DIGLE MAG編集部が選ぶ“Best of 2023”プレイリスト|春ねむり&Jaguar Jonze、a子など

Playlist
毎月テーマを設けてインタビューやコラム、プレイリストを掲載していく特集企画。2023年12月/2024年1月合併号は“Best of 2023 ー音楽シーンの現在地ー”と題し、アーティストやクリエイターたちが2023年に影響を受けた音楽を深掘りしていく。今回の記事では、DIGLE MAG編集部のメンバーが2023年にリリースされたベストソングを選曲。

国内のイベントが増えたのはもちろん、海外アーティストの来日公演や日本のアーティストによる海外ツアー実施なども増え、だんだんとコロナ禍以前の日常が戻ってきたようにも感じた2023年。DIGLE MAGでも普段の発信はもちろん、東京や小田原でライブイベントを開催したことで、昨年にも増して音楽を分かち合う楽しさや喜び、そこから生まれるポジティブな力を実感した1年でした。

そんなDIGLE MAG編集部のメンバーが、2023年にリリースされた作品の中から国内外問わずよく聴いた楽曲や特に影響を受けた楽曲などを選曲。音楽の好みがバラバラなDIGLE MAG編集部の個性が窺えるラインナップになっています。コメントを読みながら、ぜひプレイリストも楽しんでみてください。

江藤勇也(編集長)

Select for “Best of 2023”

SPARTA「Player feat. KID FRESINO
Silica Gel「Tik Tak Tok feat. So!YoON!
HOME「Lucy」
a子「あたしの全部を愛せない」
眞名子新「ナスティ・ハウス」

インタビュイー画像

セレクトコメント:

2023年は個人的にはひどくもがいた年…という印象で、苦い思いが多かったのですが、逆にいうと挑戦的な動きをよくした年でした。年始めからアジアのフェスにも赴き、日本とは違った空気を感じることができたのもその一つで、選出した韓国のサイケデリックロックバンドSilica Gel(シリカ・ゲル)も香港のフェスをきっかけに知りました。昨今忘れかけているロックサウンドのカッコよさ、ギターに痺れるという感覚を呼び起こしてくれるバンドです(MVでいうと4分から始まるキレッキレのギターをぜひ聴いてほしい)。

そして苦い思いを支えてくれた曲という点において、SPARTA&KID FRESINOの「Player」は外せません。二人のスマートに寄り添うようなリリックは、必死に頑張ってる全ての人の背中を支えてくれる、そんな楽曲ではないでしょうか。

そしてメディアとして日々チェックする中で、新たな希望を感じた眞名子新、a子、HOME。3組とも方向性は違えど卓越したソングライティングとボーカルセンスを兼ね備えたアーティストです。いち早く、こういった新たな才能を音楽ファンの方々に届けるために2024年も引き続き頑張りますので宜しくお願い致します。

Asahi(ディレクター)

Select for “Best of 2023

Armando Young「Prize Fighter」
Gabriel「unbeliever」
Mk.gee, Two star「Candy」
Olivia Dean「Ladies Room」
Medasin「Star Song」

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セレクトコメント:

ジャケで楽曲を探すことがめっぽう減ったのもあり、今回は「Blurry(ぼやけた、不鮮明な)」をテーマにマッチするジャケの楽曲を選曲してみました。来年注目すべきアーティストとしてBBC Music IntroducingのArtist of the Yearに選出されたOlivia Dean(オリビア・ディーン)の「Ladies Room」やThe Kid LAROI(ザ・キッド・ラロイ)の楽曲をプロデュースしたことで話題にもなったMichael Gordon(マイケル・ゴードン)のソロ・プロジェクト、Mk.geeの「Candy」などスイートでグルービーな楽曲を集めてみました。

Miku Jimbo(エディター)

Select for “Best of 2023”

MONO NO AWARE「風の向きが変わって」
吉澤嘉代子「青春なんて」
YO LA TENGO「Fallout」
WOLVEs GROOVY「BUG」
Mega Shinnosuke「甲州街道をとばして alternative ver.」

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セレクトコメント:

世の中はたくさんの魅力的な音楽で溢れているのに、5曲に絞らなければいけないのは実に過酷だ。迷ったときは他力本願。そんなわけで、今回は配信サービスによる「あなたが今年よく聴いた曲/アーティスト」のデータをもとに選んだ。結果として趣味嗜好を赤裸々に曝け出した感じになって、ちょっと恥ずかしい。

MONO NO AWARE「風の向きが変わって」はここ数年でも屈指の名曲だと思う。きっと、10年後・20年後もこの曲を聴き続けている気がする。吉澤嘉代子さんはEP『若草』の全曲で心をつかまれたので悩ましかったが、今の自分の価値観に合致した1曲を。君島大空さんやMomさんが参加した曲、ハマ・オカモトさんらによるバンド編成で録った曲も素晴らしいのでぜひ聴いてほしいです。YO LA TENGO(ヨ・ラ・テンゴ)「Fallout」は一時期ずっと聴いていた曲で、セッションver.のほうがエッジが効いていて好き。

