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オルタナティブを追求するcakessが発信していきたい日本のグルーヴ|BIG UP! Stars #05

BIG UP! Stars

文: 久野麻衣  写:松村雄介 

DIGLE MAGAZINEが音楽配信代行サービスをはじめ様々な形でアーティストをサポートしている『BIG UP!』を利用している注目アーティストをピックアップして紹介するインタビュー企画。第5回目はcakessが登場。

それぞれの出会いと音楽ルーツ

ー犬居さんとうえさんは前身バンドから共に活動していますが、お二人はどのような経緯でバンドを組んだんですか?

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うえすみか:

元々別のバンドをやっていたんですけど、神戸でライブした時に犬居くんがたまたま見に来てくれてて、そこで声をかけられたんです。
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犬居 匠:

ナンパみたいな感じでいきなり話しかけました。「ギターよかったのでバンドしませんか?」って。ちょっと引かれました(笑)。
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うえすみか:

いきなり話しかけてくるなんて怪しいと思って、メールで「バンドやろう」って来たんですけど一回目は断ったんです。でも、二回目に誘ってくれた時にお互いの音楽のルーツの話をして、この人とバンドをやってみたいなって思ったんです。

ー何か共通する音楽のルーツがあったんですか?

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うえすみか:

私はThe BeatlesJeff Beckとか50〜70年代の洋楽を聴いていたんですけど、犬居くんもその辺の音楽が好きだって話を聞いて。それまで周りにそういう人はいなかったし、そういう人と一緒にバンドをやったことなかったんですよね。
一緒にやることになってからは、犬居くんが曲をいっぱい持ってきてくれて、それに私がギターつけて、バンドというよりは2人のユニットみたいな感じで始まりました。

ーmoriさんとの出会いはいつ頃になるのでしょうか?

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犬居 匠:

moriと出会ったのは僕が神戸で音楽活動をしてた時に、彼が前やっていたバンドの企画ライブに呼んでくれたのがきっかけでした。
そこから時が経って、前身のバンドのベースが辞めてしまってたので新しいメンバーを探していた時に声をかけたんです。
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mori yasuyuki:

自分がやってたバンドを辞めたタイミングで、このまま誰からもバンドに誘われなかったら、それはそれで音楽活動も終了かなって思ってたんですけど、良いなって思ってた人から「バンドでベースを弾かないか」って言ってもらえたので、頑張ってみようかなって思ったんです。

ー先ほど音楽ルーツの話が出ましたが、みなさんの音楽ルーツについて詳しく教えてもらえますか?

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うえすみか:

私は家にJeff BeckJimi Hendrixのビデオテープがあって、ドライブでもそういう曲が流れる環境で育っていたので、高校の時もその時代の音楽をリバイバルをしたバンドが好きだったんです。毛皮のマリーズとか。そういうバンドをきっかけに、影響を受けた音楽を掘り下げていって、ルーツミュージックを聴きくようになりました。
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犬居 匠:

僕は高校まではMr.Childrenアンジェラ・アキを聴いてたんですけど、大学で入った軽音部がブラスバンドも統合されてるような、ルーツミュージックをやる部活だったんです。ビッグジャズバンドも抱えていたので、一緒に管楽器入りのグループサウンズをやったりして渋い曲が多かったんですけど、それが過去の音楽に触れる機会になりました。
でもそこは1年くらいで辞めて、その後は音楽理論を学ぶためにジャズ研究会に入ってジャズギターをやっていました。その時にJimi HendrixCarlos Santanaをよく聴いてましたね。
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mori yasuyuki:

僕の家はお父さんがThe Beatlesをよく聴いていたし、音楽が好きな家庭だったと思います。でもちゃんと音楽を聴き始めたのは中学生の時で、姉の影響でシドMUCCとかV系のバンドばっかり聴いてました。その中でも衝撃的だったのがL’Arc-en-Cielで、彼らの曲を聴いて音楽自体にハマったんです。

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歌とバンドサウンドへのこだわり

ー昨年関西から上京して来たそうですが、結成当初から東京で活動を始めるつもりだったんですか?

