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2019年に結成し、東京を中心に活動する3ピースバンド・Kamisadoが、2023年11月8日に、2ndミニアルバム『WAGON TRACKS』を配信リリースした。
活動開始からすぐにコロナ禍に差し掛かり、当時はライブ活動も思うようにできず挫けそうにもなったと語るKamisado。そんな彼らだが、止まることなく制作方法を試行錯誤し、以降続々と増えてきたライブを経て「今のKamisadoとして表現したいこと」を見出した。そして、それらを惜しみなく詰め込んだ8曲が収録されているのが、今回の『WAGON TRACKS』だ。USインディーロックやパワーポップのエッセンスを潤沢に含ませつつ、よりドライブ感のあるサウンドメイクやボーカルを意識したという今作は、歌詞についても、今のバンドの良い空気感を思わせる前向きなものになっている。
これまで培ってきたバンドらしさをベースにしつつも、常に新鮮さを追求し続ける彼ら。そんなKamisadoの、バンドの始まりから今作完成に至るまでの経緯、今のバンドのモードについてメンバー全員にたっぷりと話を伺った。
BIG UP!
『BIG UP!』はエイベックスが運営する音楽配信代行サービス。 配信申請手数料『0円』で誰でも世界中に音楽を配信することが可能で、様々なサービスでアーティストの音楽活動をサポート。また、企業やイベントとタッグを組んだオーディションの開催やイベントチケットの販売や楽曲の版権管理、CDパッケージ制作などアーティスト活動に役立つサービスも充実している。
さらに、音楽メディアも運営しており、BIG UP!スタッフによるプレイリスト配信、インタビュー、レビューなどアーティストの魅力を広く紹介している。
▼official site
https://big-up.style/
ーKamisadoは、どういった繋がりを持った3人で結成されたんですか?
平野雄大(Gt.):
全員同じサークルの同期で、大学3年生のときに結成しました。コピーバンドサークルだったんですけど、このメンバーで一緒にやることもちょこちょこあった中で、オリジナルバンドをやりたいという思いがでてきて。石川颯人(Vo. / Gt.):
僕自身は一人で曲を作っていたりもしていたので、バックバンドという形で組むこともできたんですけど、徒党を組みたくなったと言いますか。誰かと音楽を共有しながら、同じ距離感で一緒に何かをやりたいという思いが強かったので、彼らに声を掛けてKamisadoを結成したという経緯ですね。ールーツ的には、それぞれどんな音楽を聴かれていたんですか?
石川颯人(Vo. / Gt.):
幼い頃は父親の影響で古い楽曲を聴いていましたが、中学生の頃にはASIAN KUNG-FU GENERATION、高校生の頃にthe pillowsやGRAPEVINEを聴いていて、高校の軽音部でもコピーをしていました。平野雄大(Gt.):
僕も父親の影響で音楽を好きになって、当初はハードロックやR&Bによく触れていました。そこからASIAN KUNG-FU GENERATIONを聴くようになったのが大きかったですね。あとは、小学生の頃に通っていた塾の先生にTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTを教えてもらって、いろいろと掘っていくようになりました。神保郁海(Ba.):
中学生の頃までは、特にこれが好き!という音楽もなくいろいろと聴いていたんですけど、中2のときに『モテキ』の深夜再放送を観ていたら、神聖かまってちゃんに出会ったんです。そのことがきっかけで能動的に音楽を探っていくようになり、そこからandymoriやNUMBER GIRLを聴くようになって。あとは、『SCHOOL OF LOCK!』というラジオ番組で、当時ファンだった能年玲奈ちゃん(のん)が紹介していた音楽を聴いたりしていました。石川颯人(Vo. / Gt.):
これは初出し情報ですね。一同:
(笑)。ーこの3人が揃って、最初に誰のコピーをしたんですか?
平野雄大(Gt.):
The Strokes(ザ・ストロークス)ですね。僕がThe Strokesの大ファンだということもあって。和製The Strokesのようなバンドをやりたいというイメージは、メンバー内でも自然と共有できていた気がしているので、そのときにKamisadoの母体ができたと言っても過言ではないと思います。ー石川さんは個人でも楽曲を作られていたんですよね? 初期のKamisadoの楽曲は、石川さん個人で作っていた曲のアレンジだったんですか?
