピンのパレードの音楽隊みたいなのに所属してて、太鼓をやってました。あと、フィリピンの家の近くにタイヤ屋さんがあって、歌うとお小遣いをくれる人がいたんですよ。歌う喜びを知ったのはそこからで、だんだん歌うこと自体楽しくなっていった感じです。

ーフィリピンに行ったとき、町中で歩きながら歌っている人がいたり、店員さんがレジ打ちしながら歌っていたりして驚きました。

インタビュイー画像

Franz(Vo.):

そうですね、みんな歩きながらよく歌ってます。それに、ショッピングモールの一角にカラオケボックスが置いてあるんですよ。そこで誰でも歌えるんです。

ー日本でいうと、公衆電話ボックスのような形で小さいカラオケが設置されていますよね。みんな本当に歌が好きで。

インタビュイー画像

Franz(Vo.):

娯楽という娯楽がない人が多いと思うんですよね。歌なら誰でもどこでもできるので、みんな歌うのかもしれないです。

CrowsAlive、ウェルビーズ、Chemical Glitchら東海のバンドとの親交

ーHidetaroさんとShogoさんはいつから楽器を始めましたか?

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

14歳ぐらいのときに、X JAPANhideさんの影響でエレキギターを始めました。プレイ以上に、カリスマ性やギターを弾いてる姿に惹かれまして。それで、バーニーのLPタイプのギターを買ってもらいました。
インタビュイー画像

G.G. Shogo(Gt.):

僕の場合は誰に憧れたとか、そういうのがまったくなくて。家にアコースティックギターがあったので、14〜15歳のときになんとなく手に取ってみて、ギターという楽器そのものに惹かれていった部分が大きいですね。Eric Clapton(エリック・クラプトン)のソロギターアレンジとか、あとはコード譜が書いてある本を読みながら弾いてた感じです。

なので、憧れのギタリストを聞かれたらとりあえず有名な人の名前を言う、みたいな。高校生の頃は「Green Dayが好きだからBillie Joe Armstrong(ビリー・ジョー・アームストロング)って言っとくか」という感じだったんです。そんな頃に、エレキギターを近所のおばちゃんからもらって、エレキにハマりました。で、貯めてたお年玉と当時流行ってたお小遣いアプリでゲットしたAmazonギフト券を合わせて、モッキンバードを買って。それが初めて買ったギターでしたね。

ーモッキンバードにしたのは、hideさんの影響とか?

インタビュイー画像

G.G. Shogo(Gt.):

そうですね。それこそ僕も当時X JAPANを聴いてて、速弾きに魅力を感じてたんで真似した感じですね。

ーバンドで共通するルーツはありますか?

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

この質問をされたときは、だいたいLinkin Park(リンキン・パーク)って言ってるんですけど、正直深いところまで話ができるわけではないんです。でも、バンドと電子音楽の融合みたいなもののはしりだし、本当にカッコいいなと思っていますね。邦楽だったらcoldrainやONE OK ROCKみたいに、叫ぶところはけっこう叫ぶけど歌メロはめっちゃ綺麗で、シンプルなビートでカッコいいバンドとかはルーツとして共通してるなって思います。

ーバンドを始めるにあたって「こういうバンドになろう」というビジョンは決めていたのでしょうか。

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

最初は“The スクリーモ”というか、たとえばFinch(フィンチ)とかStory of the Year(ストーリー・オブ・ザ・イヤー)とか、そっち系の音楽をやりたかったんですけど、今はバンド以外にも目を向けてて。ダンスミュージックとか、ヒップホップやドリルとか、そういう要素も取り入れたバンドをやりたいなというふうに変わりました。

ーそのように変化したのはどうして?

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

やっていくうちにそう思ったというのもありますし、僕らはみんなライブハウスが好きでやってるような“がっつりバンド”みたいな音楽が得意なわけではなくて。バンドだけじゃなくて幅広い音楽も好きというのは、話していくなかで共通認識として感じていたので、そういうふうになったのかなと思いますね。

ーライブハウスシーンでガツガツやるタイプではないとのことですが、その中でも親交の深いバンドはいますか?