WOLVEs GROOVYは今年始動したばかりだが、新譜が出るたびに心が躍る。Mashinomi(ましのみ)さんの作曲センスとアヤコノさんの声が合わさると可能性が無限に広がるし、初期衝動がありながら洗練されたサウンドなのは、エンジニアの佐藤慎太郎くんの手腕もあると思う。Mega Shinnosukeさんは元日リリースのアルバム『2100年』より選曲。この作品を聴いたおかげで、晴れ晴れとした気持ちで1年をスタートできた。

そのほかbetcover!!やKhakiの作品も印象深いし、挙げたいアーティストは山ほどいる。今年、日常を彩る音楽を届けてくれたすべてのアーティストに感謝と敬意を。来年も素敵な出会いがあるよう願いを。2024年、良い年になりますように。

Mao(エディター)

Select for “Best of 2023

Troye Sivan「Rush」
Dj Babatr「Mek3fe – Radio Edit」
Kelela「Contact」
DJ HEARTSTRING, Narciss「While U Sleep」
Yves Tumor「Echolalia」

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セレクトコメント:

ロンドンからベルリンに移住して、また少し生活が変わった1年でした。ベルリンのクラブカルチャーに惹かれてから約三年、やっとビザを手に入れて住むことができましたが、クラブに行くことは去年と比べて減り、他のことに没頭する時間が増えています。夏に遊びに行った<WHOLE FESTIVAL>では、東京から「SLICK」が出演したり、ロンドンの友達も遊びに来ていて、“再会”という言葉がぴったりの最高の思い出になりました。そんな夏を思い出すような、Troye Sivan(トロイ・シヴァン)の「RUSH」は今年のベストトラックです。

futa kumagai(SNSディレクター)

Select for “Best of 2023”

家主「きかいにおまかせ」
pikomaruko「age」
NiziU「HEARTRIS」
ひがしやしき「今夜、すべてのyoutubeliveで」
ralph「Get Back feat. JUMADIBAWatson – Double Clapperz Remix」

インタビュイー画像

セレクトコメント:

年間ベスト曲に何を選んで、何を選ばないか。どうしても自意識が介入する作業になかなか気が滅入りましたが、邦楽を中心に、これは入れないと嘘だよなという5曲を選ばせていただきました。僕が言うまでもなく「Get Back」でバースを蹴るralph, JUMADIBA, Watsonは2023年を象徴するラッパー3人ではないでしょうか。

Kou Ishimaru(エディター)

Select for “Best of 2023”

ANORAK!「pure magic」
The National「Weird Goodbyes feat. Bon Iver」
RiL, DEVDFRE$H「OLD SKOOL BOY」
春ねむり, Jaguar Jonze「ANGRY ANGRY」
boygenius「Not Strong Enough」

インタビュイー画像

セレクトコメント:

ありがたいことにひたすら色々な現場や役回りで音楽制作・ライブに携われた1年になりました。沢山の人がいる場に長くいればいるほど、困りごとが出てきたり、不安を感じたりすることもありましたが、そういうときに自分を癒してくれたのもまた音楽でした。特にboygenius(ボーイジーニアス)の1stアルバム『the record』は今年の精神的支柱。《Always an angel, never a god(いつまでも天使のまま 神にはなれない)》の一節で、自分たち自身のことを“天使”=特別な存在だと言い切る強い自信と、それと同時に“神にはなれない”と自己嫌悪を歌うboygenius 3人の人間らしさが好きです。

riko ito(エディター)

Select for “Best of 2023”

reina「Can’t Be Here」
Sen Morimoto「Bad State」
Maika Loubté「Inner Child」
Wasia Project「Petals On The Moon」
さらさ「f e e l d o w n」

インタビュイー画像

セレクトコメント:

今年の頭ごろ、フィンランド映画『ガール・ピクチャー』で、主人公の女の子たちがもがきながらも自分自身を貫く姿を観てから、今年はなんとなく“周りに流されずにありのままでいること”や“自分の選択は自分ですること”が個人的なテーマだったように思います。そんななかで、自分らしくいられない状況に陥ったり、自分自身も揺らいだりしていた時期によく聴いていた5曲を選びました。こういう楽曲たちに囲まれていたおかげで「自分らしくいられない環境や相手なら、こっちから願い下げ!」っていうマインドを身につけることができた気がしています。

特に、Maika Loubtéさんの《I won’t be the girl you might expect of me(私はあなたが期待するような女の子にはならない)/ I won’t live with the codes you nicely wrote for me(あなたがご親切に書いてくれたコードと共に生きる気はない)》という歌詞には「社会のステレオタイプではなく、自分がそうありたいと思う姿のままでいていいんだよ」と励まされた気がして、聴いた瞬間大号泣。Wasia Projectは個人的に沈みがちだった時期によく聴いて癒されていました。メンバーのWilliam Gao(ウィリアム・ガオ)が出演するNetflixドラマ『HEARTSTOPPER』も最高なので、お正月休みにぜひに。

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