石川颯人(Vo. / Gt.):
全く違いますね。Kamisadoをちゃんとゼロから始めたかったので、全部新しく作りました。平野くんは作詞/作曲経験がほとんどなかったんですけど、ふたりでそれぞれ書いていこうという話になったんです。そしたら、平野くんが持ってきてくれた曲が良かったので、「これはやれるぞ!」と。そこから現在に至るまで、ふたり各々で制作してます。平野雄大(Gt.):
Kamisadoを始めるまで、曲を1曲まるごと仕上げた経験が全くなかったんですけど、自分にもできる気がしたんですよね。半分は「やってみたらイケるだろ!」という軽い感じではあったんですけど(笑)。これまでいろいろなアーティストの音楽に触れてきた中で、自分としてはリズムを重視するタイプだなということには気付いていたので、その辺りを気にしながら曲を作っていきました。神保郁海(Ba.):
たしかに、ヒラノはリズムにこだわりがあるかもしれないですね。もちろん(アレンジのときは)自由にやらせてもらえる部分もありますが、「ここのこういう感じは残してほしい」とか、ニュアンスについての細かい指定は結構あります。ー神保さんは、作詞/作曲者がバンド内にふたりいることに対して感じることはありますか?
神保郁海(Ba.):
バンドを始めた当時は、いい意味でも悪い意味でも個性がバラバラではあったんですけど、バンドをやっていくにつれて、ふたりいることが「個性×個性=Kamisado」という強みになっているなと感じています。ーバンド当初の話もありましたが、活動開始からコロナ禍に突入したことで、苦しい期間が続いたのではないでしょうか?
神保郁海(Ba.):
いやあ、心が折れました…。少しずつライブも増えてきたタイミングで、決まっていたイベントもなくなり、「バンドを始めたての我々は一体どうしたらいいのか?」と思いましたね。でも、気楽に考えるようにして、DAWを使ってファイルのやり取りをしながら曲を作ることに専念していました。石川颯人(Vo. / Gt.):
そうだね。それに、生まれてくる曲がどれも良かったので、僕自身は特に心配はしていなかったです。ーバンド始めたての段階で制作方法を柔軟に試すことができたというのは、強みでもあるなと思いました。
平野雄大(Gt.):
ああ、たしかにそれはそうかもしれないですね。スタジオに集まって作る方法も、データのやり取りで作っていく方法も、どちらもトレーニングできた期間ではあったので、振り返れば今に繋がったなと思います。神保郁海(Ba.):
ある程度やってきた中であの状況になっていたら、結構キツかったかもね。始めたてだったからこそ、もうやるしかないと思っていましたし、結果的に良い方向に作用したなと思います。平野雄大(Gt.):
今は、曲を作る人間がある程度まで固めた状態で共有するようになったんですけど、曲の作り方がその方法に変わったのもコロナ禍のときで。音がすでに重なった状態で渡すからこそ伝えられる微妙なニュアンスが共有できるようになったので、かなり大きな功績かなと思います。石川颯人(Vo. / Gt.):
コピーでThe Strokesをやっていたことが、今の自分たちにどれだけの影響を及ぼしたかというのが、ここに集約されていると思ってます。僕らは、ギターの弾き語りが先にあるというよりは、全ての楽器の音を同時に鳴らしたときに、自分たちのやりたいことが伝わるような曲を作ろうとしている気がしていて。アンサンブルがあってこそと言いますか、その作り方が、The Strokesに通ずるものがあるように感じているし。Kamisadoの根本的なコンセプトだと思っています。ー今作『WAGON TRACKS』は、今の石川さんのお話にあったアンサンブルの強さやライブ感が前作よりも強固に感じられて、聴き心地の良さのある作品というよりも聴き応えのある作品だなと感じました。どのような経緯で制作を進めていったんですか?
平野雄大(Gt.):
去年からずっと、今回の作品の構想については考えていたんですけど、ライブ活動をしていく中で、過去の曲の演り方が変わってきたことも感じていて。それを踏まえて、一回自分たちの幅広さを提示したいという気持ちもあったので、シングルを3曲リリースしたんです。そこでいい意味でバラけた作品を作れたなという実感もあったので、どうしたら今まで自分たちがしてきたこととの繋がりも持たせつつ、新しさを出せるかという課題も出てきて。ーなるほど。
平野雄大(Gt.):
本当はパワーポップ系のガッツある(短めの)EPを作ろうかと思っていたんですけど、既存の楽曲を入れないのももったいないなかったので、今回のミニアルバムを作った、という経緯があります。「Amnesia」は元々石川が持っていた曲をリアレンジしたものですし、「ナイトダイバーズ」は最後の最後にできた曲で、より幅を広げることができた作品になったなと思います。ーライブ感に関しては、どのように詰めていったんですか?
