想いの入った美しき手作業の雑誌『NEUTRAL COLORS』|EDITOR'S SELECT 011

Column
編集部メンバーが今オススメしたいもの、興味のあるものについて語る連載企画。第11回は雑誌『NEUTRAL COLORS』について。

第11回:雑誌『NEUTRAL COLORS』  by Etoo

今回紹介するのは雑誌『NEUTRAL COLORS』。これはトラベルカルチャー雑誌 TRANSIT (トランジット)の元編集長・加藤直徳さんとデザイナー加納大輔さんが新たに始めた雑誌で、通常のオフセット印刷に加えてリソグラフ印刷という印刷手法をかけ合わせて作られており、それが本当に美しく、最高にかっこいい。文中に「自分で芸術を刷ろう」という加藤さんの言葉があるが、読者として偶然手にとった私から見て、この雑誌はまさしく一つの芸術を目にした感覚だ。

リソグラフ印刷は一般的な大量印刷に用いられるオフセット印刷とは異なる手法で、印刷するための版をつくり、特殊なインクで1色もしく2色の印刷ができる簡易印刷機で行われる。色を変えるときは機械のインクドラムを交換して印刷していき、その色の重なり方の美しさ、面白さから世界中のクリエイターに愛されている印刷手法だ。

近年アートブックやZINEでも人気なリソグラフだが、機械に任せて一気に大量に刷るやり方ではなく手作業での地道な作業になるため『NEUTRAL COLORSも5000部限定で作られている。(1ヶ月休みなく作ってもこの部数が限界だそう。)また5000部あるとはいえ手作業で作られるため色移り、ムラ、かすれなど一冊ごとに微妙に違いがあるようで、完全に同じものがないのもまたこの雑誌の乙なポイントだろう。

創刊号のテーマは「人生とインド」

この雑誌はインドにあるタラブックスという小さな印刷所が発行してる「夜の木」という絵本と加藤さんが出会ったことがキッカケとなって生まれたこともあってか創刊号はインドをベースに作られている。

冒頭は作者自身がこのタラブックスのシルクスクリーン工房に訪れた所から始まるが、いわゆる単純なインド旅行記本というような内容ではなく、あいちトリエンナーレにおいてタブラ演奏者のU-zhaan(ユザーン)さんがやった40日間連続でタブラの練習をし続ける修行「チッラー」の日記や、未だインド社会に影を落とすカーストの現実についてを綴ったもの、インドの貧困層で生まれた発明家たちのインタビュー、神様絵について、インドの現代超人ファイル…と内容も濃い。紹介文を借りるならば「インドが人生に張り付いてしまった人の、“超個人的”な想い」それが写真とグラフィックによって彩られ、全232ページに渡って詰まっている。

自分は基本web畑の人間で、現在このDIGLE MAGAZINEのデザインも編集もやってる身だが、高速で情報をスパパっと提供するwebメディアといわば対極に位置するこの雑誌が放つ溢れるクリエイティビティと詰め込まれた想いの強さには手にするたびに正直嫉妬を覚えるほどに痺れる。

次号のテーマは学校になるようで、インドとはまた全くテーマが異なるのでどういったものになるのか、これもまた世に出るのが非常に楽しみである。

INFORMATION

NEUTRAL COLORS 1

価格:2640円(税込)

テキスト参考:Motion Gallery

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この記事を作った人

WRITER

Yuya Eto

DIGLE MAGAZINE編集長。フェスとフクロウが好き。

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