mica the bulwark feat. 荒拳の人生が音楽になる

Review

文: DIGLE編集部  編:Kou Ishimaru 

BIG UP! ユーザーの中から、今聴きたいアーティストをピックアップ! 今回はmica the bulwarkをご紹介します。

嘘がないから届く

ヒップホップほど、その人の生活や人生の匂いが伝わってくる音楽ジャンルは他にないだろう。
包み隠さないリアルであればあるほどに、誠実に選ばれた言葉であればあるほどに、純度が高くそして強くなる音楽。
mica the bulwarkが盟友・荒拳HI-ROCKを迎えリリースした新曲『あいかわらず feat.荒拳』は、まさにそんな楽曲になっている。

彼らは2000年から仙台を拠点に5MC+4DJのHIPHOPグループSOUND MARKET CREWとして共に活動し、毎日のように同じ時間を過ごしていたという。
互いの生活や仕事により疎遠になってしまった30代を経て、10年以上ぶりに連絡を取り合い完成したのがこの曲だ。
スクラッチは同じくSOUND MARKET CREWのHI-ROCKが担当しており、それぞれの人生がふたたび交差した瞬間を、音楽という表現を通しそのまま形にしたよう。
そのときに「懐かしい」でも「大人になった」でも「戻りたい」でもなく、『あいかわらず』という言葉が出る友人がいることの貴重さは、歳を重ねれば重ねるほどに痛感する感覚だろう。
その単語選びと語らうように紡がれるリリックから、彼らがどのように20年前を楽しんでいたのか、そして今どんな現在地を生きているのか、を知ることができる。

彼らの喜ばしい再会を嬉しく思うと同時に、自分の10年後、20年後についても思いを巡らせたくなる、まるでドキュメンタリーのような作品だ。

mica the bulwark

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