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Interview
18/05/05

サプライズ精神全開。ザ・おめでたズが「祝いたい」理由 | Music DNA#20

音楽ライフを掘り下げるインタビュー企画『Music DNA』。記念すべき20回目は富山県高岡市を拠点に活動しているザ・おめでたズ。日本を祝うラップバンドとして明るくゆるやかな楽曲を発表している彼らの音楽ライフや、コンセプトである「祝う」ことについてお話を伺いました。
(L→R/太郎、セキハラグチ、やじまたくま)

エレカシ、Fall Out Boy、アジカン。それぞれの学生時代。

ーまずはじめに、みなさんの音楽との出会いについて聞かせてください。

やじまたくま(以下、やじま):
高校生の頃にエレファントカシマシを聴いたことがきっかけで、色々な音楽を掘るようになりました。たまたま手に取った雑誌に載っていた「俺の道」というアルバムを試しに聴いてみたらすごく良くて。特に1曲目の「俺の道」の歌詞が、思春期だった僕のいきった感情と重なって、「音楽って、こんなに胸が高鳴るものなんだ」と、衝撃を受けましたね。

それ以降は、eastern youthminor threatFUGAZIなどのパンクにハマりました。多感な時期だったので、アーティストの考え方や生き方に影響されることが多かったです。音楽への真摯さやストイックさを感じられるバンドを好んで聴いていましたね。

セキハラグチ(以下、セキ):
中学生の頃にMr.Childrenの「シフクノオト」を買ったのが僕の“音楽を買う”原体験です。当時主流だったMDプレイヤーを母にねだったのですが、「安いしCDでええやん」と言われてしまい、しばらくCDプレーヤーで聴いていました。他には、母が持っていたQueenFleetwood Macのアルバムを聴いて、洋楽も好きになりましたね。

高校の頃は、ラジオでかかっていたFall Out Boyの「Dance, Dance」を聴いたのがきっかけで、メロコア、ポップパンク、スクリーモにハマりました。当時はYouTubeやMyspaceで音楽を掘っていたんですが、どんどんマイナーな方向へ進んで「みんなが知らない曲を聴いている自分」に酔っていましたね。海外バンドが来日する度に、お小遣いをはたいてライブにいくような学生でした。

太郎:
僕はやじまやセキのように色々な音楽を聴いてきたわけではないのですが、高校生の頃にASIAN KUNG-FU GENERATIONの曲を聴いてからは、バンドに憧れを持つようになりました。

ジャケットのデザインに惹かれて、「ソルファ」というアルバムをレンタルCDショップで借りたのですが、聴いてみたらすごく良くて。しばらくの間はASIAN KUNG-FU GENERATIONばかり聴いていましたね。他にもBUMP OF CHICKENELLEGARDENRADWIMPSandymoriなどをよく聴いていました。

実際に自分もバンドをやってみたいと思ってギターやドラムを練習するようになりましたが、高校にはバンドを組んで演奏できる環境がなかったので、本格的に音楽をやるようになったのは大学に入ってからです。

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祝われるより、祝うほうが楽しい?

ーみなさん音楽のルーツがバラバラですね。どのようにしてザ・おめでたズは結成されたのでしょうか。

セキ:
僕たちは大学の軽音部で知り合ったのですが、そこで後輩の誕生日を祝うために曲を作ったのがきっかけです。軽音部では、定期的なライブイベントの他に、「KAKATZ DISCO」というDJパーティーや仲間の誕生日パーティーを開催したりと、みんなが自由に企画して楽しむという文化があったんです。

そういった流れの中で、「誕生日のラップ作ろうぜ」と集まったのが始まりですね。

ーすごく楽しそうですね!なぜそのような文化が生まれたのでしょうか?

太郎:
僕たちが通っていた大学の周辺は、陸の孤島で(笑)。ライブハウスやクラブのような遊べる場所が近くになかったので、自分たちで場所を作る必要がありました。みんな、「何もないから何かやろう!」という気概があったので、手を挙げた人を中心に何かが始まるような雰囲気があるんだと思います。

やじま:
みんな芸術系の学部で、モノを作りたいという欲求が強い人がたくさんいたので、オリジナルの曲を作っているバンドを巻き込んで「カカツレコード」というレーベルを立ち上げたり、曲のレコーディングやジャケットのデザイン、イベントの空間作りなんてこともして、やりたいことはなんでもやりました。

ー「音楽で誰かを祝う」とは、どのような気持ちなのでしょうか?