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

近い存在でリスペクトしてるのが、名古屋のCrowsAliveですかね。若い世代のバンドで、僕たちみたいなカテゴリーの音楽で最前線を走ってるなと思ってて。独自性のある音楽を貫いてて、作るものに対して妥協しないところをものすごく尊敬しています。あと、ウェルビーズにはバンドの良さを改めて気付かされました。さっき言ったような「バンド以外の音楽に目向けて」とか「カッチリした音楽で、カッチリしたライブしよう」と思っている中でも、ウェルビーズと仲良くなってから「もっとバンドの熱を伝えられるようになりたいな」って思うようになって。なので、ウェルビーズも尊敬してます。
インタビュイー画像

Franz(Vo.):

あと親交の深いバンドだと、名古屋のChemical Glitchとか。ボーカルのJさんがめちゃくちゃ聖人で。
インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

Jさんは、アートワークとか「Kaze」のMV撮影を手伝ってくれたり、制作に関わってくださっていることもあって、親交がすごく深いですね。

欧米の模倣ではなくTMIDらしさを。アイデンティティに向き合った新曲「Kaze」

ーいつも曲作りはどのように進めますか?

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

僕がオケをがっつり作って、一回みんなに聴いてもらって。「いい感じだね」って反応をもらえると、ちょっと嬉しくなって歌詞を書きます。それで、フル尺で曲と歌詞が全部できた状態でみんなでプリプロして、アレンジする感じです。

ー曲のアイディアが出やすいシチュエーションはありますか?

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

ライブに遊びに行ったり人に音楽を教えてもらったり、DJの人がカッコいい曲を流したりとか、自分が知らない音楽に出会ったときに「こんな感じの曲をバンドでやってみたら面白いかも」って、インスピレーションを得ることが多いです。それをきっかけにして、車を運転してるときやぼーっとしているときに「こういう構成で作ってみたらどうだろう?」って浮かんできます。

ーメロディが思い浮かんだらボイスメモに録ることも?

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

そういうときは動画で録るようにしてますね。どういう時間帯でどういう雰囲気のときに思いついたかとか、そういう詳細を思い出せるようにしたくて。ボイスレコーダーで録っただけだと歌のメロディしか録れなくて、コードの感じを思い出すのが難しいので、視覚的な情報が欲しいんですよね。

ーなるほど。最新作「Kaze」もいつも通りの作り方ですか?

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

そうですね。「Kaze」のオケは2021年〜2022年ぐらいに作ってました。で、最近ポップな曲が多くなってきたところだったので、もう一回激しい曲を出したいなと思って、昔作ったデモから「いいな」と思ったものに歌詞を書いて。

ただ、最初作ったものはもっとバンドサウンドな感じだったんですけど、もうちょっと今のThe Moment I Decideっぽくしたいなと思って、打ち込みの音を増やしてみたりアジアンテイストにしてみたり、今のバンドの音楽性に寄せましたね。
インタビュイー画像

G.G. Shogo(Gt.):

ギターは今回そんなにアレンジしてなくて、Hidetaroが持ってきた通りに弾いて、ちょっとアレンジ加えた程度です。いつもは一番のAメロとかギターソロをアレンジすることが多くて、Hidetaroとマンツーマンで一緒に考えているんですけど。

ー前々作の「Nami」では、ギターソロをけっこうアレンジしたんですよね。アレンジを加えるかどうかはどのようにジャッジしていますか?

インタビュイー画像

G.G. Shogo(Gt.):

オケを聴いたときに、リードギターが勝手に思い浮かんでくるときがあるんですよね。たとえばイントロを聴いて「Aメロはこういうフレーズが来そうだな」ってイメージできることもあるので、初めて聴いたときの印象は大きいです。逆にオケを聴いて「これ以上のものはないな」と思ったら、その通りに弾きます。

ーFranzさんの歌は、デモからどの程度変えるんでしょうか?

