創ることは生きること。湯木慧の尽きない表現欲求に迫る

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文: 黒田 隆太朗 

湯木慧(ゆきあきら)が自身の21歳の誕生日に、メジャーデビュー作『誕生~バースデイ~』をリリース。彼女のルーツを紐解きながら、表現欲求の源に迫る。

湯木慧は生粋の表現者だ。彼女は息を吸って吐くように創作する。幼い頃から絵を描き、歌うことに喜びを見出してきた彼女は、高校生の頃からシンガーとして自主制作盤のリリースを開始。それからミュージックビデオの制作はもちろん、自身で描いたイラストの個展を開くなど、音楽に留まらないアーティスト活動を行ってきたアーティストである。

そんな湯木慧が、シングル『誕生~バースデイ~』でメジャーデビューを果たした。それは生への執着、ひいては「どう生きるか」という根源的な問いに対する決意を歌ったような迫真の音楽である。彼女は何故感情を燃やすように歌うのか。生活と芸術が不可分に結び付いている、湯木慧というアーティストの哲学に触れた。

幼い頃から溢れ続ける創作欲

ー聴かせていただいた音楽からは、表現せずにはいられないというような、歌うことへの強い欲望 を感じました。湯木さんが最初にクリエイティヴなことをやりたいと思ったきっかけはなんですか。

チラシの裏にマッキーで絵を書くとか、そのチラシで棒を作って剣を作るとか、ティッシュの空き箱から何かを作るとか、ものを作ったり絵を描いたり歌を歌うということを、本当に小さい時からずっとやってきていて。だからクリエイティヴなことをするっていうのは、生活の中にあったものなんですね。

ーじゃあ音楽を作るだけでなく絵も描かれるというのは、自分にとっては凄く自然なこと?

そうですね。視覚的な作品作りも含めて、私自身は小さい時からやっていることが全然変わっていなくて。ただ色んなことを知っていくことで、作品の色や形が変わっていっているだけなんですね。音楽を作ることも絵を描くことも、どちらもやっていることが当たり前で、音楽を作っていると、その裏に必ず景色や色が浮かびます。なので音楽作品を作る中で浮かんでくるものを、MV制作や個展を開くことで視覚的にも表現してきました。

ーなるほど。今回ご取材させていただくにあたり、湯木さんがこれまでの人生で印象深く残っている楽曲でプレイリストを作っていただきました。この中で最初に大事な1曲になったものはなんですか。

※スウィングガールズ「Sing Sing Sing」(サントラ/SWING GIRLS ver.)、久石讓「風のとおり道」(映画「となりのトトロ」テーマオリジナルver.)は別ver.を収構成。

覚えている限りで一番インパクトがあったものは、ベニー・グッドマン楽団の「SING SING SING」ですね。小学3年生の頃に『スウィングガールズ』っていう映画を見た時に、劇中で演奏されているのを見て知ったんですけど。ちょうどそのくらいの時にマーチングバンドに参加して、私自身トランペットをやっていたから凄く感激しました。それもあって「SING SING SING」は、小学校3年生の時から今まで絶えず自分の中にある音楽だなって思います。

ーどういう理由で湯木さんに響いたんですか?

ジャズのノリに惹かれました。私が作ったプレイリストって、ヴォーカロイド以外の曲は小学生の頃に聴いていた音楽なんですよね。もっと言うと、CMとかドラマで流れていたものだったり、生活の中で聴いていて自然とひっかかっていたのものが前半の6曲(蓜島邦明「メインタイトル(ガラモン・ソング)」、久石譲「風のとおり道」John Williams「Hedwig’s Theme」、ベニー・グッドマン楽団「SING SING SING」Carpenters「Rainy Days And Mondays」、コブクロ「Milion Films」)なんです。で、何故ひっかかったのかを考えると、インストの曲が多いので、たぶんメロディや楽器の響きで聴いていたってことなんですよね。「SING SING SING」も、トランペットの音やメロディラインがめちゃめちゃカッコいいなと思って、本能的に引っかかっていた曲でした。

ー逆に言うと、湯木さんが意識的に聴いていった音楽はボーカロイドの曲が多かったっていうことですよね。湯木さんはどういう理由でボカロの曲にシンパシーを感じていましたか。

ボーカロイドって特殊な世界だと思うんですよね。少なくとも、私の中では何も説明がつかなかった。それまでは曲を聴いた時にこれは吹奏楽っぽいとか、これはジャズっていうジャンルなのかなって判断することができたし、たとえばCarpentersさんやコブクロさんを聴いた時にはギターの音が綺麗だと思ったり、とにかく何故私の感性に響いてくるのかっていう理由づけができたんですけど。ボーカロイドの曲を聴いた瞬間は自分の中で何も説明がつかなくて、本当に新しいものが音として入ってきた瞬間でした。

ー未知なものに触れた時の興奮に惹かれたっていうことですよね。

そうですね。機械的な音も知らなかったし、初めてのジャンルを聴いている感覚がありました。なので私の根底にはアコースティックギターや吹奏楽の生音、バンドサウンドがあって、成長していく過程で洋楽やボーカロイド、ダンス・ミュージックなどを聴いて、私の作品が色付けされていったのかなって思います。


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黒田 隆太朗

平成元年生まれ、千葉県出身。ライター/編集。MUSICA編集部→DIGLE編集部。

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