やじま:
めちゃくちゃ楽しいですね。

セキ:
制作期間が短かったので大変でしたが、いざ当日を迎えると達成感と「ドヤっ」ていう気持ちがありましたね。アパートの一室で後輩の誕生日会を開いて、みんなでピザを食べている時に突然曲をかけてお披露目したのですが、歌詞に後輩の名前やエピソードをたくさん盛り込んだので、真っ直ぐ相手に届けられた実感がありました。

CDをきちんとパッケージングしてプレゼントして、大学の敷地内で撮ったMVもその場で流しました。後輩が泣いて喜んでくれたのが本当に嬉しかったです。

太郎:
みんなでよく、「祝われるより、祝うほうが楽しいよね」という話をするのですが、相手が喜ぶ姿を見るのと同じくらい、祝うために準備している時間が楽しいと感じています。「バレたらヤバイ」「喜んでもらえるかな」というドキドキやワクワクがたまらないですね。

おめでたズのコンセプトは「日本を祝う」ですが、正直なところ、祝うことを口実に自分たちが楽しんでいるところがあります。

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最適な表現方法としての「ラップ」。

ーそもそも、なぜラップで表現しようと思ったのでしょうか?

やじま:
最初にラップで表現することを提案したのはリーダーのヒヒで、口ロロの「いつかどこかで」という曲がきっかけになったみたいです。この曲は被災地の支援活動から生まれた曲で、一般の人たちがラップをしているのですが、それを聴いて「ラッパーじゃない素人がラップで表現していいんだ」と感じたそうです。

太郎:
人を祝うとなると言葉の数が多くなるので、言葉を乗せやすくリリックに歌い手の色が出るラップは、僕たちに最適な表現方法だと思いました。

とんちが効いてたり、ストーリー性があってクスッと笑えたりするような表現をしたいので、ラップならおもしろいアウトプットができるのではないかと。

ー楽曲はもちろんですが、MVにも力が入っていると感じました。何かこだわっている点はありますか?

太郎:
MVも基本的には、メンバーで全てディレクションしているのですが、キレイに撮ることよりもコンセプトや見せ方を重視しています。YouTubeなどで多くの動画が配信されている中で、音や画質だけが良くても受け手に何も残らないと思ったからです。

たとえば“ヤッホー!”という曲のMVでは、メンバーが別々の場所から山を登り始めて最後に出会うというストーリーにしてみたり、“バースデイスタッフ”のMVでは、「祝いの神様」というキャラクターを出してみたり。曲のコンセプトと合わせて、映像の中に何かフックになるものを入れるように心がけています。

セキ:
誰かを祝うのに普通のことやっても、あんまりおもしろくないというか。「こうしたら喜んでもらえるだろうな」という“サプライズ精神”が何より大事で。見てる側が楽しめて、かつ自分たちもおもしろいと思える。この2つのバランスを保つようにしています。

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「おめでたいやつら」として愛される存在に。

ー大学卒業後は県外で就職された方もいらっしゃるそうですが、普段どのようにコミュニケーションをとっていますか?

やじま:
今は太郎とセキが東京、TOMOROが福島、残りのメンバーが富山にいるのですが、基本的に週に1回Skypeでミーティングしています。新しい曲を作る時は最初にコンセプトについて話し合って、僕が作った簡単なループにみんながラップを足してブラッシュアップしています。

ー距離が離れた環境で活動を続けるのは大変ではないでしょうか。

やじま:
正直、住んでいる場所が近かったらいいなとは思います。以前Skypeでレコーディングしたのですが、録音ミスで時間を無駄にしてしまって。うまくいかないことも多いですね。

ただ、おめでたズ結成をきっかけにヒップホップを聴いたり、ラップをしたりするようになったメンバーがほとんどなので、曲を作るたびに成長を感じられるのが純粋に楽しいです。

太郎:
各々違う環境で生活しているからこそ生まれるアイデアや感覚があると思うので、距離はあまり気にならないですね。それよりも、以前と比べて自信のあるリリックが書けたり、曲やMVのアイデアが思い浮かんだりするようになったので、これからもっとおもしろくなるという感覚の方が大きいです。

ーそれはよかったです。最後に、今後の展望を聞かせてください。

セキ:
今は祝日をテーマに曲を作っているので、全ての祝日を制覇したいです。

他にも、グッズ製作に力を入れていきたいです。この間は、こたつから出ずに過ごしてしまいがちな正月を歌っている「元旦インダハウス」という曲をもとに「こたつパーカー」を作りました。音楽に限らず色々なアプローチで日本を祝いたいです。

太郎:
僕は、「おめでたズに祝われたい」と思ってもらえるようになったらいいなと思っています。祝うことを口実に僕たちも楽しみたいですし(笑)。マイペースに活動しているので、「おめでたいやつらだな」と、温かく見守ってもらえると嬉しいです。

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ザ・おめでたズセレクトのルーツ・プレイリスト

その他のアーティストのルーツプレイリストはこちら!

Photo by yotaro hirahara

スギタヨウヘイ
Writer: スギタヨウヘイ
1990年生まれのライター/文章を書いたり、写真を撮ったりしています。
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