インタビュイー画像

Franz(Vo.):

自分が歌いやすいようにニュアンスを変えたり、あとは裏声を使ってアレンジを加えたり、パッとアイデアが思い浮かぶときがあって。「Kaze」は最後らへんでしゃがれた声で叫ぶんですけど、これはRECしてるときに思い浮かびました。ただ、Hidetaroの作る歌メロが好きなので、あんまり変えることはないですね。

ー「Kaze」のリリース時にHidetaroさんが「自分たちのアイデンティティについて考えた」とコメントしていましたが、みなさんの思う“TMIDらしさ”とはどういったものになるでしょうか。

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

最近はSNSで「The Moment I Decideは日本のバンド」という文言を打ち出していて。ポストハードコアをやってる日本のバンドって、どうしても欧米の音楽の模倣になってしまうところがあると思うんですけど、“The Moment I Decideらしさ”としてアジアンテイストな音色を使ってみたり、“アジアンテイスト meets ポストハードコア”みたいな感じは、バンドのアイデンティティとしてあると思っていますね。あと、自分の内向的な気持ちを歌詞として外に向けることができているのは、The Moment I Decideならではかなと思ってます。
インタビュイー画像

G.G. Shogo(Gt.):

TMIDが“日本のバンド”って言い続けてるのは、やっぱりアジアンテイストっていう部分が大きいですね。それ以外で言うと、僕は勝手にこのバンドのことを“オルタナティブ・エモ”と呼んでて。The Moment I Decideはエモやスクリーモをベースにしているけど、やっぱりエモではないし、かといってオルタナティブとかポストハードコアでもないなっていう。そういう絶妙な位置づけをうまく言い表せるのが“オルタナティブ・エモ”だと思ってます。単純に、なんかカッコいいからそう言ってるのもあるんですけど(笑)。
インタビュイー画像

Franz(Vo.):

…難しいですね。「歌を綺麗に聴けるバンド」とは、誰かが言ってくれてた気がして。

ー確かに。今回の「Kaze」にも言えることですが、アンサンブルに重みがあるんだけど各楽器が抜けて聴こえますし、何より歌が突き抜けてるという。そこはTMIDの特長だと思います。

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

本当におっしゃる通りで、「歌を頑張って聴かせたい」という思いはすごくありますね。だから上モノをどうするかは気にしてて、「これはシンセで打ち込みでやったほうがいいな」とか「ここは絶対ギターでやったほうがいいな」とか、それは曲を作るときやアレンジを考えるときのキーになっています。

ーまた、歌詞の日本語と英語のバランス感も大切にしているように感じました。

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

それもすごく思っています。こういう音楽性なので、最初は英語のほうが合うと思って英語詞メインでやってたんですけど、途中からオケを聴いたときに浮かんでくる母音を一番大事にしたいなと思って。だから日本語/英語は関係なく、降りてきた言葉を大事にしてます。

ー英語と日本語を組み合わせると、言葉を当てはめにくいこともありますか?

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

日本語の音節と英語の音節は数が違うので、日本語で歌うとどうしてものっぺりしてしまう部分があったり、英語だとパーカッシブに聴こえたりすることがあるんです。だから日本語で歌詞が降りてきたときに「いかにのっぺりしないか」というところは意識していますね。日本語じゃないように聴こえてもいいから音楽的な響きを重視しようとか、そういうことはよく考えてます。

ー歌詞のイメージやテーマはFranzさんとShogoさんに共有するんですか?

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

自分の内側の気持ちを外側に向けて昇華できるのが音楽だと思っているので、人に向けて「こうしろ」「ああしろ」みたいなメッセージは絶対書かないようにしています。だからメンバーにも「こういうことを伝えたいんだ」ということはそんなに言ってなくて、それぞれが感じてくれたらなと思ってます。でも、日本語詞だと情景がイメージしやすいので、そのへんは自然と共有できてるのかなって。
インタビュイー画像

Franz(Vo.):

「Haru」のときだけ、「どんな感じで歌う?」って聞きましたね。でも基本的にはこっちから聞くこともなくて、考察しながら「こんな感じかな?」って歌っています。
インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

バンドでアレンジを考えるのと一緒で、そうやって各々に委ねたほうが“バンドとしてみんなでやってる感”があるなと思っていて。なので、みんなには「こうしてほしい」という要望はガッツリ出さないようにしています。

地元・三重のシーンを盛り上げ世界に羽ばたく

ーみなさんは日本のバンドであること、そして地元・三重が拠点であることを大切にしているように感じます。そこで、三重という地域の魅力やどんな音楽シーンが形成されているのか教えてほしいです。