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犬居 匠:

東京に来た理由は色々あるんですけど、一番の理由は“ドラム探し”だったんです。関西のシーンには自分たちに合うドラムはいないと感じていたので、東京に行くしかないと思いました。
あとは東京外のバンドって「東京に行ってないから売れてない」みたいな言い訳があると思うんです。その言い訳が出来ないように自分たちを追い込んでいくのが二つ目の理由ですね。

ー上京することは他の皆さんも最初から同意だったんですか?

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うえすみか:

関西で活動する中で自分たちは上京したほうがいいなってうすうす気づいていたことだったので。
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mori yasuyuki:

誰が言い出したって感じでもないですね。東京に行ってみたいなっていうのは個人的にも思ってましたし。

ー東京に知り合いや、繋がりはあったんですか?

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犬居 匠:

ちょいちょいバンドの友達はいました。でも、ネットであったり媒体を使って良い作品を発信していける時代だから、繋がりがなくても問題ないのかなって思ってました。

ー現在配信されている「Night Album」についてお聞きしたいのですが、この曲はどのように制作を進めていったのでしょうか?

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犬居 匠:

基本的に楽曲制作は僕発信で、ある程度完成したデモを持っていくことが多いですけど「Night Alubm」に関しては違うんです。R&Bは基本的にループさせるトラックを作ってから歌を入れていくのが一般的なんですけど、その手法を使ってまずセッションでトラックだけ作ってから歌を入れていきました。ただ、僕は曲を作るときにバンドメンバーの雰囲気や匂いをすごく気にするんですよ。なので歌を入れる時もメンバーのルーツや匂いをすごく意識しました。

ーメロディーと歌詞がしっかりと耳に残るなと感じたのですが、歌詞を書く時は大事にしていることなどありますか?

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うえすみか:

「曲が言っていることを歌詞にしている」って言ってたよね。
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犬居 匠:

やっぱ音にもメロディーにも文化的背景があって、自分がセッションの中で歌った歌声にも悲しそうな声や嬉しそうな声、色々な心情の背景があると思っているんです。だから、そこを読み取って歌詞にしていきます。音楽には色んな情報が入ってるのでそれを言語化していくんです。

ーなるほど。あとはギターの音のバランスなど、バンドの音もすごく印象的でした。

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犬居 匠:

バンドのバランスにはこだわりがあります。でもそこはあまり言われないんですよ。
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うえすみか:

自分たちでは思ってるよね。
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犬居 匠:

サウンドを押していくと「歌じゃないの?」って言われますけど、どっちもあっていいじゃんって思うんです。

ー歌とバンドのサウンドが一つになっていてこそ、ということですね。

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犬居 匠:

邦楽のミックスと洋楽のミックスって歌の大小がめちゃくちゃあるんですよ。洋楽だと歌の方が小さいくらいだけど、邦楽だとiPhoneで流したら歌しか聴こえない。でもあくまで音楽なんで、歌だけじゃないだろって強く思ってます。
だから「Night Album」と先日配信された「Dependence」はミックスの時に歌を小さくしたんです。そしたら「歌、小さくない?」って言われたんですけど、言われたんだったら正解、狙い通りだって思いました(笑)。結果的に歌が小さくても納得するくらいの歌唱力が必要なんだなっていう解釈に至って、次のミックスは歌を大きくしようとかは思わなかったです。

ー他に注目してポイントはありますか?

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犬居 匠:

ギターの空間をフワーッと広げてくれるような、でも芯が通っている独特な包容力や、ベースの深海に潜るようなロウと若干の歪みも入っているサウンドですね。そこに注目してほしいがために、アレンジもシンプルにしているんです。ベースはルートで十分だと思っているんですよ、音色に特徴さえあれば。

ー音色の特徴というのは?

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犬居 匠:

U2なら1発叫んだだけでも、ぐっと全員を持っていくような歌声があるじゃないですか。譜面上のすごさではなくて音のすごさ、1音だけでどれだけ聴かせられるか、そこが音楽の根幹というか、オルタナティブなところだと思っているんです。そういう音の追求を詰め込んだ2曲になっています。
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mori yasuyuki:

単純にベースを始めた時ってどれだけ指が動くかが楽しかったりするんですけど、犬居さんとバンドを始めてルートがかっこよくなかったらあかんよなって気づきました。やっぱりかっこいい人って一音でかっこいい。それはもうは内臓から違うというか、何食ってるかから影響するんだろうなってレベルだと思うんですよね。外国の人がベースを弾いてる動画を観ても「これ食ってる物がまず違うな」って感じますから。

ーでは、食べ物から変えていく予定ですか(笑)?

