ブラックミュージックとJ-POPの追求。Emeraldの止まらない進化 | Newave Japan #40

Newave Japan

文: 斎藤加織  写:遥南 碧 

編集部がネクストブレイクだと思うアーティストの音楽ライフを掘り下げるインタビュー企画『Newave Japan』。40回目は6人組バンド、Emerald。藤井智之(Ba.) / 高木陽(Dr.) / 藤井健司(Manipulator.)の3人に自身の音楽ルーツから、2018年12月にリリースした1st Mini Album『On Your Mind』についてやEmeraldの音楽の在り方まで話を伺いました。

音楽との出会い

ー音楽の原体験や自分のルーツとなっている音楽を教えてください。

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藤井智之:

僕はFishmansの「Season」ですね。この曲はFishmansのなかでもポップな曲なんですよ。いわゆるヘンテコなコード進行でもなく、曲の展開も聞きやすく歌いやすいように作られている。僕ももともとJ-POPがすごく好きだったので。Fishmansは大学時代も音楽制作を始めてからもずっと聴き続けています。

ー最初にFishmansを知ったきっかけは何でしたか?

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藤井智之:

高2の頃に友達から「Fishmansっていうやばいバンド知ってんのか」って言われて初めて知りました。
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高木陽:

でもそこでFishmansってなかなか出ないよね。
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藤井智之:

柏原譲さんのベースがやばいっていうのでみんなが盛り上がってて。それで聴いてみたら今まで経験したことのない得体のしれないものだった。聴く人によっては気味が悪いような独特なグルーヴだったんだけど、そこにハマったらもう抜けられなくて。自分が思っていたベースと全く別の概念でした。

ーそれはベースをやっていたからこそだったんでしょうか?

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藤井智之:

それもあるかもしれないです。メロコアのベースとは全然違いますからね。

ーベースはいつから始めたんですか。

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藤井智之:

うちの父親がベースをやっていたのでベースが家にあったのと、兄貴がもともとベースをしていたんですよ。それもあって僕もベースを触りだして、高2の終わりからバンドを始めて、THUMBとかメロコアのコピーをしていました。
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藤井健司:

兄からすればあとからやるんだから違う楽器やってくれよ、バンドできないじゃんって感じですよ(笑)。結局、俺が楽器変えました。

ー健司さんもお父さんの影響でベースを始めたんでしょうか?

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藤井健司:

そうですね。バンド組んだりもしてました。高校時代にL’Arc~en~Cielのコピーバンドを始めて、そのバンドが解散した後はPUFFYのコピーバンドでドラムをしたり。その頃、僕はNOFXをめっちゃ聴いてたんですけど、『So Long and Thanks for All the Shoes 』っていうアルバムが好きで、その1曲目を聴いた時に度肝を抜かれました。

ーでは高校時代はずっとメロコア、パンク系を聴いていたんですか?

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藤井健司:

高2の頃の事でめちゃくちゃ覚えてるんですけど、20年前くらいの洋楽を紹介している深夜番組の最後にThe get up kidsの「action & action」のPVが流れたんですよ。今まで聴いてたメロコアとは違う音楽ですごく気になってすぐCD買いに行きました。この曲をきっかけに、伴奏のイメージしかなかったシンセが曲の中にどう入ってくるのかとか、印象的なシンセのリフとかを聴くようになって。HoobastankFinchIdlewildAt The Drive-Inや、エモコア系へ自分の音楽の幅も広がっていきました。
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高木陽:

その頃ってメロコアパンクめっちゃ流行ってましたよね。僕の周りもBlink-182SUM41HoobastankNo Use for a NameHAWAIIAN6とかを聴いてました。

ー高木さんはいつドラムを始めたんでしょうか。

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高木陽:

小6くらいからですね。もともと、兄貴がギターでバンドをやってて、バンドの中にドラムという楽器があって、こう演奏するんだって知ってから「これなら俺も出来るんじゃないか」って思ったのがきっかけで始めました。それまでバンドというものがどういう形態でやるものか知らなかったんですけど。

ーでは、お兄さんのバンドでドラムをやってくれとか言われませんでした(笑)?

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高木陽:

やってみようかなってなったんですけど、兄貴はMETALLICAとかそういう速いやつばっかりやっていたんですよ。ちょっと疲れるからこれはダメだ、方向転換しようってメロコアに走りました。どっちにしろ速かったけど(笑)。

ーご自身でバンドを組んで活動したりはしてましたか?

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高木陽:

中学校のときに同級生と地元のお祭りにバンドで出てみようっていう話からGOING STEADY3B LAB.☆HI-STANDARDとかのコピーバンドを組みました。高校に入ってからは、違う高校の人とメロコアとかやりたいねって意気投合してHI-STANDARDHAWAIIAN6Blink-182をやっていました。

ー中高生の頃はやっぱりメロコアが流行っていましたよね。それ以前に聴いていたものって覚えていますか?

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藤井健司:

いま思い出したんだけど、幼稚園の頃にうちに月1くらいで届くテープがあって表面にはちょっとしたストーリーが入ってて、裏面にクラシックが入っているんです。
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藤井智之:

それあったわ!(笑)。
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藤井健司:

あったよね!その裏面に入っていた「メンデルスゾーンの作曲です」っていうただ一言の音声から始まる曲と「熊蜂の飛行」っていう曲が好きで幼稚園に行くまでの車の中とかで聴いてたなって。よくよく考えてみるとTortoiseとかすごい好きだし、スティーヴ・ライヒとか蓮沼執太に入ってるマリンバの音がすごい好きで自分でもよく入れるんですけど、そのカセットがルーツなのかなって(笑)。

次ページ:メンバーの持つ音楽要素の共有

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Emerald

Pop music発 BlackMusic経由 Billboard/bluenote行。 2011年結成。ジャズ、ネオソウル、AORといったジャンルを軸にした楽曲群に、ボーカル中野陽介の持つジャパニーズポップスの文脈が加わったそのサウンドは、新しいポップミュージックの形を提示している。2017年にリリースされた2ndアルバム『Pavlov City』では、近年のチルウェイブ等の要素も取り入れつつサウンドをアップデート。Spotifyにて複 数のプレイリストにピックアップされるなど、各方面から高い評価を受けている。2018年12月にリリースされた「On Your Mind」のリードトラック「ムーンライト」がラジオ各局でパワープレイに選出されるなど緩やかに、確かな広がりを見せている。

Twitter:https://twitter.com/Emerald_info_
Official:emerald-info.tokyo

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