平野雄大(Gt.):
音や曲のライブ感に関しては、前作『our city dawning』での反省を活かしました。曲の出来はすごくいいのに、正直鳴りに関してはかなり微妙だったなと思っていたんです。そこで、ドラムの音の作り方やギターの録り方もかなり見直しました。先行リリースした「Morning Bell」や「Cheese Cake」と「Converse」はその反省を活かしつつ、今回追加した5曲は、環境をガラッと変えて録ったんです。そのおかげで音の厚みやドライブ感もかなり出せたんじゃないかなと思っています。ー「前作の反省」というお話もありましたが、今作に向けて挑戦した部分は大きかったですか?
神保郁海(Ba.):
僕自身、あまり音で遊ばずにストレートに表現するタイプなんですけど、特に「放熱」に関しては、アグレッシブに表現できたんじゃないかなと思います。「HELLO, NEW WORLD」や「No way out」も、特徴的なリズムに乗せるところも多いので、そこはかなり意識しました。ー石川さんは、前作と比較して意識的に変化させたことも多かったんですか?
石川颯人(Vo. / Gt.):
前作のレコーディング時は、歌の音程を外さないようにかなりシビアに録っていたんですけど、今回はそれの真逆で、ライブ感やニュアンスがそのまま出るように録っていきました。みんなも「こっちのほうがいい」と褒めてくれたので、良かったなと思います。ーおふたりが書く歌詞に関しても、前作に比べて自発的に行動することを促すような表現が多いなと思いました。
平野雄大(Gt.):
歌詞のテーマについての共有はなされていなかったんですけど、今のバンド全体の空気感を互いに感じ取ったが故の共鳴だと思います。前作はかなり内省的でなよっとしていた部分が多かったと思うんですけど、今作に関しては、内省的な部分はあれども、昔を思いながら今を進んでいくという内容のほうが、現在の自分たちに合っているとそれぞれが思ったんだと思います。石川颯人(Vo. / Gt.):
自信が持てたんだと思います。こういう前向きなメッセージを歌えそうだなと思い始めたというか。ーそう思えるようになったのは、何かターニングポイントがあったんですか?
平野雄大(Gt.):
前作のときはコロナ全盛期かつバンドも始めたてだったということもあって、暗くて硬くて刺々しい面が出ていたのかなと思います。とはいえ「Morning Bell」や「Converse」も、真正面から明るさに振り切っているというよりは、後ろ向きな気持ちから前を向いていこうとするニュアンスではあるので、実はそこまで大きな変化はないのかもしれないです。石川颯人(Vo. / Gt.):
今作の中で一番陽に振り切っているのが「HELLO, NEW WORLD」なんですけど、これは結構危険なことだと思っていて。というのも、歌う人や聴く人によっては、明るすぎるが故に誠実さが失われて、薄っぺらくなってしまうんです。そこで、歌っている側の誠実さを理解してもらうために、この曲を歌っている奴がどんな人なのかを知ってもらいたい。その気持ちを「Cheese Cake」や「Amnesia」や「No way out」、「放熱」に込めて説明しているんです。なので、「HELLO, NEW WORLD」とそれ以外の曲で、温度感は結構違う気がします。ー単曲で聴く際の危険性を孕んだ「HELLO, NEW WORLD」を先行リリースし、さらに今作の1曲目に持ってくるというのも、ある意味では挑戦だった?
平野雄大(Gt.):
バンド側からすると、なぜこの曲が生まれたのかという経緯も理解していたので、純粋にバンドの新機軸となり得る楽曲だったから最初に出したという感じですね。ーそうした今までにないKamisadoを表現できた今作において、みなさんそれぞれ気に入っている曲や、ここは聴いてほしい!というポイントはありますか?
神保郁海(Ba.):
僕は「Converse」が好きです。なんか…いいですよね。一同:
(笑)。神保郁海(Ba.):
この曲の、説明できない格好良さが最高だなと思っているんです。平野雄大(Gt.):
嬉しいですね。これは僕自身も、自分が作った曲の中で1、2位を争うレベルで気に入っているんですよ。「Morning Bell」と「Converse」は、リズムや鳴っている音の気持ち良さ、歌っている内容が調和しているからこそ色味が統一されていて好きです。「ナイトダイバーズ」は、こういうシャッフルビートを久しぶりに書いたということもあり、すごく気に入っていますね。ー「ナイトダイバーズ」が今作のラストを締め括るというのがいいですよね。「放熱」からのギャップもありますし。
平野雄大(Gt.):
そうやって終わらせるのがいいなと思ったんです。ガーッ!と鳴って終わるのではなく、エンドロールのような楽曲を最後に入れたかったですし、自分たちが好きなアーティストの作品も、そういった終わり方をするものが多いので。メロディの付け方や譜割りに関しても、今までにない方法で作ってみたので、この曲は割と気持ち先行で録りましたし、この曲から何かを感じてもらえたら嬉しいですね。ー石川さんはどうですか?