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mori yasuyuki:

いや、めちゃめちゃ米食ってます(笑)。でも、逆に外国の人から聴いたら日本人ぽい音ってあると思うんですよ。音聴いて「ライスだなー」って思われるレベルまでいったら嬉しいですね。
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うえすみか:

でもmoriくんはめっちゃハンバーガー好きですよ(笑)。

一同:(爆笑)

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日本のグルーヴを広めていきたい

ーバンドの目標として「日本を代表とするアーティストになりたい」とコメントされていましたが、日本を代表するバンドとして必要な要素って何だと思いますか?

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犬居 匠:

今はバンドのような衝動的なものや加工されてないものが売れなくなって、アイドルみたいな練りに練られた音楽が売れるようになったと思うんですけど、文化が成熟してきたらそれは当たり前の話だと思うんです。でもその中で残っていく音楽ってすごいオルタナティブな、純粋な音楽なんじゃないかなって考えていて。なので日本一になるためには“オルタナティブを尽きつめる”という方針でやっています。

ーみなさんが思う日本を代表するバンドって誰ですか?

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犬居 匠:

僕は勝手にMr.Childrenだと思っているんですけど…。
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mori yasuyuki:

僕はL’Arc-en-Ciel。でもいっぱいいますよね、何を持って日本の代表とするかっていうこともあるから。バンドじゃないけどピコ太郎かもしれないし。
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犬居 匠:

ピコ太郎もオルタナティブなんじゃない?純粋なものが受け入れられたっていう形だよね。

ー「日本」というのは大事にしていきたい部分ですか?

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犬居 匠:

最近たまたま中島みゆきさんの曲を聴くタイミングがあって、日本語の美しさを改めて感じた流れでSpotifyの70sの邦楽プレイリストを聴き始めたんです。そしたら演奏がめちゃくちゃグルービーで。UKのノリと日本人のノリは似てるって聞くんですけど、それをすごく感じたんです。はっぴいえんどとか、UKにも似ているけど日本語をうまいこと使いこなしている日本人のグルーヴがある。

ー日本語と音がしっかりとかみ合っている感じがしますよね。

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犬居 匠:

最近の日本ではリズムが感じられない音楽が好まれるのかなって思ってたんですけど、Spotifyの70sプレイリストを聴いて、全然日本にもリズムはあったんだって気づいたし、King GnuTempalayとか日本語でも上手く乗りこなしながらトレンドを取り入れているバンドも増えてきてる。だからすごい希望を感じ始めているんです。
海外に行こうかと思ったこともあるんですけど、今は日本語でグルービーな音楽を作れると思うし、日本ってブランドを世界に発信していける可能性があるんじゃないかなって思い始めたんです。

ー日本でこそ生まれるグルーヴがあると。

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犬居 匠:

それに、日本のルールを発信していく方が日本人らしいかなって。この間もサカナクションの一郎さんが「日本語の美しさをどれくらい表現するか」っていうテーマで話しているのを読んだんですけど、日本語を話す人がネイティブな意味合いを含んで英語で歌おうと思ったらめちゃくちゃ難しいし、逆もまたそうだと思うんです。それなら日本人らしく、どれくらい外に広げているのかが重要になってくるので、70sの曲に感じたあのグルーヴを日本から海外に広めていきたいなと思います。

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BIG UP!のアーティストをセレクトしたプレイリスト
『DIG UP! – J-Indie -』

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WRITER

久野麻衣

DIGLE MAGAZINE 副編集長

PHOTOGRAPHER

松村雄介

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cakess
(L→R)
うえすみか / guitar
犬居 匠 / vocal & guitar
mori yasuyuki / bass

2018年9月結成。読み方はケイクス。

正規メンバー3人で大阪から2018年4月に上京。
サポートdrumと共に曲作り・都内でのライブ活動を経て、2曲入りDemo音源をレコーディング・制作。
Demo収録曲『Night Album』の自主MVを制作し、10/3に初音源公開。
2019年3月新宿周辺にて行われるサーキットフェス「見放題東京2019」にも出演決定。

邦楽・洋楽の概念にとらわれない楽曲制作と活動を目指しています。
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