LINE MUSICが無許諾音楽アプリ対策と大型アップデートで見据える未来

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文: 久野麻衣  写:Yuya Eto 

Apple社に対し音楽団体と連名で無許諾音楽アプリ対策強化の要望書を提出したLINE MUSIC。その背景と共に、予定されている大型アップデート、今後の展望についてLINE MUSIC株式会社 取締役COO・高橋明彦氏に話を聞いた。

日本国内で月間8,100万人が利用しているLINEによる音楽ストリーミングサービス、LINE MUSIC。LINEと連携した機能で着実に利用者を伸ばしているだけでなく、今年7月にはApple社に対し、日本レコード協会などの音楽団体と連名でMusicFMをはじめとした無許諾音楽アプリへの対策強化を求める要望書を提出するなど、日本の音楽市場発展の一翼を担っている。

そこで今回は無許諾音楽アプリ対策の背景から予定されている大型アップデート、今後の展望についてLINE MUSIC株式会社 取締役COO・高橋明彦氏に話を聞いた。

Music FMの利用率は想定以上だった

ー日本レコード協会らと共に無許諾音楽アプリ対策の要望書をApple社に提出されましたが、以前からLINE MUSICとして何か対応をされていたのでしょうか?

2015年6月のサービスリリース当時から無許諾音楽アプリをずっと観測はしていて、社内でも「これって大丈夫なの?」と話になることはありました。ただ、音楽ストリーミングサービス自体がこれからの時期だったので、それらのアプリへの対応よりも、まずはサブスクリプションの価値や良さをアピールしながら、自分たちがマーケットの中でプレゼンスを高めるために動いていました。

そうしているうちにMusic FMやMusic Boxなど、形を変えて様々なアプリが出てきてたのはずっと気にはなっていて。LINE MUSICはジョイント・ベンチャーなので、エイベックス、ソニー、ユニバーサルと定期的に会議をする機会があるのですが、このアプリの話はずっと話題に挙がってはいました。

ーそこから今回の動きに繋がる出来事があったのでしょうか?

去年の年末にLINEユーザー22万人を対象に行ったアンケートで音楽利用の調査をした所、全年代でも11%がMusic FMを第1利用していて、10代に限ると約30%という数字が出まして、これが想定以上の数字だったんです。今までは「引き続き啓蒙していこう」「サブスクがよくなればいつか無くなる」という認識だったのですが、これから音楽サブスクリプションサービスが主流になっていく、正しく価値を伝えていくフェーズの中で、非常にネックになるなと思い、本格的に話をするようになりました。

今回調査した22万人というのは年代的に歪みもありませんし、LINEという日本で一番使われているコミュニケーションアプリの利用者になるのでノイズもそんなに無いはずです。そこでこの数字が出たわけですから、なんらかのアクションをしないといけないと思いました。

ーそれで日本レコード協会と連名で要望書を提出することになったと。

無許諾アプリそのものに対して直接アラートできればいいのですが、アプリ自体の運営が海外だったりと対策に時間がかかるのであれば、アプリをアプリストアから落とす、もしくは出さないという判断をして欲しいという要望書をAppleに提出する事で、「アプリの入口」をふさぐ手段に出ました。レコード会社さんなどは、個別にずっと動いてくれてはいたんですが、足並みを揃えて一つの大きなメッセージとして世に出すことができたのは良かったかなと思います。

ー署名活動が始まったりと、ユーザー側の動きもきっかけの一つになっていたのでしょうか?

直接の動機ではないものの、草の根的にユーザーサイドから出てきたということはきっかけの一つです。漫画村の動きもありましたし、ユーザーの空気感は我々にとってすごくサポートになっています。

今まではレコード協会はじめ、こちら側が警鐘を鳴らすことをしていなかったので、「Apple Storeに並んでいるし大丈夫なんじゃないか」「広告費で賄われているんじゃないか」といった風に、ユーザーにとっては分かりづらい仕組みだったと思いますし、それ故に友達に注意していいものなのか悩ましいところも今まであったと思います。

今回こうしてユーザーでも声を上げてくれる人がいるし、我々も権利者として「これは認めていないものだ」と明確にすることで、多くの人が「ダメなんだ」と理解する機会になって良かったです。

ー違法性に関してグレーな部分が多く、明確な声を上げずらい状況ではありましたよね。

そうですね。なので、今回新しく「無許諾」というカテゴリを作ってアプローチをとったんです。「ユーザーや、アプリ自体が違法だ」という文脈ではなく、「権利者側が楽曲の利用を許諾していないアプリは、アプリストアから落としてほしい」というのが 今回のステートメントであり、直接、アプリの違法性は問うてないんですね。 アーティスト・権利者の権利を守るため、このような形で無許諾アプリ対策を一歩進めました。

ー今後、無許諾アプリ対策としてどのような動きを取っていくのでしょうか?

これで歩みを止めるわけにはいかないので、引き続き有用なアクションをとって、しっかりとムードを高めていきたいと思います。単独では難しいことなので、アーティスト・権利者・業界全体として足並みをそろえることが大事です。今回は第一ステップとしてアプリの入手口をふさぐという対策を進めていますが、次のアイデアとしては広告主へのアプローチなどですね。ユーザーへのアプローチも続けていきたいと思っています。

実際、無許諾アプリに関してはOS側で、既に端末にDL済みのアプリを利用制限することも可能なはずですので僕らとしては入口をふさぐだけでなく、アプリストア側にそこまでお願いしたいと思っています。Appleとしても正規の音楽サービスである「iTunes」「Apple Music」を運営し、日本の音楽に長く貢献しているわけですから、今回、日本の権利者側からのステートメントを伝えることで、解決に近づくのではないかなと思っています。引き続き、積極的にアプローチを取っていきたいです。

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久野麻衣

DIGLE MAGAZINE 副編集長

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Yuya Eto

DIGLE MAGAZINE編集長。フェスとフクロウが好き。

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