15周年のSAKANAMONが初めて届ける“誰か”への歌|BIG UP! Stars #90

Interview

文: Mai Kuno  写:fukumaru  編:riko ito 

DIGLE MAGAZINEが音楽配信代行サービスをはじめ様々な形でアーティストをサポートしている『BIG UP!』を利用している注目アーティストをピックアップして紹介するインタビュー企画。第90回目はSAKANAMONが登場。

15周年を迎えたSAKANAMONが約2年半ぶりのフルアルバム『HAKKOH』をリリースした。以前DIGLE MAGAZINEでインタビューしたのは10周年を迎えた後のこと。「10周年が終わって、これからどうするのかっていう答えがなくて。」と語っていた藤森はしっかりと自分の答えを見つけていた。

今作は、ストリングスを取り入れた楽曲に挑戦しただけでなく、リーガルリリーたかはしほのかを迎えた「1988」から、NHK『みんなのうた』でオンエアされた童謡「南の島のハメハメハ大王」のカバー、ゲーム『グーニャモンスター』への書き下ろし曲、人気曲「妄想DRIVER」の再録まで、実に様々な楽曲が顔を揃えており、どれをとってもSAKANAMONなのだという自信が伝わってくる。そして胸を張って鳴らす音は、今新しい輝きを放ち始めているのだ。

今回は10周年からの変化を振り返りながら、以前にも増して力強い音を響かせる今作の背景を語ってもらった。

歌心が繋いだ15年

ー15周年おめでとうございます!以前のインタビューでは10周年についてお話を伺っていたんですが、5年間でどんな変化を感じましたか?

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木村浩大 (Dr.&Cho.) :

この何年間か単純にコロナでライブができなかったので、僕らってずっとライブで発散してた部分があったんだなと思いました。15年目は少しは爽快になれればいいなって思ってます。森野くんはどう?
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森野光晴 (Ba.&Cho.):

コロナの期間はルーティーンでやっていたことを見直すきっかけになったと思っていて。曲を作って、リリースして、ツアーしてっていうのができなくなったことで、自分たちがやりたいこと、やりたくないことがより見えてきたのかなと思いました。

ーやりたいことってどんなことでした?

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森野光晴 (Ba.&Cho.):

単純に“音楽”をやりたいっていうことですかね。僕個人でいえば、セットリストを考えてライブを組み立てたり、魅せ方を考えるのが好きなんだなっていうことにも気づきました。

ー藤森さんはどうですか?

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藤森元生 (Vo.&Gt.):

10周年は大層にお祝いしていただいて楽しかったんですけど、僕はそれが終わった途端に電池が切れたみたいにスランプに陥ってしまったんです。でもライブでみなさんから力をいただいたことでなんとか持ち直して、『LANDER』で完全に復帰しました。

そんなポジティブなモードに入れたところでコロナの影響で、ツアーができなくなったんです。でも、へこたれることなく『LANDER』の時の気持ちを持ったまま、コロナ禍のイベントも楽しくやってこれた。それが今も支えになってるというか、自信になってるんだと思います。もちろんライブができなかったのは辛かったけど、そんな中でもアコースティックライブや配信ライブ、色々新しいことができたので、個人的にはすごく楽しい5年間でした。

ー15年間メンバーも変わらず続けてこれた秘訣ってなんだと思いますか?

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木村浩大 (Dr.&Cho.) :

みんな優しいからじゃないですか?
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藤森元生 (Vo.&Gt.):

きっかけがなかったからかなあ。「いつ辞めよう?」「辛いから辞めよう」って思ったことないし。

ーこれ、10周年の時に藤森さんに同じ質問をしてるんですけど、今木村さんが言ってくれたことと近い答えでしたね。メンバーのバランスがいいと。

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藤森元生 (Vo.&Gt.):

10周年でも言ってんのか。
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森野光晴 (Ba.&Cho.):

僕はやっぱ藤森くんが作ってくる曲が良いからだと思いますけどね。未だに毎回感動するし。それがなくなったら辞めちゃうかもしれない(笑)。

ー(笑)。でも以前のインタビューで藤森さんは3人のバンドをワンマンバンドのように見られたくはないとおっしゃっていたんですよ。藤森さんから見て、音楽的な側面でおふたりのどんなところに信頼を置いていますか?

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木村浩大 (Dr.&Cho.) :

絶対目を見て言ってください!
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藤森元生 (Vo.&Gt.):

え〜、でもなんか全然いいところはたくさんありますよ〜。
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森野光晴 (Ba.&Cho.):

出てこないんかい(笑)!

ー(笑)。

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藤森元生 (Vo.&Gt.):

例えば森野さんは歌心あるベースを弾きますよ。適当に打ってきたところにちゃんと意味のあるメロディラインをベースで付けてくたりします。
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森野光晴 (Ba.&Cho.):

なるほど。確かに。
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藤森元生 (Vo.&Gt.):

キムさん(木村)も他のバンドのドラムよりも歌心のあるドラムを意識して作っているので勉強になるところもあるし、僕はリズムに弱いんで、そこをタイトにまとめて引っ張ってくれますね。

ーつまり、みなさん“歌心”が共通するポイントなんですね。そこがあるから、みんな同じ方向を向いていけるのかも?

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藤森元生 (Vo.&Gt.):

意識的にやってきた訳じゃないけど、培われてきたのかもしれませんね。

ー楽曲に関していうと、ここ最近はすごく説得力が増したというか、力強くなったとなと感じていたんですが、曲作りに関しては今までと同じですか?

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藤森元生 (Vo.&Gt.):

昔は本当に沸々と湧き出るものをガンガン曲にしていたから、自分のために生み出す楽曲だったんですけど、最近は人に向けて書くような曲が多くなったんですよね。だから今までとはメッセージ性が違ったりするんですかね。

ーそれは意識的にですか?

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藤森元生 (Vo.&Gt.):

いや、別に狙って書いてたわけではなくて。特に今回のアルバムは制作期間中にクラウドファンディングしながら作ってたので、そういう影響もあったと思います。
次ページ:テーマは“大人なSAKANAMON”

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