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文: 久野麻衣 写:宮本七生
ライブメンバー10人という大所帯で、ヨーロッパの民族的な音色と日本のポップスを掛け合わせた音楽を奏でるバンド、Ribet towns。口ずさみたくなるメロディとピアニカなどのおもちゃ箱のような楽器、慣れ親しんだそれぞれの要素を合わせることで、今までにない音楽の楽しさを届けてくれる。
元々、民族的な音楽というのは生活の近くにあったもので、だからこそ懐かしい温かさを感じる。そして彼らの楽曲の世界観にも生活に根ざした人や環境の温度がある。そこには彼らのバンドとしての体制や生き方がそのまま反映されているのではないだろうか。
今回のインタビューではメンバーのアサイ ゲン(Drums,Percussion, Compose & Engineering)、ミヤチ アサヨ(Vocal)、イシダ ユウキ(A.Guitar)にバンドの成り立ちや音楽性、3ヶ月連続リリースとなった楽曲について話を聞いた。
ーすごく大所帯なバンドですが、これだけ多くのメンバーが集まった経緯はどんなものだったのでしょうか?
アサイ ゲン:
僕が中心となって同じ大学の軽音サークルの仲間を何人か集めて始めたんです。もともと大人数のバンドがやりたかったので、「楽器が足りないな」「もっとメンバーが欲しいな」と思うようになって、後輩に後輩を呼んでもらったりして、どんどん芋ずる式に人数が増えていきました。ライブメンバーが10人、他も合わせると12人になっています。ーライブメンバーでない方はどういう役割なんでしょうか?
アサイ ゲン:
一人は作曲要員です。僕も曲は作っているんですが、歌詞やメロディをメインに作っているメンバーです。もう一人は“監督”っていう立ち位置です(笑)。ー“監督”とは?(笑)
アサイ ゲン:
もともとベースを弾いてたんですけど、あまり参加できなくなってしまって。だからといって抜けるわけではなく、たまに曲を聴いて意見をくれたり、急にライブ前に「頑張れ」ってメッセージをくれたりする精神的支柱を担っています。ミヤチ アサヨ:
でも応援のメッセージはライブが終わったくらいに来るんですよ(笑)。アサイ ゲン:
ちょっと遅いよね(笑)。ーそういったメンバーの結びつきの深さのゆえんは何でしょう?軽音サークル自体がそういう雰囲気だったんですか?
ミヤチ アサヨ:
全員が学生時代に被っているわけではないんです。でも同じ環境に4年間いたというバックグラウンドはやはり強くて、それで仲良くやれているのかもしれないですね。アサイ ゲン:
共通言語みたいな。曲を作るにしても、生活にしてもベースが一緒にあるからやりやすいです。ーアサイさんが大所帯でやりたいと思ったのは、元々のそういう音楽への憧れがあったんですか?
アサイ ゲン:
そうですね、あまりないものを作りたいなと思っていたんです。使いたい楽器がいくつか頭の中にあって、それをどんどんつけ足していきました。でも、やりたい楽器を全部入れようと思うとあと5人くらいは欲しいですね。ー最近ではサポートメンバーを置いたミニマルな編成のアーティストが多いイメージですが、その真逆をいっていますよね。
ミヤチ アサヨ:
サポートの編成をとったら、どこまで踏み入って作曲に意見するのか難しいと思っていて。それは本当にプロじゃないとできない事だと思うんです。正規メンバーである方が自分の好きな事を言えるし、好きなようにできる。だからこそ今みたいに曲がまとまっているんだと思います。イシダ ユウキ:
逆にサポートを頼む方が大変だったりします。ミヤチ アサヨ:
何回かやったことがあるけど、やっぱりお互い難しくて。最近はサポートをお願いするのではなく、アレンジを変えたりしてやれる曲とやれない曲を選別しています。アサイ ゲン:
メンバーは1人で他はサポートになると、その1人が作ったものでしかないじゃないですか。逆に言うと、僕らは歌詞・曲・コード・フレーズってみんなで分担してるので、良い感じにブラッシュアップされているんだと思います。イシダ ユウキ:
全員強みが違うよね。ミヤチ アサヨ:
ピアニカも3人いるけど、感性で生きてる人と理論で生きてる人がいて、作るフレーズも三者三様だから、「こういうのはこの人に振ったほうがいいね」と割り振りしたりしています。アサイ ゲン:
そういう意味で、僕も自分で全部作るのではなく、ジャッジすればいい。ミヤチ アサヨ:
管理職だよね。私も1人じゃできないと思うし、そういう人たちがいっぱい集まってます。ーみなさんの担当の楽器はもともと軽音サークルでやっていたパートなんですか?
ミヤチ アサヨ:
みんな全然違うんですよ。元々ベーシストとドラマーが3人ずつくらいいます。アサイ ゲン:
「これがあなたの楽器です!」って渡して今の楽器を始めている人がほとんどです。ー各パートもアサイさんが作っているんですか?
アサイ ゲン:
僕が作る部分と、それぞれにアレンジを当てはめてもらう部分があります。イシダ ユウキ:
弾けないフレーズをよく投げてくるんですよ(笑)。ミヤチ アサヨ:
ピアニカの速弾きとかも最初は全然できなかったけど、だんだんレベルが上がっていて、肺活量も昔に比べたらすごく増えてると思います。ーそういう意味では、曲を作る段階でそれぞれのメンバーの実力を見定めて、難しいフレーズに挑戦させたりということも…?
アサイ ゲン:
あります(笑)。ーバンドの成長も担っているんですね。ちなみにバンド名の由来は?
アサイ ゲン:
あんまり意味はなくて、語感で決めました。バンドを組んだ2015年に「3年後までにフランスでライブが出来るバンドにしたいね」って話していて、バンドのグループラインの名前を「ライブ@フランス 2018」にしてたんですよ。ミヤチ アサヨ:
もう2018年はすぎちゃったね。アサイ ゲン:
その「ライブアット」が変化して「リベット」に。イシダ ユウキ:
それに合わせる言葉として「色んなところでライブしたいね」って話から、「town」や「city」といった単語が挙がって、語感がよかった「towns」がついて「Ribet towns(リベットタウンズ)」になりました。TAG;
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