石川颯人(Vo. / Gt.):
俺も「Converse」!って言ってやろうかと思ってました(笑)。「Converse」はいいですよね、初めて聴いたときからずっと右肩上がりなんですよ。歌うよりも、家で一人で曲を聴くときのほうがグッとくる感じがします。平野雄大(Gt.):
石川の曲だと、実は僕も「Amnesia」が気に入っているんですよ。最初は反応が芳しくないどころか、めちゃくちゃ文句を言っていまして(笑)。そのときに、一度きりではあるんですけど、結構大きなケンカをしたんです。石川颯人(Vo. / Gt.):
「俺はこのバンドで曲は書かんぞ!」というくらいにね。平野雄大(Gt.):
そうそう。僕自身の伝え方のつたなさもあったんですけどね。そこからどんどん良くなっていったし、音的にも曲調的にも、これまでになかったものを足すことができた1曲になったので、今の自分たちがやるからこその意義が見出せた気がします。石川颯人(Vo. / Gt.):
平野くんが書いた曲だと「ナイトダイバーズ」ですね。ミニアルバムにするならもう1曲欲しいね、という話からスタートした曲ではあるんですけど、初めて聴いたときにお風呂に入りながら思わず「最高!」とメッセージを送ったくらいに感動しました(笑)。初めて聴いたときから、この曲は今作の最後を飾るなと確信していましたし、この曲がなかったら作品の聴こえ方も大きく変わっていただろうなって。それに、「放熱」の後に「ナイトダイバーズ」があることこそが、Kamisadoらしさなのではないか?とも思っています。ーゴリ褒めですね!
石川颯人(Vo. / Gt.):
本当にいいんですよねぇ…。2番のAメロの《指先で都度たしかめては》のセクションは、歌っていても口が気持ちいいんです。平野くんは僕以上に、リズムや韻など、音として気持ち良い歌詞にこだわるタイプなんですけど、これはとても良くビートに乗っていますよね。平野雄大(Gt.):
この曲は言葉数も多いですし、そこは今まで以上に気にした部分ではありますね。最初は「歌えるのかな?」と思いつつ出したんですけど、気持ちよくハマって嬉しかったです。石川颯人(Vo. / Gt.):
これ、歌入れ15分前に歌詞が上がったんですよ。ーえ、それはすごい!
平野雄大(Gt.):
これはギリギリまで歌詞を悩んでいたので、そうなっちゃいました(笑)。石川颯人(Vo. / Gt.):
でも、これまで3年くらいバンドを一緒にやってきて、お互いが求めていることを想像できるようになったのは、すごくいい成長だなと思いますね。ーそうしたバンドの変化を、これからリリースツアーでも示せるのが楽しみですね。
平野雄大(Gt.):
大阪公演と東京公演で、雰囲気がガラリと変わるところも楽しみですね。自分たちが求めるKamisadoの見られ方と、聴く人が思うKamisadoというのは違うと思うんですけど、その両面をこの2公演を通して表現していきたいなと思っています。神保郁海(Ba.):
自主企画はあまり打ってこなかったので、楽しみですね。なので、少しでも気になったらぜひ足を運んでみてほしいです。石川颯人(Vo. / Gt.):
ライブでまだやっていない曲もあるので、それらを披露できるのも楽しみです。RELEASE INFORMATION
EVENT INFORMATION
Kamisado presents “WAGON TRACKS” Release Party
◼︎大阪公演
2023年11月17日(金)at 大阪・寺田町Fireloopw/
AIRCRAFT
mogari
POOLS
Transit My Youth
水平線Open 17:30 / Start 18:00
Adv ¥2,500+1D / Door ¥2,800+1D
※会場手売りあり◼︎東京公演
2023年11月26日(日)at 東京・下北沢LIVEHAUSw/
Apes
UlulU
pavilionOpen 18:00 / Start 18:30
Adv ¥2,500+1D / Door ¥2,800+1D外部リンク
BIG UP!
『BIG UP!』はエイベックスが運営する音楽配信代行サービス。 配信申請手数料『0円』で誰でも世界中に音楽を配信することが可能で、様々なサービスでアーティストの音楽活動をサポート。また、企業やイベントとタッグを組んだオーディションの開催やイベントチケットの販売や楽曲の版権管理、CDパッケージ制作などアーティスト活動に役立つサービスも充実している。
さらに、音楽メディアも運営しており、BIG UP!スタッフによるプレイリスト配信、インタビュー、レビューなどアーティストの魅力を広く紹介している。
▼official site
https://big-up.style/
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