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

シーンとしては、あまりジャンルは関係なく、カッコいいバンドが一緒にイベントをやっているイメージがあって。それは三重の魅力かなって思います。ただ、私がライブキッズだった高校生のときは、平日にライブハウスでフリーライブがあったり週末に県外からすごいバンドが来たりとか、四日市にもっとバンドがいたような記憶があって。今はバンドが少なくなってしまっているように思うので、だからこそ自分らが名古屋とか外の場所で頑張って、四日市に人を連れてきて、当時みたいな盛り上がりを見せられたらなって考えてます。
インタビュイー画像

G.G. Shogo(Gt.):

音楽シーンの魅力はHidetaroの言った通りで。街の魅力としては、僕は地元が菰野町(こものちょう)なんですけど、ちょうどいい田舎感がありますね。
インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

間違いない(笑)。それめっちゃ言いたかった。
インタビュイー画像

G.G. Shogo(Gt.):

ちょうどいいんだよね。人の距離感もめちゃくちゃ田舎みたいに閉鎖的でもないし、かと言って都会ほど他人行儀でもない感じで、いい距離感を保ってるなと思います。街の雰囲気も人の雰囲気も、その“ちょうどいい感”が好きです。

ーじゃあ、東京や名古屋に行くと「距離感が遠いな」と思ったり?

インタビュイー画像

G.G. Shogo(Gt.):

そういう意味で言うと、名古屋は馴染んだらけっこう居心地がいいなと思いますね。名古屋って三重県民の中学生や高校生からするとすごく都会で、とっつきづらいというか怖いイメージがあったんですけど、実際に名古屋の人と接してみると温かくて、今は超好きです。
インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

前に東京のライブハウス行ったら、全員標準語で喋っててすごいびっくりしました。怖くてしょうがなかったです(笑)。

ー東京にも温かい人はいますよ、たぶん(笑)。それでは、今後についてお伺いします。直近の大きなイベントで言うと、2025年2月22日(土)三重・鈴鹿ANSWERで自主企画を開催しますね。

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

やっぱり「三重のシーンを盛り上げたい」とか「三重で人がパンパンになってるハコを見てみたい」という気持ちが強くあるので、これまでもバンド主催で三重で企画をやってきました。他のカッコいいバンドたちに力を借りることにはなりますけども、このライブでは「僕らThe Moment I Decideが三重にいるから大丈夫でしょう」っていうことを見せられたらいいなと思ってますね。
インタビュイー画像

Franz(Vo.):

ブチかまします!

ーバンドとしての野望はなんでしょうか?

インタビュイー画像

Hidetaro(Gt.):

バンドのコンセプトとも一致するんですけど、「日本のバンド」っていうことを前面に押し出してこれからもやっていきたいです。なので、もちろん日本国内でもっとビッグになっていかなきゃいけないのは大前提なんですけど、〈88rising〉みたいに、アジアをレペゼンして世界に発信していくようなアートの表現の仕方がすごくカッコいいと思っていて。だからゆくゆくは自分たちの音楽が、日本だけじゃなくて世界でも認められたらなと思っています。

RELEASE INFORMATION

New Single『Kaze』

2024年11月13日(水)リリース
〈early Reflection〉

early Reflection

early Reflectionは、ポニーキャニオンが提供するPR型配信サービス。全世界に楽曲を配信するとともに、ストリーミングサービスのプレイリストへのサブミットや、ラジオ局への音源送付、WEBメディアへのニュースリリースなどのプロモーションもサポート。また、希望するアーティストには著作権の登録や管理も行います。
マンスリーピックアップに選出されたアーティストには、DIGLE MAGAZINEでの動画インタビューなど独自のプロモーションも実施しています。

SNSで記事をシェア

SNSフォローで
最新カルチャー情報をゲット!

The Moment I Decide(ザ・モーメント・アイ・ディサイド)

前身バンドを経て、2017年に結成。 メンバーは、コンポーザーのHidetaro(Gt.)、Franz(Vo.)、G.G. Shogo(Gt.)。三重県四日市を拠点に活動中。 ポストハードコアやエモをルーツに持ちながら、ヘヴィミュージックに留まらない音楽性をアピールし、国内外でリスナーを獲得。2025年2月22日(土)には三重・鈴鹿ANSWERで主催企画の開催を控える。
閉じる